14話
その旅行で1番の思い出だったのが昼食の後に別の開拓照明者のパートナーを組んでいる姉妹達に、ある有名風景写真家のギャラリーへ連れて行って貰った事だ。
散々春川から独身独身言われていた私にとって若い姉妹達と行動を一緒に出来るなんて贅沢なひと時だった。
そこのギャラリーでポストカードを買い個集の幾人かの人への土産として現地の見事な風景写真を買って行った。
そうして現地のキャンプ場等で宿泊して千船に戻って行った。
家に行く途中で丸尾優子が歩いていたので呼び止めて丸尾と坪井のポストカードを渡し坪井姉妹にも渡して欲しいと頼むと何故か暗い表情となり「はい」とだけ言った。
家に戻っても親切を受けたあの小さな個集のの事を考えて果たして自分も同じような活動を行う為に必要な事は何かをずっと考えていた。ある意味これも独身の賜物のハズであり主導者に留める権限はないはず。
そして自分のヤル気を再確認し必要の大きな区域で証明活動する気持ちに変化が無い事を確信し主導者に打ち明ける事にした。
それは集会の夜の事だった。坪井が遠くからこちらを見ているがポストカードの礼を言う気配は無かった。
前からだけど変な奴だあの個集の姉妹達の足元にも及ばないなと思った。
集会は普通に始まり普通に終わると思った時にそれが発表された。演壇から春川がこう言った。
「坪井千秋姉妹は断交(至高書で非とされる行為を犯した為に破門みたいな事)となりました!」
凍りつきざわつく場内。すぐに最後の音楽がなり皆慌てて歌の本を開いていた。かなりの動揺が広がる。
最後のアーメンが終わると坪井は1人で出て行った。すぐ後を慌てながら長田一男が追いかけて行った。
ポストカードを託した丸尾の暗い表情と集会前の無言の坪井。全てが繋がりもう一つ繋がるものがあった。
あの雨の広集大会でピッタリ寄り添っていた坪井と長田の姿だった。不自然な行動が生んだ結果か……。
断交とは厳しい処分であり誰一人口を聞いてはダメで挨拶もかけられ無いのだ。例え親子でも同じで非情な処分だった。
おかげで春川に移動したい旨を伝える事が出来なかった。家に帰ると山村は黙ったままだった。
これが私の移動に追い風となる事が皮肉な話だった。
翌日の夕方に戻った山村が開口一番こう言った。「やっと丸尾姉妹を口説き落としたよ」
どうやら山村は今回の事件で独り暮らしになる丸尾に山村は何度か求婚していたようだ。
そう、結果私はフリーになれるのだ。つまり必要な所へ移動が可能となるからだ。
すぐ後に春川に移動したい旨を伝えると渋い顔をして反対した。どうやら若い姉妹達が多い個集に移動して結婚を考えられるのが嫌みたいだった。
今だに疑問なのだが何故、春川がこれ程結婚を嫌うのか理由が分からない。以前に自分の息子や娘にも同じ事を言うのか聞いたら口を尖らせながらブルルル〜と音を伴いながら否定した。
どうやら自分の子供以外は結婚禁止にしたいらしいのだ。理解不能。
それでも決意は変わらない。それなら同じ必要の大きな区域の中川個集への移動を伝えると今度は無言となった為にトドメの一言を浴びせた。
「これは独身の賜物を活かす方法です!」
ググっと言った切り何も言い返せない春川。
晴れて私は川上兄弟姉妹のいる中川個集へ移動が決定した。宗田は何も言わなかった。
そして最後の集会の最後に私の移動が発表されると子供達に衝撃が走るのだった。
岡田姉妹の娘も驚いている。最初に集会に来た時に挨拶してくれた志織が真っ赤な目をしながら近づき抗議して来る。
「どうして行っちゃうんですか!」必死に訴える志織に私は、からかい半分でこう聞いた。
「行ったら寂しい?」
「寂しいですよ!」
「じゃ尚更行っちゃお」
次の志織の言葉が心に突き刺さった。
「じゃ寂しくない!って言ったら行かないんですか!」真剣な表情で訴える。
「ごめんね」しか言え無かった。志織は泣きながらどっかへ行った。志織は中学生になっていた。
その時にハッキリ分かった。春川宗田山村に苦しめられていても子供達はいつも慕ってくれていたのだ。
だが決意は変わらない。新しい中川個集で頑張るしかないのだ。
翌日、荷物をまとめて実家に戻った。ここから新しい家を探して新たな活動へと向かうのだが、これがとんでもない事の始まりだった事に現時点では気づく訳は無かった。
続く。




