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【エッセイ】こんな私でも、何とか人生送れてます  作者: SaiKa


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5/7

予期せぬ出来事に直面すると、どうしていいか分からない。


それは今も昔も変わらない。


それは小学一年生のある日の出来事。


父は会社勤め、母はいわゆる専業主婦。


ただ、その日は母方の祖父の見舞いがあり、私が学校に帰る頃にはまだ病院の可能性が高かった。


私に家の鍵を持たせるのは怖いと判断したのだろう。


母は、近所に住む親戚に私の面倒を頼んでいたようで、朝、学校に行くときには「今日はみっちゃんの家に行くんだよ、頼んどいたから迷惑かけないようにね」と何度も言って聞かせた。


そして、私はその約束を忘れることなく、何度も繰り返しつぶやきながらその日の学校生活を終えた。


しかし、帰り道、思いもよらない事態に直面する。


それは、今で言うゲリラ豪雨のような夕立だった。


ほとんどの児童が傘を持たず、途方に暮れていた。


私も、雨宿りしてでも過ごすつもりだったが、朝の母からの一言が脳裏によぎる。


「迷惑かけないようにね」


もし、帰りの時間を母が伝えていたら、どうだろうか。

傘を持っていかなかったことを知らないみっちゃんのお母さんは、帰りが遅いと心配するかもしれない。迷惑をかけたら駄目だ。


そして、私は片道20分以上の道のりを、自分の体よりも大きいランドセルを背負いながら一生懸命、帰っていった。


雨が上がる気配を見せないまま、やっとの思いでみっちゃん家までたどり着いた。


頭から足先までびしょびしょで、歩くたびに靴から水が出てくる。


ランドセルの中もぐしょぐしょだ。


そして気づく。


もし、このまま、みっちゃん家に入ったら、迷惑なのではないかと。


私は考えた。


迷惑かけないためにどうしたらいいのだろうと。



その日の夜、父と母が家に帰ってきた。


玄関の前に立ち呆ける私を見つけて泣いている。


そう、私はびしょびしょに濡れたまま、自宅の前で立ち尽くしていたのだ。


どうしたら、迷惑をかけずに済むのか、もし、私に多少の図々しさ、いや、積極性があれば、みっちゃんにタオルを借りたり、とりあえず、家のチャイムを鳴らして対応してもらうことができたかもしれない。


しかし、当時の私には、どうすることもできず、誰にも迷惑をかけない方法として、家にいることを選んだのだ。


ただ、着替えもせず、濡れている私。


母に、なぜみっちゃん家に行かなかったのか怒られるも、濡れていたからという私の言葉に、泣くしかできなかった母。


今思えば、いつになっても帰ってこないと、みっちゃん家は私のことを心配したのだろうかと気になるが、それよりも、この件を境に、母と担任の連絡帳のやりとりが加速度的に増えていくのだが、このときはまだ知る由もなかった。



このときの担任と母のやりとりを記した連絡帳は、まだ私の机に残されています。

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