フリュス・1
再開しました
「ん・・なんか長いこと時が止まっていたような気がする・・。なんか体だるいし」
俺はグイと体を動かして言う。
「気のせいだろ。」
と神官
「まぁ、そうだな。神官のあんたが言うなら・・で、フリュスに行くんだっけ?」
「ああ、まぁ、お前にはそこで二つの事をしてもらう。まぁ、ここでは先にやってほしい、知ってほしいことを言っとく」
「おう」
「お前にはフリュスで「付喪神」を出してもらう」
「え、ええ・・」
「付喪神」・・まぁ、日本的に言えばそういうことなのだろう。
ゲーム時代、このシステムはほぼネタだった。
この「付喪神」システムはある程度使い込んだ武器を、「付喪神」に変える、いわゆる召喚士以外でももてる「モンスター」「式神」にできるという、一見便利なシステム・・。
が、これ、元になる武器の強さで「付喪神」の強さもある程度操作できるのだが(元の武器が強ければ強いほど付喪神も強い)細かい能力、スキルはほぼランダム、つまり強い武器を出したのに、できた「付喪神」があまりにもクソ、と言うことが起きる可能性が大なのだ。
おかげで実装当初はそれなりに人気だったのだが、すぐ誰も寄り付かなくなった。
「・・・で、どの武器を出せと?」
「もちろん「白烏」だお」
「ふざけんな!だおじゃねぇだおじゃ!あんたこれとるまで俺がどんな苦行を・・」
「あーあーうるさい、じゃあわかった。2番目でいいんじゃないの、2番目で」
「2番目・・」
そう言えば、俺が持ってる武器で2番目に強いのってなんだっけ?
たまにあるよね、2番目がわからないっていうの。日本の2番目に高い山あんまり知らないもんね。
「あー・・ちょっとアイテム見てみます」
「おー」
数分後
「あった・・これか・・」
俺の二番目に強い武器
黒刀「夜叉」
「おー、なかなかええやん」
神官もこれならいい、とうなずいている。
「よし、じゃあフリュスへのゲート、ひらくお」
凝りもせず語尾に「お」を付ける。
ブウンと空間がねじ曲がる音がして、フリュスへの門が開く。
「じゃあ、行ってきますわ」
「おお行って来い!」
そう言って俺は門の中に入った。後ろで毛玉がゴキを食べていたが、おそらく気のせいだろう。
「フリュス」この世界の海に面しており、貿易が盛んで町に活気がある。
この世界の物が集まるらしく、大通りは露店でいっぱいだった。
しかし、俺がこれから行く店「鈩」(たたら)は、この道から一つ外れた通りにある。
で、今俺はその前にいる。
「すいませーん」
俺はドアを開け、中を見回す。
武器屋と言うわけではないため店内には武器も何もなく、カウンターだけ。
「はい」
俺の声に気づいたらしく、店の奥から(おそらく)店の人が出てくる。
「あ、君健君?神官様から聞いてるよ。「付喪神」を出すんだろう?」
「あ、はい」
「じゃあこっち来て」
そう言われ、店員さんの後ろについていく。
そのまま店の奥に行くと、・・何もない。
作業台のようなものもなく、部屋があるだけ
「まぁ、付喪神は身一つで作れるからね」
と、店員さんが俺の心を読んだかのように言う。
「・・さて、一つ聞くけど君、「霊視」のスキル持ってる?」
「??霊視??」
「あーと・・まぁ、相手の能力や体力が見えたことがあるとか・・」
「ああ、ありますよ」
たしか豪鬼とかの時にあった・・はず
「ふう・・よかった。「霊視」スキルがないと「付喪神」見えないから」
「え」
「まぁ付喪神はその武器の「魂」だから。どっちかツーと「霊」に近いとこがあるんだよね」
「そうなんですか・・」
「よし、じゃあ、やるよ。武器出して」
「はい」
俺は腰に下げていた「夜叉」を渡す。
「へぇ。なかなかいいね。・・じゃあ、行くよ」
そういうと店員さんは夜叉の刃の部分に手を伸ばした。
「あ、危ない・・」
「大丈夫。見てて」
そう言うと、そのまま手を夜叉の細い刀身部分に「突っ込んだ」
「えええええ!!!」
「よーいーしょ!!!」
そのまま勢いよく手を刀身から引っ張ると、刀身部分から人?が出てきた。
「ほい、これが君の刃の「付喪神」だよ」
店員さんはそういうと、店の方に戻ってしまった。
「これが・・付喪神」
目の前にいる「夜叉」は、もはや剣ではなく「人」だった。
白髪であり、目は死んでいる。上半身は裸で、鍛え上げられた細マッチョな肉体を見せつけられた。
さすがに下はズボン(だぼだぼ)を履かされている。
ちなみに身長は17・・5、6と言ったところだ。
「・・・着る物をくれ」
「え!?話すの之!?」
「当然だ。意思がある。「物」にもな」
夜叉は低い声でそう語る。
「お・・おう・・。じゃあこれ」
ほい、と黒いTシャツを渡す。
「・・・気に入らん」
「は?」
「なにか「グミ」とか書いてあるやつにしろ」
「ダサT!?ダサTがいいのか!?」
くそ、こいつの好みがよくわからん・・!
「ならこれでどうだ!」
俺は「廃人」と書いてあるTシャツを夜叉に投げる。
「・・・よい」
「マジか!ほんまもんのダサTだぞ!」
イケメンがダサTを着るとは・・なかなかシュールだ。
「まぁこれで一つ目の役目終了か。」
そう思い店のカウンターの前まで戻ると、そこに店員さんが立っていた。
「おお、いい感じのができ・・・」
ダサTか!ダサTで言葉を失ったか!
「まぁいいや。ま、頑張ってね」
??何をだ?・・魔物組織の事か?
「はぁ・・頑張ります・・」
「よし!なら行った行ったぁ!」
「えちょ!」
俺は店員さんに無理やり外に出された。夜叉と一緒に。
「まぁ、これからよろしくな、夜叉」
「俺はずっとお前のカバンの中にいたが」
「あそうか」
「まぁ、そうだな。よろしく」
「ああ!」
無愛想で目も死んでいるが、良い相棒ができた。




