31話
その日の夕方からW杯サッカーの決勝トーナメントが始まり日本はトルコとの対戦があり楽しみにしていたが集会前に時間は取れないか?と伊勢から連絡があり観戦を諦めて集会場所に出かけた。
伊勢一人だけでこう言われた。
「実は今回、兄弟を主導者任命の推薦を出したのですが近集監督が他の主導者団に異議は無いか尋ねた時に加藤兄弟が手を挙げて久米原兄弟は、至高書朗読を個集に繁栄させていないとの異議が出たんです。それを詳しく説明するよう言われた加藤兄弟が1度久米原兄弟と話し合いを持ちたいから今回の推薦は白紙にして欲しいと言われ監督は了解しました。」
言っている意味が分からなかった。至高書朗読を個集に反映させていない?意味不明だった。反映させるとは何をする事なのか?そして不可解な加藤の呼び出しを思い出した。
それと…言いずらそうに伊勢が言葉を続けた。「実は久米原姉妹がグループの成員に圧力をかけて司会者の生活をグループの成員は支えなければならないと言ってた事も加藤兄弟が話して近集監督は、こうした点を改善しないなら今の特権も降りてもらわなければならないと言われたので姉妹に注意を与えて下さい。監督はこうした事をしばらく見守りたいそうです。」
もう、この時点で全てが読めた。今回の騒動の陰で加藤が暗躍していたのだ。
もう一つ思い出した事があった。少し前に突然佐藤姉妹が米や野菜その他を持って3回程来た事があった。
あれは、多美子が懐き信頼されている事への感謝かと思ったが違ったのだ、加藤が自分の妻を利用し佐藤姉妹に働きかけていて既成事実だけを作っていたのだ。加藤の妻は、こちらでの佐藤姉妹の探求司会者だったからだ。
私は伊勢に挨拶もせずに立ち去った。
その日は、グループの書籍探求があったが体調不良を理由に休んだ。
W杯は日本が敗れた。そしてその夜の隣の国対イタリア戦は後々までW杯の汚点とまで言われている試合でイタリアが敗戦した。恐らくイタリアやチームやファンは、その時の私達夫婦と同じ気持ちだったはずだ。
このままでは済ませないぞ!不意に昔の春川宗田岸田笹山安藤を思い出していた。
そして決意した。絶対に泣き寝入りはしないぞと。
次の日に加藤の職場に行って挨拶無しにこう切り開いた。
「至高書を個集に反映させるって意味不明だどうすれば良いか教えてください!」
加藤は突然の訪問に慌てていた。
「え?なんのことですかわかりません」
「近集監督の訪問の時に何言いましたか?あっ違った!どんな嘘言いましたか?」
カタカタカタカタ意味不明言語を並べ立てていた。この男は難しい事を言われると普通に話せずカタカタカタカタとしか言わなくなる。
「だから近集監督の訪問で何言ったか言ってください!」
カタカタカタカタ わ、私は特に何もカタカタカタカタ。
それで伊勢から言われた事を全部ぶちまけるとこう言った。
「そ、それはカタカタい、伊勢兄弟が言った事ですカタカタ。」
「分かりました。全てこれで録音してますから」ポケットから壊れたラジオを出すと加藤は青ざめた顔で震えていた。ニセモノとは分からないみたいだった。そして帰って行った。
反省しすぐに非を認めるかと思った加藤だが意外にも特権を降りる事無く普通にしていた。だが私の知らない所で妻が行動を起こしていた。
今迄、加藤から高額商品を買わされた姉妹達一人一人当たって加藤の悪行を調べ上げていたのだ。それら全てを突きつけられた加藤は反省も謝罪もせずにある日、薄笑いを浮かべた後に妻子を捨ててトンズラした。だが今だに何の咎めも無い…。
それから自分にも変化が起きた事に気づく。
前のようなヤル気が起きなくなっていて毎日こう考えていた。全知全能のエルヒム神は何で加藤や春川宗田岸田笹山安藤みたいな存在を許しているのだろうか?と。
それから個集で特権に対する気持ちも薄らいでいた。その頃から私を主導者にする修行みたいな物だからと言って遠くのグループに駆り出されるようになっていたが嫌がらせにしか感じなかったが…。
そして、もう一つの変化が起きていた。あれほど懐き、くっついていた多美子が寄り付かなくなっていた。思春期特有の行動だと思っていたが多美子とは二つ違いの葉月と望美には全く変わらずに中学生になっても懐かれていたので不思議に思っていた。
その理由が分かったのが多美子が高校3年生になった時に全て分かり同時にこの組織の正体にも気づくのだった。
続く。




