22話
その年の春に池田心と酒井夏美の結婚式が行なわれた。
林静子は1人で浮き立っている、まるで次は自分と安藤の結婚式だと言わんばかりに…。
こちらは相変わらずに月々の支払いに追われていた。
結婚式の後に近集監督の訪問となり池田心と安藤が助導者として任命される。池田心は理解出来るが何故安藤が任命されるのか理解出来なかった。
特権を持った安藤は今迄よりも自分本位に振る舞うようになり益々個集の亀裂が強くなるのだ。
資格を得た2人には集会での割り当てが当たるようにもなる。新婚の池田は割り当てを確実に果たしていた。
だが安藤の最初の公開講演は酷すぎた。最初だけ前半後半に別れ前半を安藤が後半を笹山が行うのだが安藤も笹山も話が下手過ぎて何を言っているか全く分からないのだ。
その後、安藤は1人で講演を果たすのだがやはり下手過ぎなだけで無く講演時間45分を守れ無い。ある時には20分で終わったりある時には1時間超過もある。
話も下手だけで無く時間の配分も出来ないのだ。これで安藤のメッキが剥がれた感があるが何時もの安藤グループは気づく事は無い。
私と言えば相変わらず何処かで開かれる交友会に呼ばれる事は無く無視されていた。そしていつも鈴木姉妹に言われた。
「久米原兄弟は本当に時間が無いんですね、林姉妹が久米原兄弟は忙しくて参加出来ないって言ってるから」
ああ、やはり奴らが主導で動きこっちを無視しているのか?素晴らしい神の組織だ。
「今度、私の家でお食事と交友会開きますから是非来てくださいね」
そう鈴木姉妹に言われ日付けも教えてもらった。
どうしようか?と迷ったが参加する事にした。エルヒムからの助けがあるはずだからと考えて…。
その前日に有名ケーキ屋に出かけて美味しそうなブルーベリーケーキを買い明日に備えた。
当日、鈴木姉妹宅に向かうと様子がおかしい。他の人の車も鈴木の車も無くシーンとしていた。
ガックリ来た私は1人家に戻りケーキの包みを眺めていた時に電話が来たが出る事が出来ないし留守電にしていたので放っていた時に声が聞こえた。笹山からだ。
…あ〜もしもし 今日の交友会は⚪︎⚪︎姉妹宅となってるからもし良かったら来てください…
私はゆっくりケーキの包みを取って立ち上がるとそれを思いっきり床に投げつけ足で踏み潰した何度も何度も!そして無意識に呟いていた。もうたくさんだ!たくさんだ!涙が溢れて止まらなかった。
それからは、子供達以外には笑顔を見せる事は無くなった。
しばらく後の証明学校の集会の時だった。川上兄弟姉妹の様子が変だった。
何時もは活発に注解する2人が全く注解せずに終わるとサッと帰って行った。あれ以来私も集会終了と共に帰るのだが所用があり残っていると岸田が皆さんちょっと集まってくださいと言って集まるとこう言った。
「実はですね川上兄弟姉妹の息子さんなんですが移動先の個集で断交処分とされたんです。ですから気の毒ですから川上兄弟姉妹に息子さんの事聞かないでくださいね」
衝撃だった。移動する前まで元気だったのが何かをやらかしたようだ。
この時の岸田は川上家への気遣いからこれを話したのだがそう取らない人間もいるのだ。その日実家に戻っていて集会を休んだ林静子がそれだった。
週末の証明活動に出ていた川上兄弟姉妹の態度は今迄のようでなく冷淡な態度で我々に対し敵意を持っている事が分かるのだ。私が話しかけても無視された。
確かに息子の問題は辛いのは分かるが何故我々に敵意を向けるのか分からない。
意外な所から理由が分かるのだ。
その日私は用事があって千船市に戻った時に偶然以前同じ個集の姉妹に会った時に聞かれた。
「兄弟達の個集って他所の個集の断交も発表するんですってね」
はい?って感じでどういう意味か尋ねると林静子が言っていたとの事だった。
そう全て理解出来た。
林があちらこちらで、そして川上家にも同じ事を言ってたようだ。それを聞いた川上兄弟姉妹が気分を害していたのだ。
こうして中川個集に決定的な亀裂が生まれたのだった。
そして私にある招待が来た。
続く。




