#54 アンセムを叫ぶ夜
(2026/03/02)
室温を上げて数時間。
小鳥は、いつも通りとまではいかないが、少し元気を取り戻した。
止まり木から降り、おもちゃで遊び、また止まり木に戻る。
そして「出せ出せ」と主張を始めた。
まだ警戒は必要だが、ひとまず緊急性はなさそうだ。
夕方、ようやく胸を撫で下ろす。
安心した途端、お腹が空いた。
何を食べようかと考えていたら、妹からLINE。
Xで見つけた美味しそうな店を共有してくれた。
最近、妹の返信はやたら早い。仕事が落ち着いたのか、ただの現実逃避か。どちらにせよありがたい。
一昨日、カンブリア宮殿で見たバーガーキングを思い出し、私は「バーキンパーリー」を持ちかけた。
バーガーキングを買って、カラオケに行く。
些細だが豪勢なイベントだ。
妹は乗ってくれた。
さらに妹の同居人も加わり、三人でのパーリー開催。
ホッと安心した反動の、カラオケ夜。
勢いよく買ったワッパーは、半分で満足してしまった。
残りの半分は、テーブルの上で冷めていく。
妹と友人の歌声が室内に響く。
私も身体を揺らし、歌い、叫ぶ。
今この瞬間、家は暖かく、暗く、静かだ。
きっと小鳥も休めているはずだ。
そうであってほしい。
だから私は、カラオケボックスでアンセムを叫ぶ。
早く寛解して、私の小鳥。
家に帰って、一人冷たくなっている未来だけは絶対に嫌だ。
何事もなかったかのように、
いつもの声で鳴いておくれ。




