32話
時を加藤事件の前に戻す。
アジア初のサッカーW杯が近づきテレビでのトップニュースが毎日日本代表のニュースばかりな頃の事。
以前から私に懐いていた佐藤多美子の私への密着が強くなっていた。小6の多美子は背が高く横から密着されると普通の成人女性かと思える感じだが今だけの行為でその内に近寄らなくなると考えていた。
事実、多美子が中学生になると全く寄り付かなくなっているだけでなく私が近寄ると極端に嫌な顔をするのであった。
これが思春期特有の行動だろうと思っていた。
やがて多美子より二つ下の葉月と望美も中学生になる時に2人共近寄らなくなるんだろうなと考えていたら意外なくらい近寄るのだった。特に小学低学年の頃から「久米原兄弟大好き」の望美は何度となく腕を絡ませてもいる。
思春期にも色々あるんだなくらいにしか思わなかったが、ある日多美子にしきりに近づく存在に気がついた。伊勢輝子である。
輝子は何度となく多美子に近寄り自分と至高書探求するよう熱心に迫っていた事に気がついた。まさか多美子の行動の背後に伊勢輝子が…?ふと、伊勢兄弟は輝子に逆らえずに言いなりになって気にいらない人間を追い出すという噂を思い出していた。
ま さ か が当時の気持ちだった。まさか多美子に圧力かけ私に近寄らないようにさせた?
答えは多美子が高校3年生の時に明確となるのだった。
加藤が逃げてからも何とか個集の責任を果たしていた。私は主導者を目指すという建前ではあるが遠くのグループへ押しやられて遠い場所の為に苦労はしていたが特別不服とかは出さなかった。
ただ近集監督の訪問に嫌悪感が出ていた為に以前ほど熱心には参加しなくなっていた。
もし近集監督がまともなら加藤を主導者に推薦しないだろうしまともな日本語使えない加藤をすぐに主導者から下ろすはずと考えてあっ!と思った。
これって探求始めた時から長く疑問に思っていた事ではないか!て事に気づいた。もっと早く気がついてしかるべきだと。
更に昔の中川時代に親しかった兄弟から安藤信男までが主導者に任命されたと聞いて益々疑問が強くなっても行く。エルヒム神は何をされているのか?と。
そうして再び私と多美子が接触する機会が訪れていた。ある姉妹の探求生が集会に来るようになり幼い息子が2人いた。下の息子はまだ1歳になっていないが上の息子は3歳で人見知りを全くせず様々な成員に懐き出し私の所に来るのにも時間がかからなかった。
集会前後に必ず抱っこを要求していた3歳児はある日から多美子に懐き始め抱っこ疲れした多美子は男の子を私の所に連れて来るようになり多美子から離れるのを嫌がる男の子が面白くて毎回男の子を間に多美子と一緒の時間が出来ていた。何の事は無い多美子は普通に近づいて来るのだった。
それが伊勢輝子の目に届かぬはずが無かった。それが原因で全て分かるのだ。
ある日突然伊勢兄弟に呼び出されこう言われた。
「実はですね、兄弟の講演が何を言っているか分からない人が多数います。それでしばらく講演当てて無かったのです。」
それは感づいていた。加藤との件かと思ったら違うようだ。
「他にも至高書朗読も意味が分からないと言われました。それでしばらく両方休んでください。」
確信した。噂は本当だったのだ。
すぐに多美子との件を思い出していた。高校生になっても多美子は輝子を避けているのに私に近づく。今回、輝子の気にいらない人間は私なのだ。
自分の中で何かが変わって行くのを感じた。疑問の答えはどこにもない為にある行動に出た。
この組織と関わって20数年の疑問を初めてインターネットで検索し背教者のサイトと呼ばれ絶対に見ないよう言われていたサイトにアクセスして驚いた。疑問の答えがそこにあったからだ。何故、春川宗田岸田笹山安藤加藤伊勢のような人間が存在するのか、そして「エルヒムの証明会」の実態を知る。
創設者フランクリン・T・リンドがオカルトマニアだった事。二代目会長のジェームズ・H・スコットはただの大酒飲みでヌード劇場好きな男だった事。三代目会長のチャールズ・F・ルーツは頭が悪くアメリカ国家に絶対服従を誓った人物である事も知った。
ルーツの時にアメリカ各地での大会は全て星条旗の下での開催となりそれに疑問を挟んだ日本人の高石公三が断交処分とされた事実を知る。
更に私が探求生の時に起きた近隣でのあの背教事件の詳細も知る事になる。
点と線が繋がった。
この愚かな組織の中で傷つき幻滅を感じた人の数は計り知れない事も知った。負債を負った人も計り知れないのだ。私だけでは無いのだ。
又1975年に終わりが来ると組織が煽っていた事実は証拠となる出版物もある。そこ1975年に向けて自分の持ち物全て売り払い寄付するようにも煽っているのだ。
結論が出た。この組織は1部の人間だけの為の組織であり、その他多勢は捨て駒である事を知った。そして一般信者には一切伏せられている事件がある。組織が訴えられている裁判の存在にも気づく。
その判決が間も無く出て多大な賠償金と罰金が科されるらしい。
その為に組織はあれやこれやの理由をつけて寄付を煽ってもいる。最近寄付の発表ばかりする理由も分かったのだ。
だが強い洗脳を受けている多数の信者は知らされず気づいてはいないのである。
そこで今自分にある責任に気がついた。この組織に引導を渡し崩壊を見届ける責任を果たす為に様々なサイトで自分の経験を投稿して来た。同じ志しを持つ多勢の仲間とも出会えた。
グランドエデンは遠過ぎる。
だが、これだけは、はっきり言える。
終わりは近い間も無く数年かからずに終わりは確実に来るこの事物の体制では無く欺瞞に満ちたこの組織に…。
そうそう昔の人間の情報も入って来る。春川は息子の異常行動が原因で主導者を下ろされた。息子は突然怒り狂うらしい。
甘やかされた息子は大人になっても周りがチヤホヤしてくれると考える1度売れた子役みたいな物だ。大人になってからめた同じ扱いを受けられると思い込み同じ扱いをしない周りに当たり散らしたんだろう。
そして中川個集では頭が悪い笹山が全て都会風にしようと多大な借金を抱え新しい集会所を作ったらしいがまともな成員を追い出したツケが周り四苦八苦している事を聞いた。笹山という男よほど人の方に負債を負わせるのが好きみたいである。
さぁこれからも組織の実態暴露を続けて行こう。でも歩みはもっとゆっくりにしよう。
完。




