3話
仁さんが集会所へ連れて行くと言ったけど仁さんは私のアパートを知っているが部屋までは知らないし、名札はかけてないから諦めるだろうとたかをくくっていた。
そして、その前夜も1人で飲みに行って深夜に帰宅して眠りにつくが、その夜は現象が現れなかった。エルヒム効果?と思った。
じつは夜の怪奇現象を何とか止める為に様々な事をした。ある雑誌(オカルト系)の付録の曼陀羅を壁に貼り悪霊退散!をしたが効果無し。
同じ雑誌の付録の般若心経を読むも効果無し。小さな十字架を枕元に置くも効果無し。
そんな頃に書店にあった本の紹介コピーが目に留まる。アポロ計画に参加した宇宙飛行士達が帰還後に神を信じるようになったらしい。何が彼らに起きたのかを書いた本でコピーはこうだ。
「私は宇宙で神に会ったそして…」
その時に思った。…神なら助けになるかな?…と。ふと姉を訪ねていた女性が「エルヒムの証明会」だったな…と考えていた事もあったが、まさか自分が関わるようになるとは思いもしなかった。
とにかく前夜はぐっすり眠り翌朝9時くらいだろうか?外が騒がしくて目が覚めた。
誰かが大声出している。……くん!…はらくん!…くめはらくん!
自分が呼ばれているびっくりして飛び起き窓から外を見下ろすと仁さんがニコニコしながら見上げていた。仁さんの車の後ろに軽自動車が停まり美人が笑顔でこちらを見上げていた。
来たんだ!私は慌てて着替えた…1番まともな服に。サイフと鍵を持ち階段を下りて下にいくと仁さんがこう言う。
「今日、急用が出来たから家のカミさんが連れて行ってくれるよ、こちら久米原くん」
美人は仁さんの奥さんだったのだ。奥さんは軽く会釈してから笑顔でこう言った。
「初めまして、片山響子と申します」
じゃ頼むわ、と仁さんは自分の車に乗り何処かへ行き、私は軽自動車の後部座席に案内された。車には助手席に1人、後ろに1人女の子が乗っていた。
後ろの子が由紀ちゃん小学2年生で助手席の子が由美ちゃん5歳との事で2人に挨拶すると由紀ちゃんはあっちの方を向いてゴニョゴニョ言ったが由美ちゃんは後ろを向いてニッコリしながら、おはようございますと言った。
道中、奥さんに聞かれた。
「久米原さんのお姉さんも私達の仲間なんですってね?」
「い、いや仲間になってるか分かりませんけどエルヒムの証明会の人と勉強してました」
実は不安で仕方が無かったのだ。私は熱狂的な宗教というモノが苦手で以前にニュースで観たローマ法王が熱狂的な群衆に手を振る場面にゲゲゲと感じていたくらいだから不安だった。
いかにも宗教!ってな建物や法服を着た司祭がいたらどうしよう?と考えていた。
ところが、着いたのは良く工事現場に使われるようなプレハブの平屋で入り口の上に「エルヒムのスプレンダーホール」と書かれていただけだった。
その意外さにえっ?と思い中に案内され更に驚く。誰も法服は着ていない。
女性はかつて会った女性みたいなキチンとした身なり、男性はスーツ姿だった。
その意外さに言葉を無くしている私に1人の女の子が、おはようございますと挨拶して来た。ビックリしながらも挨拶を返した。
1人の男性が近づき自己紹介して来た。
「ようこそ、おいでくださいました。春川と申します」
これが、私と春川の初対面だった。その後続く長い苦難の道のりの一歩である事にまだ現時点では気づくことは無かった。
続く。




