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大賢者様はなにもしらない  作者: レフ・エルザ
12/19

朝食は大切に。

翌朝。

扉をノックする音が聞こえた。


「トトナー。迎えに来たよ」


レアの声だ。

それはそうと、すごく眠たい。

窓をみるとようやく空が白く光り始めた頃の早朝だった。ほぼ夜明けだと言って良い。

どうやら、レアの朝は早いようだ。

俺は急ぎ、パジャマ代わりのスウェットを脱ぎ、遠足の小学生よろしく枕元に用意してあったジャージに袖を通し、手ぐしでざっくりと髪を整えた。

玄関の鍵を開けると、そこにあったのはレアの顔ではなく、巨大なイノシシらしき物体である。

らしきというのはあまりの大きさだからだ。熊ぐらいありそうな大きさだ。


「トトナの家に来る途中に大物がいたから仕留めたんだ。一緒にごはん食べよう」


イノシシがまるでしゃべっているかのように鼻先が上下するがとりあえず、生きてはいないようだ。

イノシシの鼻先がひょいと上に持ち上がると、レアの顔が見えた。

イノシシの抜け毛まみれなのはまだ良いが、口から流れるイノシシの血液が頭から流れていて、朝からなかなかホラーである。


「朝から肉って元気だなぁ」


正直、朝は軽く食べて済ます派なので肉はヘビーすぎて、考えただけでなんだか胃もたれしそうだ。


「やだなぁ~肉以外に何食べるのよ。動物と違うんだから草なんか食べないでしょ?それとも水辺の集落の人たちみたいに魚でも食べるの?」


どうやら、肉食文化というか、肉しか食べない文化のようだ。

すごい栄養が偏りそうだ。


「それでそのでっかいイノシシ、どうやって食べるつもりだ?」


「んとー。お腹裂いて。まずは内臓を新鮮なうちに食べて、次に脂ののっていそうなあばらあたりを?」


「生でもしゃもしゃと?」


レアは当たり前と言わんばかりにきょとんとした顔で2度うなずいた。

でたよ。今日も生肉系女子。

俺が現代人で草食男子すぎるといっても、さすがに肉は食べるけど、そこまで生って事はない。

この激しく生食なのはなんとかしたい。

そのうちに腹壊しそうだし。

とりあえず、今日も【調理】に頼ろう。


レアにイノシシを巨大な緑の葉っぱをたくさん重ねた上に置いてもらった。

なお、巨大な葉っぱはこの大森林のなかに山ほど生えているのでいくらでも調達できる。

俺はスマフォのカメラでまずはイノシシをうつす。

いくらか料理名が並ぶが、やはり材料が足りなくてほとんど灰色表記である。

料理名の中で俺が食べたいと思ったメニューもやはり灰色表記で実行できない。

でも、材料集めればできるんだよな、と思い、何が足りないか確認した。


───塩、こしょう、氷の元素、好みのハーブか。


ハーブは省略できるし、これはできそう。


もうひとつは──塩、こしょう、香りの良い木、風の元素、水の元素、火の元素


香りの良い木が問題だけど、他の材料はなんとかなりそう。

そして香りの良い木だが、これは植物に興味の薄いレアに聞いても厳しそうなので・・・


「召喚魔法でドリュアスが良さそうかだな」


木の精霊のため、木の媒体が必要なようなので一番家に近い手頃そうな木を選んだ。

なかなか立派な幹をしたその木はたくさんのどんぐり状の実を付けている。

気に入ってくれるといいけどな、と思いながら、ドリュアスをダブルタップする。

すると、木が光り始めた。光が収まると木の前に白いワンピースを着て、緑の髪に月桂樹の冠を身につけた褐色肌の美しい少女が現れた。

突然現れた少女にレアが驚いて「何?誰?何があったの?」と俺の周りをうろついているがとりあえず放っておこう。


【木の精霊ドリュアスの召喚に成功しました。名前を入力してください】


「ぽんたとちがってちゃんとした木の精霊だな。名前はそうだな、リリーと名付けよう」


ぽんたのとき同様に名前を入力し、決定する。

名前の入力と同時にドリュアスのリリーが目覚めた。

瞳の色も髪と同様に翡翠のように濃い緑色である。魅了の魔法がかかっているのか心が引き込まれそうな美しさである。


「ご主人様、リリーに何か用・・・?」


リリーの声は消えそうな程小さい。


「燻製に使えそうな香りの良い木を探しているんだ」


リリーは少し考えた後に、口元に手を当てて聞こえないほど小さな声で何かをつぶやいたかと思うと、両手の平を上に向けてそこに息を吹きかけた。すると一振りの立派な木の枝らしきものがそこに現れた。木の枝らしきものと曖昧なのはその枝がガラスでできているかのように透明でキラキラと輝いているからだ。


「ユキザクラの木が一振りの枝をわけてくれたよ。これなら良い香り・・・」


リリーの手から受け取ると枝は細かく崩れてチップ状になった。

燻製用にといったから気を利かせてくれたのだろう。

俺はそれをイノシシのそばに置き、塩とこしょうも並べた。

材料はそろった。

早速スマフォで読み込み、俺は目当てのメニューを二つタップする。そして残った部位は精肉に加工を実行。


選んだメニューは【ソーセージ】と【ベーコン】


朝から肉がっつりはつらくても、このふたつと目玉焼きは最強だと思う。

相変わらずのファンタジーのご都合主義なぽんという音を立てて、いくつかの肉のブロックと俺がほしかったソーセージとベーコンが葉っぱの上に並べられるように現れた。

燻製予定はベーコンだけだったのだが、一緒に並べたおかげかソーセージからも良い燻製の臭いがした。

さあ、おいしい朝食をつくろう。

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