表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険と魔法の世界で果実は実る  作者: 休止中
第一章 世界を探す旅
2/9

目覚めた少女


何もない場所。


音も光もない真っ暗で静かな空間。私が居るのかさえ分からない。


それでも前へ進んで行くと、やがてうっすらと光が見えてくる。


その光は徐々に凝縮されていき、何か丸い形へと変わっていき、

そしてぱっと弾けて、人の影を作り出す……


――そこにいるのは、誰?


いくら前に向かってもその影には一向に近づけない。


これは夢?


()()()()()()()()?



                  ◇


 また同じ夢をみて、私はふと夢から覚めた。

最近はよく夢をみるなぁ。まあ自由気ままな(放浪の)旅なんかしてて熟睡できるわけがないんだけどね。

まだ眠いけど、そろそろ目を開けなきゃなぁ、でも頭が重いなぁ……


 寝ぼけながらも目を開けないまま、うだうだとそんなことを考えているうちに気がついた。


 いつも寝ている地面の硬さじゃない。


 昨日は相当疲れてた事しか覚えてないけど、知らず知らずいい感じの芝生の上で寝れたのかなぁ。さすが私冒険者だね! って事は置いといて、なんか状況が分かるまで安易に目を開けていい気がしないのは……やっぱり冒険者の勘かな?


 自分がどうなっているか考えを巡らせる内に、頭だけでなく他の感覚も眠りから覚めたようだ。

 まず自分が寝ているところは土でも草の上でもないらしい。手触りも柔らかい。

それに森の中を歩いていると必ずする魔物の声もないし、そもそも風も吹いていない。


でも遠くの方からなにかの声が…… 人の声かな?


あとなんかいい匂いがする!


 そっと目を開けてみると、飛び込んできたのは青く広がる空ではなく、狭い天井だった。

真っ白な壁紙が、頭の方にあるらしい窓からの光を受けて少し眩しく見える。


 いつの間にこんなところに?と思ってから、今までの事を思い返してみる……


 探し物のために冒険の旅に出たのはいいものの、思ってた以上に長距離を歩くのはきついし、冒険者が得意としているいざという時の"魔法"も使い方はさっぱりだし、その上時々どこからか怪しい唸り声がしてくるし!

 肝心の水と食料も尽きてきたこともあって、そろそろ肉体的にも精神的にもやばくなってきた頃に街の光らしきものが見えて、入口まで行ったけど結局限界がきてそこで行き倒れちゃったんだよね……



 でもなんでぼんやりとしか思い出せないんだろう? なんか昔の事みたいな感覚がする……



 そんなへなちょこ冒険者(冒険系美少女)の残念な旅の事を脳裏に甦らせている内に完全に目が覚めたので、視線を動かして真横になった部屋を注意深く見る。

 どうやら人影はないみたい。あからさまに危険な雰囲気もしないし、なにが冒険者の勘よ!

 体を起こすと、壁際に自分の持っていた小型の荷物入れ用の袋((※バックパック))が置かれているのが見えた。

 さらに部屋の中を見渡してみる。薬と本が置いてある棚と、魔法の力を高めてくれる植物の鉢植えが置いてある。ベッドもどちらかと言えば簡素なものだし、ここは診療所なのかな?


 しばらくきょろきょろしていると、不意に声をかけられた。


「やあ、目が覚めたみたいだね。気分はどうだい?」


「!!」

 いきなり話しかけられて驚いてしまった。


「ご、ごめんなさいびっくりしちゃって……お陰さまで良くなりました、ありがとうございます」


 この人が治療をしてくれたのだろう、なんとなく魔力が高そうな雰囲気をもった老人だ。

 ――魔法もろくに使えない私が何で他人の魔力が判るのかも不思議なんだけど……


                  ◇


 しばらく話をして、当時の事を聞くことができた。

どうやらたまたま巡回で見回りに来ていた住民の一人が、街の入り口付近で倒れてしまっていた私を発見してくれたらしい。最近は魔物が頻繁に目撃されるので、慌てて医療所に運び込んでくれたようだ。


「街の人たちも心配していたよ、なんせ三日三晩寝込んでいたからね」


 なるほど、私相当疲れてたんだなあ……そりゃ記憶が鮮明に思い出せなくて昔の事のように思えても無理ないよ。

 そしてあんまり長居するのも申し訳なく思ったので、そろそろお暇しようと荷物の中身を確認していた私は重大な事に気が付いたので、当たり障りの無いようにさりげなく聞いてみることにした。


「本当にありがとうございました!


 あ、あのっ、治療とか……の お代の方は……」


 結局最後の方は少し声が小さくなってしまった。実際不安げな気持ちが顔に現れていたのだろう。老人は気の優しそうな顔を笑顔に変えて言った。


「いやいや必要ないよ。それより観光でもして楽しんでってくれ。この街に一つしかないけど、喫茶店があるからそこに行ってみるといいよ。君を見つけてくれたのもそこの店主だ」


 治療と介抱をしてくれていた時点で勝手ながら『優しい人』認定してた私は、今度こそ自分の考えが間違いない事を直感した。この人はいい人だ! 文字通り命の恩人!


 あとでちゃんと道端で倒れてた私を助けてくれた人にもお礼を言いに行かないとね。

 でもその前に街を散策して買い物をしたいかな。

 あ……


 もう一度ありがとうございましたと言って診療所を後にした私は、早速その喫茶店とやらに行ってみることにした。情報収集も大事だし、ちょっとお腹もすいたし。






 まぁ『路銀尽きてたから払わなくて良かった』なんて思わなかったって言ったら嘘になるけど……

 あと食料の買い込みもどうしよう……

お読みいただきありがとうございます


誤字脱字間違った表現などは随時修正していこうと思います|ω・)ノ


【加筆修正】

30,10/16 言い回しや回想、描写とルビ振りの追加と修正

31,2/8 文章の改行間隔を修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ