続・スマフォは大切に。
とりあえず、動くのは明日と言うことでと、伝えると、レアは一旦集落に帰るということになった。
さすがにね、ワンルームに女性を泊めるのは気が引けるという紳士な俺。
「雌を口説くのにはたまには強引さも必要だと思うだぁ~」
後ろでぽんたが何かしらつぶやいているが気にしないことにしよう。
レアは、現れたときに担いでいた角付きの熊を再び担ぐと、手を振って「また明日」と言って帰って行った。
ぽんたのつぶやきが頭に何度もくり返し再生されるけど、きっとこれでいいのだ。
「さて、明日は遠出になりそうだから準備しないと」
リュックサックとウエストポーチをクローゼットから取り出す。
主に学生時代に旅行用に使っていたもので、最近は職場と自宅の往復しかしてなかったのでこれらの出番も久しぶりである。
「スマフォとやらの充電するモバイルバッテリーだかももっていったほうがよいぞぃ。おぬしの魔力はそのスマフォとやらの電池残量じゃから、スマフォが使えなくなると言うことは魔力切れを示して、何もできなくなるからのぉ」
「えっ!?」
またもこのじいさまはとんでもないことをさらっといった。
つまり、スマフォの電池切れ状態になると、魔法型のステータスな俺は一切の魔法が使えなくなり、役立たずの丸裸同然になると言うことである。
「ちなみに、急いで戦士型のステータスに振っても、結局力を強化するのもそのスマフォとやらの依存になるから、一緒だからのぉ、電池切れには十分注意するのじゃ。もちろん、紛失は最悪じゃ」
「なくすとどうなる?」
聞くのが少々こわいが、ここは把握しておかないととんでもないことになりそうだ。
恐る恐るじいさまに聞いてみた。
「一切の能力が使えなくなるということはこの世界の言葉ももちろんわからなくなるのじゃ。おまけに元の世界にも帰れなくなることになるのじゃ。なにしろ、おぬしの給料は通帳にと言ったが、正確にはまずはそのスマフォに振り込まれて、この世界での運用ができるようになっておる。つまり、課金によっておぬしを強くすることができ、そして残った分が通帳に振り込まれるという仕組みになっておる。なお、スマフォの破壊は死を意味するのじゃ。まさにおぬしの命はそのスマフォに委ねられていると言って良い状態じゃぞい」
「究極のスマフォ依存症じゃねぇーかっ!さきにきちんと説明しろよ!」
まさか命すらスマフォにかかっているとは思わなかった。
ステータスにでていたスマフォ依存症は余計なお世話と思ったが、かなり重要な状態であった。
そうとも知らずに普通にいつも通りに操作していた自分が怖い。
今更、今までの行動が頭にフラッシュバックしてきて、やばさで頭を抱えた。
コロコロ虫が危険な生物だった場合、スマフォが壊されていたかもしれない。
あんなにスマフォを掲げて落として壊していたら・・・
とりあえず、これからはぞんざいな扱いはしないことを誓おう。
「あと、リターンの魔法と使うとこの拠点である家に帰ってこれるから、それは安心すると良いぞぃ。ただし、建物の中などでは使えないから気をつけるのじゃぞ」
「わりと最初の時に比べたら親切に教えてくれるけど、どういう風の吹き回しだ?」
最初に鼻くそほじりながら尻かいてろくに説明せずに消えたやつと同一人物とは思えない説明ぶりに、逆に不信感を感じた。
これはなにか隠していそうな予感が・・・
予測が当たったのか、目を白黒させて、明後日の方向を見るじいさま。
「いやの~・・・実はわしのクレジットじゃが、ちょっと手違いがあって引き落としの残高がこのままじゃと足りなくて赤字になりそうなのじゃ。おぬしに早くこの世界に貢献してもらわないと、わしの給料が振り込まれず、赤字になれば最初に説明したとおり・・・」
「かなりやべー状況じゃねーか!どうやったらじいさまの給料になるんだ?」
「そうじゃのぉ。細かいことがいろいろあるが。大きくまとめるとこの世界が発展すること、わしへの信仰が深まることの2点じゃ。世界の発展じゃが、これは危険なものに関してはむしろ失点となり、大きな負債を抱える羽目になるから注意じゃ。例えば、おぬしの世界の神は原子爆弾などの大きな負の遺産を抱えてしまい、頭を抱えていたのぉ~。蛇の白焼きは食文化の発展で今のところプラスに動いておるからこれがどれだけ浸透して利益を出すかが今のところ唯一の資産じゃ」
つまり平和な方向に世界が発展すればいいわけで、蛇の白焼きのようなものでも貢献につながるようだ。
今日、レアが自分の集落にその知識を持ち帰って、どこまで広がるかということ次第ということになる。
「とりあえず、今日明日でどうこうなるわけじゃないんだろ?いつまでにどうしたらいい?」
「期限は1ヶ月。この世界の暦もおぬしの世界とほぼ同じじゃ。1ヶ月は30日じゃ。どうしたらということは何とも言えないが、多くのものに知識を広げて、この世界を平和的に発展させるのじゃ」
腕を組み考え込んだが、あまりに抽象的すぎて今はまだわからない。
とりあえず、1ヶ月以内に蛇の白焼きに続くなにかをこの世界にはやらせたら良いと言うことなんだろう。
そのためには人の集まるところに行かねばならないな。




