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冒険と魔法の世界で果実は実る  作者: 休止中
第一章 世界を探す旅
7/9

図書館に行こう

「ここが街の図書館……普通の民家に比べてかなり大きいなあ……」


 偵察を終えて帰ってきた私はセンディールさんに事の顛末を話し、残りの自警団の方達にも通達してくださいと伝えた。いざとなれば私も協力するつもりでいる、とも。

 それを聞くや否やまたもや「ありがとうございます!」と手を握られたりもしたが、やや勢いがよかった事が原因かすぐに手を離し、林檎や喫茶店のお客さんは苦笑いを浮かべていた。

 一人だけいやに剣呑な視線がこちらに向けられていた気もするが、こちらは気にしない事にする。


 そしてその後、奴らに関しての情報を探るべく、何かいい場所はないかと聞いてみたところこの図書館なる施設を奨められたので、喫茶店の手伝いの休憩がてら訪れることにしてみた。


 開いているようなので入ってみると、人の気配はするが静まりかえっている。部屋を見渡して見たが、改めて外から見た通りに広い。そして直ぐに沢山の棚に並べられたこれまた沢山の本が目に入る。

 きょろきょろしていると”受付”と札の下げられた台の方から、

「こんにちは。初めてのご来館ですか?」

と声をかけられた。

 挨拶を交わしてから『図書館を利用するに当たって』という題名のついた冊子を手渡され、施設の説明を受けた。

どうやら建物内で読めるだけではなく、期限内であれば貸出して家に持ち帰って読む事もでき

るらしい。この制度はかなり便利そうだし魅力的だ。

 今日は貸出はしないけど、ちゃんと本を読むための場所もあるみたいなのでそこで読んでいこう。


                  ◇


「まったく……あいつ等は何故近くにいる自分たち以外の魔力反応が感知できないんだ?」


 暗がりの部屋で豪勢な椅子に座り、漆黒の服に身を包む男は誰に言うでもなく一人で呟いた。

 部下(しもべ)達を現場に残し「後は任せた」と言って一人だけ帰ってきた彼は、慣れない遠出で疲れた体を椅子にもたれかけさせ大きく溜め息をつく。

 既にその場から離れているはずなのに、まるでその場にいるかのような雰囲気を出しながら、彼はさらに言葉を続けた。


「あっおい、何で全員見当違いの方向に向かうんだよ……たかが子供ごときに逃走を許しちまうなんて、()()()()()()()()()()()()()()()」 

 そう呟くとにやりと口の端を釣り上げ、これから起こる事が楽しみで仕方ないという風に静かに笑う。

 男は遥か遠くの、今まさに村を強襲せんと息巻いている自分の部下達に向かって、今度は嬉しそうな様子で文句を言い続けながら一人酒を呷った。


                  ◇


 取り敢えず目的の本を探しながら本棚の間を歩いてるけど、ただ見てるだけでも読みたくなるような題名の本がいっぱいあるなあ……

『世界の可愛い獣種図鑑』に『よくわかる初級魔法の使い方』、『一度は食べたい伝説の食材十選!』とか――

 ――あ、もしかしてこれに載ってたりしないかな? 『図解でわかる世界の種族図鑑~完全保存版~』。さっき見つけた本たちと一緒に読書ができる場所に持っていこう。


 四角い質素な机と、小型だが柔らかそうな椅子が置いてある場所に来た。ここが館内で本を読める場所らしい。

 とりあえず目的の本で奴らの種族名やどのような習性なのかを調べようと、私は分厚めな図鑑をめくった。人族、エルフ族、竜人族、オーガ族……

図解付きのお陰で、自分の見た通りの姿をその本の中に見つけるまでさほど時間はかからなかった。

 他種族に比べると小さめの体躯、知性はあり言語も概ね話せるが大多数は性格は攻撃的で単純な傾向にある――彼らの名は〝ゴブリン族〟。

――[注釈] 我々人族に友好的な部族である〝ホブゴブリン〟についてはまた別項で紹介する。

 精密に描かれた図解にも記憶との大きな相違点はない……間違いない、どうやら敵の名前はゴブリンという種族名らしい。まあ今回襲ってくる奴らは問題なく蹴散らしても大丈夫だろうが、補足されている通り同じ種族でも人族に友好的な部類のゴブリンもいるらしいので、今後の旅では安易に敵と見なす事はできなさそうだ。

 後は他の本でも読んで休み時間を過ごすことにしよう……


                  ◇


 その夜。

 人々が仕事を終え寝静まる中、襲来の事情を知り異種族からの侵略を許すまいと街の警備に当たる者達がいた。

彼等は自警団の一員ではあるものの、遠征中の団員からするとまだ新参である。が、やはり彼等も街を危険から守るものであり、その自覚と決意はいずれ一騎当千の素質を持つ傭兵へと成長する可能性を秘めているのだ。

 追加で説明しておくと、優秀な傭兵は街よりさらに規模が大きい、国家単位での間で必要とされる程の貴重な戦力だ。

世界中にいるという冒険者――ことに長い旅で熟練の技術を身に付けた彼等にはとうてい及ばないにしろ、他国や他種族からの侵略に対抗するには心強い存在である。


 一方。

 その街の近くにある静寂な森の中では、血と闘いに飢えたゴブリンと、使役された獣達の野蛮な雄叫びが上がり、彼らもまた自分達の野望のために街へと向かうのであった。


 今、平和な街に突如現れた侵略者との戦いの火蓋が切られる……!

お読みいただきありがとうございます


誤字脱字間違った表現等は随時修正していこうと思います|ω・)ノ

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