20話
笹山に仕事を奪われてからしばし仕事が無く途方に暮れていた時に個集である発表があった。
池田心と酒井夏美の婚約の発表だ。久々の婚約発表に沸き立つ個集。
理由は分からないが酒井夏美の婚約発表の後、池田兄弟の修理工場の仕事をしていた安藤信男が工場を辞めた。
その為に兄の広が新たに工場手伝いの為の人材を遠い個集から呼ぶ事にし沢田明が移動して来る事になった。
その時、分かった事だが安藤信男は亡くなった親からの保険や遺産を兄恒男と分け合い生活の心配は無いらしいのだ。
仕事が無くなり自由になった安藤信男が裏で自分につく主婦の姉妹達に働きかけて個集に悪影響を及ぼすようになって来るのだ。
沢田は移動して来てから数少ない友人となり2人で証明活動に出かけるようになり話し相手ともなる。
丁度実家の農業が忙しくなると出かけて幾らかの小遣い稼ぎをしていた。当たり前だが母親からキチンと就職しろ!と圧力をかけられ更に結婚もするようにと何度と無く言われた。
しかし、組織はそんな事を許すはずが無い独身者は結婚なぞせずに開拓証明活動に励むならエルヒムから豊かに祝福される…と信じこまされていたのだ。
しかし、どれだけ証明活動を行ない笹山を車に乗せて自己犠牲してもエルヒムからは何の祝福も来なく生活苦が日に日に押し寄せて来ていた。
そんな中で母親の期待する結婚など無理難題でしか無い。明日が見えなかった。
毎日エルヒムに助けを長い時間をかけ祈り求め証明活動を第一にし自己犠牲に励んでいたがエルヒムは頑なに沈黙を続け答えは無かった。
大会に行くと必ずこんな経験が話される。
「私は一銭も無く困り果てていた時にエルヒムに祈った時に無記名で食品と封筒に入った生活費が与えられエルヒムに感謝いたしました」
どうもエルヒム神は基準が分からないが助ける人と見捨てる人に分けるようだ。だが救われる人には共通点がある。
近隣個集でも著名な人物であるという点だ。
そしてその年の秋には何とか実家の手伝いや近くの農家の手伝いで食いつないでいたが支払いが遅れるようにもなっていた。
辛うじて電気電話は停められて無かったが時間の問題であった。
だが幸い大農家の手伝いで凌げるだけの金が入り何とか年を越せてから新年には、仕事を探しながら開拓証明活動を行えるようにしようと思っていた。開拓証明活動するなら絶対にエルヒムが助けてくださると堅く信じていたからだ。
年が明けてから個集に一組の開拓証明者がパートナーとして入って来た。
福地 国子と林 静子の若い2人であった。
若い2人の移動に安藤がトキメキ立っているのが分かる。安藤は肥満気味の林より痩せて長身の福地に好意を寄せていたのが丸分かりだった。
これで役者が揃った。
池田心と酒井夏美の婚約話に加え新しい姉妹の登場で芽生える恋話とは無縁の私はずっと押し寄せる支払いの嵐に対する為にある事を祈り続けた。
「もしご意思でなければ行動を阻止ください。しかし乗り越えられるなら行動させてください」
阻止はされ無かったので10日後に行動に出る事にした。
私はサラ金から金を借りる事にした…。
続く。




