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冒険と魔法の世界で果実は実る  作者: 休止中
第一章 世界を探す旅
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懸念の実態

読者「お前……死んだハズじゃ……」

作者「残念だったな、トリックだよ」

 どうしよう……まさか本当に()()()()がいるの?


 という危惧は、次の瞬間、遠くからかすかに聞こえてくる話し声で完全に現実のものとなった。


「……ろそろ休みもとれたし……に行ってもいい頃合いなんじゃねぇか?」

「…て、今回はこの前のちっこい村……ってそれなりにでけぇ場所だ……う少し考えろよ」

「そん……の、手懐けた獣と俺らがいりゃあすぐにぶ……せるぜ」


 途切れ途切れでしか聞こえなかったが、間違いない。明らかに獣とは違う、意思を感じ取れるが友好的ではない存在がこの場にいる。

 会話の内容からして、どうやら私の住んでいた村を襲っていた帰り――もしくはそのままここにたどり着き、センディールの街を襲撃する計画を立てているのだ。つまり、もしかしたらこのままでは自分がかつて暮らしていた村と同じ道を辿るかもしれない……


 そんな最悪の事態をまざまざと想像してしまった私は、あの日の記憶で恐怖に陥る自分と、冷静に状況を確認しようとする自分の異なる感情によって一瞬であれ混乱に陥り――その結果、先程転がり落ちるところだった眼前の崖から今度こそ足を踏み外すことになった。


「うわわわっ……」


 空を切ったつま先に引っ張られるように重心が前に傾く。それだけだとなんとか戻れた筈だった……が、残念なことに足場は私を支えてくれずに、もう片方の足と一緒に足元の地面が崩れ落ちる。そのまま情けない声とともに体が宙に投げ出されて――


「ふぎゅっ!」


 そのままくるりと一回転したと思ったら、さらに半回転して背中から着地してしまった。

謎の悲鳴はさておき、落ちた場所は土が柔らかく草が生えていたので、幸いにも骨を傷めることはなかった。しかし……


「おい、なんかいま向こうで声がしなかったか?」


「ほっとけ、どうせ(ケモノ)どもが暴れてんだろ」


「それはそれで問題だろ、もし人族に見つかったら今度こそ失敗するぞ」


 悲鳴と落下音(さっきの一幕)を聞きつけたのか、バタバタと忙しない足音がこちらに近づいてきた。これは見つかったらお終いだと咄嗟に判断し、とりあえずどこかに隠れようと崖の上にいた時に俯瞰で見ていた光景を思い浮かべる。


 奴ら(種族の正式な名称が判らないので暫くはこの呼び方のままであろう)がいた広場からこちらには直線上に納屋があるので、こちらを見ただけではばれることはないだろう。


 問題はどうやって奴らの目をかいくぐって隠れる事ができるか……もうあまり考える時間は残されていない。

もう一度崖を上ってこの場から離れるのはどうだろう? しかし今し方転がり落ちてきた崖を見上げても、少なくとも私の背丈の倍以上はある。加えて、自分の体重では足場が崩れるほど土が柔らかいのは身を持って実証済みだ。

 殲滅できることが可能だったなら話は早かったのだが、敵地内で短剣一本を頼りに一対多の戦闘を仕掛けるのは流石に愚鈍であろう。いやもしかしたらそんな事をしでかす人間はいるのかもしれないが、今の私にそんな力も戦闘の経験も無い……となると残りの選択肢はこれくらいしかない。


 途中で見つかる可能性をできるだけ減らすべく、足音を立てないように爪先から着地するようにして走る。広場からこちらに来るまでに存在するただ一つの遮蔽物、木材でできた古ぼけた納屋にまで近づき、極力静かに扉を開けて滑り込む。どうやら見つからずにここまで来れたようだ。


 ――さて、ずっと外にいるよりかは室内で隠れた方が良いと思ったけど、荷物や箱が散乱している様子は潜伏するにはかなり好都合だ。

うっかり足元の荷物を蹴飛ばさないよう、今度は慎重に納屋の奥に進む。奴らはまだここには立ち入ってないのだろう、所々うっすらと積もった埃に荷物を移動させた後や足跡は見当たらない。


 入口と反対側に向かうと磨り硝子の窓があった。気付かれなければこちらから広場が監視できるので、情報収集の為だと自分に言い聞かせ恐る恐る窓枠を最低限見える分だけずらす。


ギシギシと窓枠が軋んで音が立ってしまう――と言うようなことは幸い起こらず、覗き込んだ先の広場では、早々に捜索を諦めたらしい奴らが焚き火の跡を囲んで話しこんでいた。


「しっかし、あの後すぐ帰るかと思いきやそのまま進軍するんだもんな。おれぁ正直驚いたぜ」


「しかも前回の村より大きいのに、俺たちに任せるとかぬかして一人だけ帰りやがったしな!」


「正直言っちゃなんだがあの御方は時々なに考えてるのかわからない時があるよ」


「しょうがねぇ、あの御方の命令は絶対だ。ささっと略奪して手柄を立ててやろうぜ」


 どうやら奴らは名前のわからない『あの御方』なる人(?)物に指揮されており、今ここに当人は居ないという状態らしい。


今確認している現状、広場にいる奴らが全員ならおよそ七体程、後は獣だけであれば仮に街に下りてきても村の自警団の人達でも対処できるだろう……不意打ちでもされない限り。

 話の進み具合からして準備はかなり整っているようだ。一刻も早く街に戻って状況を報告しないと!

お読みいただきありがとうございます


誤字脱字間違った表現等は随時修正していこうと思います|ω・)ノ

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