28話
びっくりした。青天の霹靂とでもいうべきなのだろうか?妻の妊娠、つまり自分が父親になるという事である。
とにかく妻を大事にして体を労わるようにしていたが当時開拓証明活動をしていが要求時間は達成されていなかった為に開拓証明活動は降り時であると判断し主導者の加藤に相談すると意外な答えが返って来た。
「そゆう事は許されません!」
?だった。こっちは身重な妻を抱えていて通院その他の世話が必要なのに許されないとはどういう意味何だ?
それだけでは無い加藤は個集での私の責任を増やし始めていた。グループの司会者に加え神権証明学校での割り当てや公開講演の回数だけでは無い。
何と個集での音響や雑誌の係りを割り当ててくる為に集会中に妻の横に座る事も出来ない。まだ慣れない区域で妻は孤独に追い込まれていたのだ。
だが主導者団の主宰を務める加藤は私が開拓証明活動を降りる事を許さない。当たり前だが要求時間は達成されない。
ここで少しの時間をいただきエルヒムの証明会での立場を説明する。
まず、個々の個集では主導者が教える立場に当たる。助導者は主導者が教える立場に専念するサポート役に回り訓練された助導者がのちに主導者に任命されるのだ。決して高額寄付をしたとか著名主導者と親しいから任命される訳では無いようた。(だが長く組織に居て見聞きする感では疑わしいが…)
これらの立場は男性にのみ与えられるもので女性には証明活動の分野で開拓証明活動、補助開拓証明活動を捉える事が可能である。女性の開拓証明活動者でも有能な人は特別開拓証明者に任命される事もある。この立場につくとエルヒム並みの待遇を受けられる為に目指す者やチヤホヤする者が多数だった。
特別証明者には、協会から僅かばかりの手当てが支給されるが開拓証明者や補助開拓証明者は仕事をしながら行うのだ。開拓証明活動は月90時間が要求され補助証明活動は月60週間の要求時間があるが別に至高書にはそんな要求事項は無く組織が勝手に作った物だったが開拓証明活動者であるか無いかでエルヒムの証明会での立場は天と地ほどの差があるのだ。
どんなに話が上手く有能でも開拓証明者でなければ結婚していないのなら助導者に任命される事は無い。逆にどんな馬鹿でも結婚しているなら簡単に助導者ー主導者と任命される事があるのだ。これまで居た春川、宗田、岸田、笹山がそうである無能でもなれるのである。
そんな訳で加藤から久米原兄弟は早く主導者となって欲しいからと開拓証明者を辞める許可は出なかった。だが、これが我々を追い詰めていた。
ついに折角見つけた時間を有効に使える仕事も中途半端となり当たり前だが開拓証明活動も中途半端となるが妻の世話が出来ない事に変わりは無かった。
妻は一人で病院へ行って一人で帰って来ていたのだ。ある朝トイレに行った妻がこう言った。
「何か変な出血がある」
その日、全ての予定をキャンセルして病院へ行って医師から告げられたのが流産だった。
12週で胎児は死んだというのだ。父親になるという現実が消えた瞬間だった。
続く。




