↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
師匠が最強すぎる  作者: 不病真人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/9

第二話 玄天宗の公孫羅


 月日は流れる。赤子のせいか、不思議と今までの日常の何倍も長く感じる。幸い人生の長さを考えたら、気分が楽になる。

(いや〜長い人生が待ってるとなると、無駄にしてないかとかの気分も出てこないんですよ。)

それからというもの、俺は毎日のように母を困らせるようになった。


 散歩へ出れば、決まって霊泉のある山道へ歩いていく。


 


 「また泉へ行きたいの?」


 母は苦笑しながら俺を抱き上げる。


 

 毎度、母は根負けし、少しだけ霊泉のほとりで遊ばせてくれるようになった。

お山の中で申し訳ない。まぁ山と言ってもすぐ近くで危ないわけではない。なんなんら、爺さん婆さんらがたまに散歩する。


 (...なら山じゃなくね....?)


 まぁ場所はともかく、ここは一日の中で最も大切な時間だった。


石の上へ腰を下ろし、何気ない顔で景色を眺める。

しかし頭の中ではステータスシステム、改めてマイフレーンド、アルケミストくんが休むことなく動き続けている。

なぜアルケミストなのかはただ単に前世で好きだったアニメキャラの声に似ているだけだ。

なんて妄想に浸るがすぐに修行に関して最適化されるのを知らされた。


 【呼吸を調整します。】


 【姿勢を最適化します。】


 【経脈への負荷を0.7%軽減。】


 【霊気吸収効率上昇。】


 身体の中へ流れ込む暖かな力は、前回より少しだけ濃く感じられた。

目を閉じ、ゆっくりと呼吸を繰り返す。

そのたびに胸の奥へ小さな光が灯るような感覚があった。


 これが修仙。これが修練、これ修行


 前世では画面越しにしか知らなかった世界が、今は俺自身の身体の中で起きている。


 夜になると、青い幕は静かに結果を表示した。


 【本日の修煉完了。】


 【霊気蓄積総量:+21】


 【身体適応率上昇。】


 【次回効率予測:+3%】


 数字は僅かだった。


 だが焦る必要はない。


 修仙とは100年、1000年を歩む道だ。


 1日で強くなろうとする者ほど途中で躓く。


 ゲームでも、攻略掲示板でも散々語られていたことだった。


 まだ1歳。


 積み重ねる時間はいくらでもある。



 半年後。


 村中の評判になっていた。


 歩くのが早い。言葉を覚えるのが早い。

1度見たものを忘れない。

父が畑で使う道具の名前を教えれば、その日のうちに全部覚える、母が文字を書けば、翌日には真似して土へ書いてみせる。


 村の老人たちは目を丸くした。


 「李家の娘は神童じゃ。」


 「まだ二歳にもならんだろう?」


 「仙人様の生まれ変わりかもしれん。」


 そんな噂まで流れ始めた。


 苦笑するしかなかった。


(いやいや。)


(前世が社会人だっただけなんだけど。)


 もっとも、それだけでは説明できない部分もある。

アルケミストくん、彼...?彼女...?のおかげも多い。

 村の子供たちが木の実を見れば「赤い実」としか思わない。

しかし偉大な私....中2はやはりやめよう....俺には違う表示が見える。


 【赤霊果(未成熟)】

 【薬効:体力回復・微弱。】

 【成熟まで36日。】


 道端の雑草でさえ、


 【止血草】


 【乾燥後に煎じると止血効果。】


 という具合だった。

村人たちにとっては雑草でも、俺には宝の山に見える。しかしなんでこんな不思議なものが何処もかしこもあるんだろうか

まぁ前世のゲーム知識とシステムが噛み合いしていいことがある。

時が経てば経つほどよりそう思う。


 例えばある日、父が、父さんが山仕事で腕を切って帰ってきた。傷は深くないが、血が止まらない。

母さんは慌てて布を押し当てるもまるで止まらない

そこで俺は庭へと飛び出し、昼間見つけていた止血草をもって戻った。


 「お父さん!」


 必死に父さんへ差し出すも彼は困ったように笑う。

母さんも言う「今忙しいよ。」


 その時だった。

近所に住む年老いた村医者が目を見開く。

(いつ呼んだんだこの爺さん...?)


 「待ちなさい。」


 老人は草を受け取り、何度も見返した。


 「……これは止血草じゃ。こんな小さな子が、どうしてこれを?」

答えられない、答えられるはずもない。バレたらまずいと思ってる。


 「怪我してたわんわんが食べてたの見た。」

 爺さんはいかにも信じてなさそうだが、やっぱこの村おかしい気がする。

でも爺さんは医者だけあってすぐに何かの薬草と止血草をすり潰し、傷口へ塗った。しばらくすると血はぴたりと止まった。

(乾燥させずにできてしまうのか...?)

【医術を検知】

(医術..か)


 医術とはゲームの最初期にしかなく、すぐに丹術と言う上位の超常パワーを秘める存在にとって変わられる。

しかし現実になった今はかなり役立ちそうだ。一つ弟子入りでもできないだろうか。


 老人はしばらく黙り込んだあと、静かに笑った。


 「李の旦那。」


 「お前さんの娘は……普通じゃないぞ。」


(機会...!弟子入りを申し込むための!)

 その日から、神童という呼び名は村中へ広がっていった。


その噂は、思っていた以上の速さで広まっていった。


 俺のいる青雲村と言う名の村は山奥の小さな村だ。


 当然何か珍しいことが一つ起きれば、一日もしないうちに全員が知ることになる。


 「李家の娘は二歳で薬草を見分けるらしい。」


 「文字も読めるそうだ。」


 「いや、それどころか弟子入りした医者の姜老よりも薬に詳しいとか。」


 噂は尾ひれがつき、いつの間にか私は“仙童”とまで呼ばれるようになっていた。

もちろん、それは言い過ぎだ。

アルケミストが教えてくれるだけだ、別にまだ超常パワーなど手に入れていない。


 それでも村人たちの目は日に日に変わっていった。


 私を見るたびに笑顔になり、頭を撫で、「将来は立派な仙人様になって村を助けておくれ」と口々に言う。

そう言われると笑うしかなかった。別に子供みたいに恥ずかしいとかそんなわけではない、ただ修仙者がどんな存在なのか、前世の知識で嫌というほど知っていたからだ。


 仙人は人を救う者ではない。

強者だ。民が想像している姿の半分だけ一致する。

誰しもが力を持ち、寿命を伸ばし、天を目指す者。


 善人もいれば悪人もいる。


 宗門同士で争い、資源を奪い合い、時には凡人など草芥のように踏み潰す。時には太上無情を目指しては他を全て虚無と扱うことだってある。

けれども俺はそうしない。絶対にそうならない。この世界が好きになったからだ。


理由は充分にある。

 「もう二歳ね、おやすみなさいい。」

今日も母さんから愛情いっぱいのお休みをしてもらった。そんな2歳の誕生日を迎えた夜。


 俺はいつものように霊泉のそばへ向かった、今度は1人で、母さんの子守唄を聞いて寝たふりをして。


 月明かりが山道を照らしている。


 昼間とは違い、村人は誰もいない。

小さな岩へ腰を下ろし、ゆっくりと呼吸を整えた。

青い幕が静かに開く。

 【修煉を開始します。】


 【周囲の霊気濃度を測定。】


 【最適経路を構築。】


 身体の奥へ霊気が流れ込む。集中せずとも楽勝に修行ができまする。こんなふうに頭を泳がせても効率は下がることのない、しかも以前とは比べものにならないほど滑らかだった。


 まるで細い川だった流れが、小川ほどの太さになったような感覚

(ん...いまいちピンとこない、言い表しね)


 それでも霊気が巡る。心地いい感じがたまらない。まるでたくさん寝た後に起きてストレッチしている気分だった。


 その時だった。


 胸の奥で何かがぱきりと音を立てた気がした。

全身が軽い。呼吸一つで世界が鮮明になる。

木々の葉擦れ。

虫の羽音。

遠くを流れる沢の水音。

すべてが以前よりはっきりと聞こえた。

青い幕へ、新しい文字が浮かぶ。


 【境界突破。】


 【練気1層に到達。】


 【初回突破報酬を配布。】


 【解析範囲拡大。】


 【精度増加。】


 思わずに息を呑んだ。


(もう……練気1層?)


 ゲームでは宗門へ入門してからようやく到達する者も少なくない。それをたった二歳で達成してしまった。


 極品の第6位の青霊根とはいえ凄すぎないか。

(これじゃ100年もしないうちには、築基だな)

 しかしすぐに興奮を抑えながら、自分を戒めた。


(落ち着け。)


(まだ練気1層だ。)


(オフィシャルがわかりやすく説明したは....この世界には築基、金丹、元嬰……その先にはまだまだ先だっている。そこへ行こうとするももう宗門ごとにしかないもの、野良の修仙者の限界点だ。)

功法も神通もない。とどのつまり今の俺なんて、ただ少し霊気を扱える子供に過ぎない、そんなことに浮かれて死ぬ転生者ほど愚かなものはない。はずだ。

チート能力があったとしてもなんの護身のための能力がないんだ。


 慎重に。


 ゆっくり。


 確実に。とにかくだ。


 そう自分へ言い聞かせながら立ち上がった、その時だった。


 青い幕へ見慣れない表示が浮かぶ。


 【大量の霊気を検知】


 【距離で推定して3...か...ビ、五年後にくる】


 【村へ外来者が訪れる可能性:83%】


 【危険度:なし】


 【推定……修仙者。】


 思わず足を止めた。


(なんだ今...いやそれよりも修仙者……?)


 こんな辺境の村に?


 前世の記憶を必死に辿る。いや無理だ、オープンワールドを売りにして、ランダム生成される村ばかりだ。いや。

(村か。確か場所によっては10歳前後に霊根測定が行われるイベントがあったはずだ。門徒を、弟子を招くために。)

「しかし...急だな...」

ゲームの中では春、秋にしかない。なら、ゲームでは描かれなかった出来事が、起きているのかもしれない。

(うーんある意味ここがちゃんと現実の証明にはなるだろうけど、一定の割合で。)


 そう可能性へ思い至った瞬間、緊張する。

ここをゲームの知識だけで理解しようとするのはまずいかもしれない。

(まぁ、なんとかなるだろう。)

そう決めて今は霊根測定にとにかく当たらないことだ


またもやかと言うべきに繰り返しの日々だった。

そうこうしているうちに季節は2度巡った。

仮病をしたり、身を隠したりと、宗門の測定を逃れてきた。幸い子供達にそれほど興味はないのか、彼らもそこまでくまなく探索や捜索してこない。

仙人のイメージぽいと言えばそいかもしれない。

 

 だから春が来て、夏が過ぎ、秋が山を赤く染め、冬が村を白く包む時を何度も無事に過ごして、そうして3歳になり、4歳になり、5歳になった。


 その頃には、青雲村で俺を知らない者はいなかった。

神童。仙童。百年に一人の才。


 様々な呼び名で呼ばれたが、俺自身は以前と何も変わらない。そこまで呼ばれるわけもないと思いつつも、少し浮かれてる自分は確かにそこにいた。

(なんにも違いはないはずなのに。)


 いや少しは違うか、今や朝は父さんの畑を手伝い、昼は母さんと家事をし、夜になれば霊泉へ向かい、誰にも知られず修煉を続ける。

まぁ、ただ、それだけだった。


 だが、その“それだけ”が詰めれば普通ではなかった。

5歳を迎えた頃には、俺の体内を巡る霊気は村人とはまるで別物になっていた。もはや凡人ではない。

動くたびに霊気を帯びてしまうからだ。これでは宗門に見られたら一目でわかってしまう。

(幸い、まだ親離れしたくないと思ってもらって、特には急かされていない。)

青い幕を開く。


 【李清雪】


 【年齢:5歳】


 【境界:練気5層】


 【霊根:極品青霊根】


 【総霊力:同境界平均の4.8倍】


 画面を見た俺は思わずに苦笑する。


(いや……さすがにまずそうか....)


 ゲームなら、この時点で宗門の内門弟子候補だ。

辺境の村で育った子供の数値ではない。

だからこそ、俺は修煉を人前で見せたことは一度もなかった。霊気もできる限り抑える。


 俺のチートシステム、アルケミストに頼んで作ってもらった方法、“斂気法”まで覚え、村人からは賢い子供にしか見えないよう装っていた。だがさすがにもう限界かもしれない、最近早く仙人様のところ行ってほしいみたいな雰囲気を薄々感じる。


 それに隠し切れないものがある。


 身体そのものだった。

肌は雪のように白いく、瞳は澄み切り、黒髪は艶やかに伸びる。

なぜならば霊気は少しずつ肉体を洗い、凡人とは違う存在へ変えていく。


 6歳になる頃には、村人たちは俺を見て自然と道を譲るようになっていた。


 理由は誰にも分からない。


 多分、「この子は何か違う」と、本能で感じているのだろう


「清雪」


 「はい、私です」


「ふふなんでもただ呼びたいだけよ。」

 そうして7歳の春。さすがにもう今の体には慣れてきたころ。一人称の話し方などは変えてきた。変わったと言うべきだろうか。

(私もう7年もここにいるのか....)

例えば心のうちとかは、まぁ、それでもたまに元の喋り癖が出てしまった変な顔で見られたりするから、なるべく心の内に変えている、前世との決別とも当初は思ったが、別にそれと言って行動や口調は変えていないから。


そんな慣れてきた日常も今終わる。


 山道の向こうから、鈴の音が聞こえた。


 澄み切った、高く美しい音色。


 私は薪を抱えたまま顔を上げる。


 青い幕が反応した。


 【高濃度霊気反応を検知のため緊急報告、個体数探知不可】


 【推定……修仙者。】


(来た。前回から2年ぶりか、まぁまぁ頻繁に来るものだ)

しかし今回はこんな場所まで鈴の音が聞こえるなんて、いささか違和感がして、なんとなく見に行こうと思った。

(まぁアルケミストくんの仕業の方がでかいが)

【目視を推奨します】とうるさく音を響かせている。


 村の入口では、すでに人だかりができていた。


 父も鍬を置き、母も洗濯物をそのままに駆けていく。


 私も後ろから付いていった。


 そこに立っていたのは数人。


 全員が白と青を基調とした道袍を纏い、腰には長剣を提げている。

(うぉ綺麗だ)

道袍の長さは足首まで届く長さで、白と言ったがなんだか外衣は雪のように白く、襟や袖、裾には深い青の縁取りが施されている。絹の生地以上に見える、光を反射とか光を帯びているみたいだ。


衣服には雲を象った紋章やらか、だがそれ以外には少し個性を出してきたりしている。


よく見ると衣の表には流れる雲、霞、波濤、松枝、仙鶴などの文様が異色の刺繍で織り込まれ、なのに遠目には無地や微かな逆光の反射程度にしか見えないが、陽光を受けるたび静かに浮かび上がった。袖は広く、歩けば鶴の翼のように見えるエレガントさ....。

(さっきから、アルケミストよ君は言ったなぜこんなにも見た目をナレートするんだ...?一応私には霊気があるから、人より目がきいてこれくらい見えるぞ)


(しかし白衣に冠か....私が知る程度ではゲームにはないものだったな)


 だが、村の皆から聞いてはいた、間違いない。玄天宗。


 噂程度だが、どうもこの周辺一帯を治める修仙宗門だった。


 当然村人たちは地面へ膝をつき、頭を下げる。


 「仙師様……!」


 「仙師様がまたお越しになられた!」


 先頭にいた青年の弟子が軽く頷く。


 「頭を上げ、我ら玄天宗。霊根を持つ子供を探し、この地を巡っている。恐る事はない」


 村長は深々と頭を下げた。


 「ぜひ村をご覧ください!」


 青年が答えようとした、その時だった。


 隊列の後ろを歩いていた一人の男が、不意に足を止めたせいか、彼は黙った。

(なんだ、リーダー格か?)


 30代ほどにしか見えないがもしリーダー格なら、相当年齢はいっているはずだ。

黒髪を金の冠で束ね、飾り気のない白衣を纏っている、に見えたが、それは上だけ見ればそ灰に白だが、よく見ろと言わんばかりにアルケミストが相変わらずにナレートしてくる。

過半を過ぎれば今度は淡い青が真ん中で両側には薄い銀の飾りのように刺繍があるか。

一つ言いたいのが、思ったよりも綺麗な服装だが、古代はもう少し派手好きと想像していた。

まぁゲームの中身宗門によってオレンジや黄色のがあれば、鎧もいたし、個性は豊かだが。

(ここまで淡いと、おそらく俗人的な面は最初から弱い場所か...)

入ってしまっては帰れなくなるんじゃないかと少し心配になる。あるいは完全に今の自分のような一般人に共感できなくなるのでは...【練気5層】少し一般人じゃないはそうだが、大事なのは共感しなくなるのでは。


(まぁ今はそれどころじゃないか。)

 30ほどの男は拂塵を手にして、背中に剣と少し他とは違うのは確かか。見た目からして



 そう、明らかに他と違う格好だった。


他を言えば、地味と言うわけではないが、他は

【白衣は雪より潔く、青紋は天雲を映し、剣を佩けば鬼神も道を譲り、歩めば山河もその威に粛し、風はその袖を送り、月はその影を慕るる。

して、これぞ塵世を離れた仙家の客、乱世を鎮むる青雲の士なりて。】

(...にしても、色々とずっと話してきたせいか、アルケミストちゃんが予想以上にうるさい子になってしまった。)

 

「...?!」


 彼が、立ち止まった彼が、こちらを見たんだ。感覚的にわかってしまう。

まるで周囲の空気が静まり返った気分で背中が冷えてきた。

だって鳥の鳴き声が消えてる、さっきまで心地よかった気がしなくもない微風より少し強かった風も止んでいる。


 誰も何も言っていないのに、玄天宗の弟子たちが自然と一歩後ろへ下がった。


(……この人。)


 青い幕が震える。


 【警告。】


 【解析対象の階位が高すぎます。】


 【解析失敗。】


 【解析失敗。】



 私は息を呑んだ。


 初めてだった。


 解析が、失敗した。


 男は村人ではなく、子供たちでもなく。

真っ直ぐ私だけを見ていた。

静かな瞳だった。


 だが、その一瞬で、全身を見透かされたような錯覚に襲われる。まるで自分が他を分析していたように。


 そして現代人からして少し不思議な光景も出た。。


 「師叔?」

銀髪の老人が明らかに男より背を低くし、事を聞いている。

 それでも男は私から目を離さないまま、小さく呟いた。


 「……妙。妙啊」


 「濃き霊気、しかし道に及ばず、身に入れるだけで天地の妙を手に入れず。」


 周囲の弟子たちが一斉に私を見る。


 私は心臓が跳ね上がった。


(ばれた……!?)


(いや、斂気法はちゃんと使ってる!なんで分かった!?)


 男はゆっくり私の前まで歩み寄る。

圧迫感はない。威圧もない。

それなのに、足が動かなかった。


 「名は。」


 「……李、李清雪です。」


 男は一度だけ頷き、村長へ視線を向ける。


 「歳を待つ必要はないが....今、この子の霊根を測りたい、村長、意見はいかがか。」


 それに対して同行していた老人が驚いた顔をする。


 「師叔、どうか宗規で」


 「責任は我が持つ。」


 その一言だけで、誰も逆らわなかった。

玄天宗の弟子たちは慌ただしく霊石を運び始める。

私は霊石を見つめながら、ごくりと唾を飲み込んだ。


(……これ吸収したらすごい成長が...)


 「長老、本当に測るのですか?」


 「こちらの識覚でこの子はまだ七歳になったばかりです故、経脈も十分には育っておりませぬ。」


 「十二正脈の内で五本も整えたと言ったら」


私はその様子を見ながら、内心では冷や汗が止まらない。もうバレてる


(落ち着け……。極品青霊根なのは問題ない問題は、その後だ。)


 前世のゲームでは、極品霊根は確かに珍しかった。

しかし、宗門が存在ごと揺らぐほどではない。

問題は、私自身だった。

7年間、毎日欠かさず修煉を続けてきた。


 極品青霊根、最適化されていく修練に霊泉。

体内の霊気総量まで測るならば、もう隠れる事もない。

(まだ成長したかったが...)


 「ふふ、小友、慌てる事はない」

男が微笑みながらこちらに言葉掛けをする。


いや、好意的だが、自分の全てを見据えられていてはやはりどうにも不安だ、アルケミストに頼んでみよう。

 しかし返ってきたのは無情な表示だけだった。


 【実力差が大きすぎます。】


 【隠蔽失敗を予測。】


 私は小さく息を吐いた。この際だ仕方ないと言うべきだ。

そして案外アルケミストも無敵ではないとわかった。


 青年弟子が霊石を地面へ据え、私へ微笑みかける。


 「怖がる必要はありません。」


 「この石へ手を置くだけですよ。」


 手をゆっくりと霊石へ近づける。

そん次の瞬間だった。


 轟ッ。


 霊石の中心から青白い光が噴き上がった。

最初は一本、次の瞬間には十本。

(Wow!きれい!)


 そして光は柱となって空高く突き抜けると思ったら今度はここいらが青い光へ包まれたようにみんなの顔はに光が当てられたようだ。


 それに霊気が暴風のように渦を巻いている。


 村人たちも思わず目を覆って叫ぶ。


 「ま、眩しい!」


 「何だこれは!」


 こちらの実力を見切った男以外の宗門の存在らの顔からも慌てる姿が見えた。

 「こ……これは……!」

 「極品青霊根!」


 「いや、違う!」


 別の弟子が震える声で叫んだ。


 「霊石が霊気を吸われている!」

全員が息を呑んだ。そんな音がした。

本来、霊石は測定するだけだ、吸収となれば功法を身につけないと無理なはずだと。


 【練気6層に到達 練気7層に到達 練気8層に到達】

 「皆、慌てすぎだ、莫慌(慌てるなかれ)」


そんな中慌てるなと言ってきた師叔と呼ばれた彼はゆっくり霊石へ手を伸ばす。

指先で軽く触れるだけ。それだけで暴走していた青い光は嘘のように静まり返った。

 男はそうしては次に私を一瞥し、小さく笑った。


 「やはりな。」


 その一言だけだった。


 しかし、次の瞬間。


 私の頭の中で、アルケミスト、青い幕が今までにない勢いで鳴動、明滅を始めた。


 【警告。】


 【警告。】


 【未知の観測を受信。】


 【本システムを認識されています。】


 【解析不能。】


 【解析不能。】

(……え?何を言ってる。認識?誰が?さっきから何。)


 ゆっくりと顔を上げる。


 男と目が合った。


 その口元には、わずかな笑みが浮かんでいた。


「師伯の言う通り縁有りか、如何か」


 「え..?如何...?」


「ああ、すまない、小友、我が名は公孫羅、師伯に変わりここへきた。」


 「公孫....」

(なんか覚えはあるような....公孫...羅...?うーん...?)


 「いかにも人呼んで公孫真人、玄天宗、霊剣峰の公孫羅」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。