27話
初めての本州の暮らしだった。
今迄の場所とは人が異なっている。
以前の地域はあまり他人に干渉しない地域だったが、こちらは違った。
すぐに、あの洗礼が待っていたのだ。そう「町内会」
「遠くの親戚より近くの他人だよ」突然押しかけた近所の爺さんにそう言われた。町内会は必ず入らなければならないらしい。
それで無くとも我々にはエルヒムの証明会というコミュニティーがあるが関係無いそうだ。
それより驚かされたのが初めて集会へ行った時の個集の人々の態度だった。我々によそよそしい態度を示すのだ。遠回りに見てヒソヒソ話をしている。
これまでの個集なら誰彼無く話しかけ打ち解けるがそれが無いのだ。少し不安感を持った。
それでも主導者は近づき挨拶してくれた。主導者は3人で田山兄弟、加藤兄弟、古賀兄弟の3人で、助導者は比較的に若い兄弟がいたが彼らは近寄る事は無かった。
変に関わろうとする地域住民と打ち解けようとしない個集の面々とのギャップが可笑しかった。
さて私は仕事を探さなければならない事と負債を無くさなければならない事が重荷となっていた時に朗報が実家から届いた。
母親が遺したお金を皆で分けるとの事で計算すると負債を消しても少し残るので期待していたが兄貴の行動は遅く入金は未だだった。
妻にも言えずに何とか過していた。
こちらでは車も何も無かったのだが車の修理をしている加藤兄弟が軽自動車を1台貸してくれて助かった。この加藤は話をする時に癖があり早口で平坦に喋る為に何を言っているか分からない時が良くあった。ふと中川時代の笹山を思い出したが書いてる文字は大丈夫みたいだったので安心した。
他の主導者達もこれまでの春川、宗田、岸田、笹山とは違い信用が出来そうだった。やっとまともな人々に会えたと思った。
元々、他所者には排他的なこちらで仕事を探すのは至難の業だった。以前とは違い独身では無い為に全時間の仕事もOKと考えていたが見つからなかった。やっと食品関係の配送を見つけるが時間が朝早く昼前に終わる為に厳しい収入となるがエルヒムの証明会では贅沢はしない為にどうにか持っていたが生活は楽では無い。
負債返済もまだ兄貴から連絡は無い。
妻に内緒で返済していたが露見は時間の問題である為にエルヒムに祈り通しだった。早く兄貴が動きますようにと…。
だが年が変わっても連絡が無く返済金もなくなりある日妻にばれて修羅場となった。
その時は古賀兄弟が中に入ってくれて助けてくれ何とか少ない給料から返済する事にしてすぐに兄貴から入金があり何とか全額返金出来た時に新しい仕事の募集を見つけ面接すると採用となり配送の仕事も円満に辞める事が出来た。
この時ばかりはエルヒムが助けてくれたと導きを感謝していた春に妻が体調を崩し易くなり病院へ行った。私の負債問題が原因の過労と思ったら違っていた。
妻から妊娠した事を告げられた。
続く。




