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25話

それは、千船に引っ越した当日の夜の事だ片付けをしていた私の元に千船個集の若者が焦りながら来た。彼は昼間荷物の運搬を手伝ってくれたり夕食を運んだりしてくれた若者だった。


「久米原兄弟!今中川個集の兄弟から連絡を受けまして兄弟のお母さんが倒れて病院に運ばれたそうです!」


実はまだ電話を繋げていない為に私には連絡を取る事は出来なかったからあちらこちらに連絡を入れ千船の主導者に連絡を入れたようだ。考えてみると中川個集の主導者から受けた最初で最後の親切だったと思う。


はっ?としか答えられなかった。母親が?



母親は先日まで四国に地域の人々と旅行に行っていて昨日帰って来たはずだ。私は引っ越し作業が忙しくて実家に帰る事は無くそのまま千船に引っ越していて時間が出来たら実家に戻る予定にしていたのに…。


とにかく若者に主導者のに、これこれの理由で実家に戻りますと伝言を頼んでから簡単な持ち物だけ持ち雑然としている部屋を後にして夜の9時に実家へ向かった。




実家に戻ると電気もついて無く暗闇の中明かりをつけ眺めると旅行帰りのカバンや土産物が茶の間に残されていたが主の姿は無い。


しばらくぼうっとしていると車が帰って来た。兄貴だった。


兄の話では昨日の夕方に旅行から帰ったらしい。今日は子供達と出かけようとした時にチラッと姿が見たが話はしていないとの事。


夕方戻ると明かりはついて無いのにテレビだけついてる事に不審に思い入ると茶の間で倒れていたそうだ。すぐに119番を呼び救急車で運ばれたが田舎の病院では埒が明かずに少し離れた大きな病院に搬送されたが意識不明のままで回復の見込みは難しいそうだ。


今は兄貴の妻がついているとの事だった。


私はすぐに親戚に電話をかけて回った。姉にも連絡を入れると驚愕していた。



母親は翌々日早朝に息を引き取った。母親にはお金絡みの迷惑ばかりかけ通しだった。全ては全時間の仕事が否定され独身の賜物は開拓証明活動により必要物全てエルヒムにより備えられるという組織に従っての結果だったのに…これが結果か?



連絡を受けた近所の人々が集まり葬儀の打ち合わせが始まる。翌日までに親戚一同も集まり姉も来た。姉とは随分久しぶりの再会だった。息子の祐一は中学生になっており声変わりがして違和感を覚えたが時間が過ぎていたのだ。


我々エルヒムの証明会では仏教方式の葬儀は偶像崇拝になる事が多く避けねばならない事が多いので姉と話合って忠実を保とうと励まし合った。


葬儀は特に問題になる事も起きずに無事終わった。終わってから姉と久しぶりに向こうの個集の話等をしていた時に姉がこんな事を言った。


「あのね、私達の個集にエルヒムの祝福が注がれたの今度STS卒業した特別開拓証明者の兄弟が2人来てくれるの!」姉は目を潤ませながらそう話した。


そう後に組織に亀裂をもたらす悪しき存在のSTS卒業生が来るのを楽しみにしてるようだ。


後にこれが原因で姉と私に亀裂が入るとはこのときには思いもよらなかった事だった。



母親の死後の片付けやら自分の片付けを終わらせ千船北個集の集会に来れたのは1週間くらい後の事だった。


個集の人々の約半数は知らない人だらけだった。その中に飛び切り人の目を引く姉妹達が居た。江藤 久美子、由美子の実の姉と妹でパートナーを組んでいる姉妹達がいた。


特に妹の由美子姉妹は広州区の独身の兄弟なら誰でも知ってる程の美形の姉妹で姉の久美子は、良く喋る姉妹だった。


前の中川個集の独身の姉妹達とは違い江藤姉妹達は私に親切丁寧に接してくれて時々一緒に証明活動をしたりもしていた。ある日、開拓証明学校で親しくなった姉妹が移った必要の大きな遠い個集に私が行く事になった時にもついて来た。


自分でも不思議だがこんな美人を連れていても全くと言って良い程意識をしていなかった。それは心の奥底にあったどうせ私なんぞに好意を姉妹達が持つはずは無いという中川個集で散々学んだ事があったからだ。それ程までに中川個集の独身女性達には徹底的に無視されていたのだ。




だが忘れてはならない私には負債がある事を負債も100万円以下だが重くのしかかっている。なんとかせねばと思いつつ毎日の生活その他に追われながらも月日を重ねていた。


千船での2回目の冬を越した時に兄から母親の財産分与の話が出た。これがあれば何とかなりそうだと思っていたが兄の行動は遅く春になってもまだ電話が来なかった。



そんなある日の木曜日の集会が終わり明日早朝からの仕事に向け寝ようと思ったら電話がかかって来た。江藤久美子からだった。


江藤はこんな事を話し出した。


「あの〜、本当はこれ今日の集会でお話ししようと思った事なんですけど忙しくて時間が取れず電話にしました」


何の事だろう?と思っていると江藤久美子はこう言った。





「あの〜久米原兄弟、結婚しませんか?」


続く。





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