究極の脱出
デュデュが甲板から跳び上がった。まるで何年も脚の中に溜め込んでいたバネが、今ようやく解放を許されたかのように。
「ボヨンッ!」
彼の足が、宙で本当にくるりと丸まった――値段の張りすぎた機械のバネのように。そして、そのまままっすぐ落ちてくる。
「スプリング・ドロップキック!」
ズドンッ。
エレオは両腕でガードし、甲板を後ろへ滑っていった。ブーツが木の床に線を引き、手すりに当たってようやく止まる。
彼は自分の両腕を見た。
デュデュを見た。
「うわ」彼は言った。「痛い」
デュデュは着地すると肩を回し、これ以上ないほど満足げな顔をしていた。
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そこで、彼は何か思いついた。
「おい、ネズミの旦那」
ボーの肩に乗っていた巨大なネズミが、ぴくりと顔を上げた。ひげが震え、目つきが鋭くなる。
デュデュがエレオを指差す。
「お前も手伝う気あるのか、ないのか?」
ネズミは、エレオを見た。
デュデュを見た。
そして――決断を下した。
「キイイイイイッ――」
突進してきた。本気で、恐ろしいほど速く。エレオがそれを目で追えたのは、たった一秒――
ドンッ。バシッ。ゴリッ。
四秒後、ネズミは仰向けにひっくり返り、小さな白い旗を掲げていた。
乗組員全員が、それを凝視した。
デュデュの顎は、もはや別の生き物として独立してもおかしくないくらい下がっていた。
「……嘘だろ」
エレオが手をぱんぱんと払う。
「へえ」彼は言った。「僕、ネズミより強いんだ」
デュデュが自分の顔を手のひらで覆った。
「……当ったり前だろうが、この馬鹿!」
彼はそのまま、甲板にうつ伏せに倒れ込んだ。
「ネズミを送り込んだんだぞ」木の床に顔を押しつけたまま、くぐもった声で言う。「うちの部下を三十人ぶちのめしたガキに対して。俺は――ネズミを送り込んだんだ」
ビーケーがコインを弾く。
「……ああ」ビーケーが言った。
「分かってるよ、自分がやったこと。ビーケー」
「はいはい」
「分かってるって言ってんだろ!」
「聞こえてるって」
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エレオが拳を鳴らした。
「よし! 僕の番!」
両手を打ち合わせる。腕が変化していく――肌の下からインクが押し寄せ、硬化し、形を変えていく――やがてそれは腕ではなくなった。巨大な黒い砲身が一本、大袈裟に苦しんでいるデュデュの体にまっすぐ向けられる。
「インク・キャノン!」
ズドオオオオン!
砲弾は、巨大だった。とても速かった。そして――決定的に、狙いが定まっていなかった。
デュデュの目が見開かれる。両脚が伸びる――パニックに陥ったゴムのように、丸々一メートルも――砲弾はその間をすり抜け、耳の脇を通り過ぎ、そのまま飛んでいった。
ズドン。
船体に命中した。
船が大きく傾いた。甲板が斜めになる。何人かの海賊が、近くにあった一番頑丈そうなものに掴まった――その中の一人にとって、それは別の海賊だった。彼は、実際にはまったく「頑丈」ではなかったのだが。
デュデュはゆっくりと立ち上がった。船体に開いた穴を見た。エレオを見た。もう一度、穴を見た。
「……お前に当たらせてやろうかと、一瞬本気で考えたんだぞ」静かに言った。「知っておいてほしい。考えたんだ、本当に」
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「ぼさっと突っ立ってんじゃねえ」
彼が乗組員の方を振り向いて怒鳴る。
「船を直せ! 動け!」
乗組員は、動かなかった。戦いが始まってからずっと転がっていた床の上で、様々な体の部位を大袈裟に押さえながら唸っていた。
「もう駄目です、船長……」
「脚の感覚がねえ……」
「家族に、俺が勇敢だったって伝えてくれ……」
デュデュが、ぴたりと動きを止めた。
「……お前ら、演技だな」
沈黙。
「ずっと、演技してやがったな!」
乗組員たちが、見事に揃った動きで一斉に体を起こした。
「すいません、船長!」
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その頃には、エレオはもう手すりのところまで来ていた。
「よし」彼はそう言うと、遠くの海をちらりと見て、もう一度だけ振り返り――飛び込んだ。
デュデュもビーケーもボーも、仮病を使っていた海賊たちも含めて、乗組員全員が手すりに駆け寄り、身を乗り出した。
彼が落ちていくのを見た。水面に叩きつけられるのを見た。
何もない。音もない。体もない。浮かんでくる人参の袋もない。
ただ、海があるだけだった。
ボーがネズミの仮面の脇を掻いた。
「……俺たちに殺されたくなかったんじゃねえかな」
乗組員全員が、彼を見た。
一拍。
もう一拍。
そして、船全体が笑いに包まれた――本物の笑い、一人から始まって火のように広がっていく笑いだった。海賊たちはまた甲板に倒れ込んだが、今回はそれに見合うだけの理由があった。
デュデュが目元を拭う。
「よし。誰か双眼鏡を持ってこい」
彼自身が誰よりも早くそれを掴み、海を見渡した。輝く海面が広がるだけで、そこで何が起きたかなど、何も知らないという顔をしていた。
彼はにやりと笑い、双眼鏡をどこに落ちるかも見ずに肩越しに放り投げた。
「ざまあねえな」
彼は両手を打ち鳴らした。
「野郎ども。出発だ。クマを探しに行くぞ。あいつをぶちのめすのを、俺はずっと待ってたんだ。潮が、ようやくあいつを運んできやがった」
乗組員が咆哮する。
ズドオオン――船が空を切り裂いて前進していく。ナビゲーションが壊滅的で、髪型だけは完璧な流れ星のように、消えていった。
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エレオは、水面の下を漂っていた。
目を大きく見開いている。髪が、重さを失ったようにゆっくりと顔の周りに広がっていた。パーカーが、もう一人の、少し怠け者な自分のように膨らんでいる。
彼は何か言おうと口を開いた。
泡。
ただの、泡だった。
彼はそれが立ち昇っていくのを見つめた――光に向かって昇っていく、小さく光る球体たち――そして、指で一つつついてみた。それは弾けた。彼は笑った――その笑いも、また泡になった――さらに笑ってしまい、楽しみすぎて溺れそうになる前に、水面に顔を出さなければならなかった。
水面を突き破り、大きく息を吸い込む。
「うわあ! 見てこの泡! これって――ただの空気の玉なのに、水がそれを包んでて、それがただ――いや、泡が『何か』は知ってるんだけど、実際に起きてるのを見るのは全然違う――」
彼は言葉を止めた。周りを見渡す。どちらを向いても、広大な水だけだった。
「……あ。そうだ。僕、船がない」
考える。
「船どころか」
さらに考える。
「誰もいない」
これが問題かどうか、考えてみる。
「……これ、問題な気がする」
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そこで、彼は思いついた。
集中する。インクが両手のひらに集まり、押し出され、広がっていく――そして、彼の周りに泡が形成された。大きく、黒く、完璧に密閉された泡。海が、あらゆる方向から押し寄せてくる。
彼はその中に立っていた。壁に手のひらを押し当てる。持ちこたえた。跳んでみる。少し弾んだ。壁を蹴ってみる。まだ持ちこたえている。
「これ――めっちゃ――かっこいい」
彼は笑った――うまくいくかどうか分からなかったことがうまくいった時特有の、心からの喜びの笑いだった――そして、海のど真ん中で、このありえないインクの泡の中に座り込み、「これが今の自分の人生なんだ」としみじみ味わった。
それから、泡の底に頭を突っ込んでみた。
目が、大きく見開かれる。
その下には――まるごと一つの世界があった。魚たちが、生きているステンドグラスのような編隊を組んで泳いでいる――赤、黄色、ありえないほどの青。カニたちが、砂地の底を、重要な用事があるとでも言いたげな真剣さで行進している。海亀が、時間などまるで関係ないかのように、水の流れに身を任せて漂っていた。
彼は頭を引き戻した。
「なんか、水だけかと思ってた。あと、海藻が一本くらいあるかなって」
もう一度頭を突っ込んで、見間違いでないか確かめる。
見間違いではなかった。
「あそこ、まるごと一つの世界じゃん!」
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彼は泡を前へ押し進めた。
そして――一人になった。
悪い意味ではない。ただ純粋な意味で――自分と、水と、太陽と、それ以外のすべてが遠く離れている、という意味で。
彼はため息をついた。
「よし、エレオ」座り込む。「お前は今、何もない場所のど真ん中にいる」
パーカーのほつれた糸をいじる。
「……うーん。ちょっと調子に乗りすぎたかな」
アビーのことを考えた。特に、その声を――彼が何かやらかして、後で自分が片付けることになると、すでに分かっている時のあの口調を。
「……ちょっと、帰りたいかも」
その考えを、四秒ほど抱えていた。
それから、立ち上がった。
「駄目だ! いや、絶対駄目! 帰るなんてありえない! どんな物語だって、主人公は帰らないだろ! それでみんな、ちゃんと最後はうまくいくんだ! ほとんどの奴はうまくいく! うまくいかなかった奴らだって、少なくとも面白かった!」
特に何もない方向を指差す。
「お前は前に進むんだ! 強くなるんだ! これをどうにかするんだ! お前はエレオだ!」
一拍おく。
「……今、海のど真ん中でインクの泡の中に立って、独り言を言ってるエレオだけどな」
もう一拍。
「――まあ、大丈夫」
彼は再び、泡を前へ押し進めた。
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数時間が経った。
やがて――陸が見えた。
海岸線。密集した木々が、水際までびっしりと押し寄せている。まるで、この島は最初からビーチなど計画しておらず、仕方なく一つだけ許容している、とでも言うように。
エレオは泡から飛び降りた。泡は彼の背後で溶けて消えていく。彼は顔を上げた。
森は巨大だった。太古の緑。それ以外の何かになる理由を、一度も持ったことがない類の緑だった。樹冠が空を丸ごと呑み込み、幹と幹の間の影は、彼の目では追いきれないほど深かった。
彼は頭を掻いた。
「つまりこれは……島、なのかな。それか、庭造りだけやたら上手い、めちゃくちゃでかい岩」
首を傾げる。
「チキン島? ジャングル島? 『絶対大丈夫な、なんか不吉な森』島?」
オーバーオールについた砂を払い、まるで自分に喧嘩を売ってきたかのように、木々の壁に向かって身構えた。
「よし。行ってみるか」
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彼は歩いた。
そして、静寂があまりにも「一人ぼっちだ」ということを考えさせるので、彼は歌った。
『僕はうさぎ、超強いうさぎ~
頭は良くないけどパンチは面白い~』
根っこを飛び越える。
『左にホップ、右にホップ~
悪者なんて蹴っ飛ばして消しちゃうぞ~』
低い枝の下をくぐる。
『人参おいしい、一日中食べる~
盗まれたら承知しないぞ~』
二番――劇的な回転がつく部分――に差し掛かろうとしたその時、耳が何かを捉えた。
彼は足を止めた。首を傾げる。
声だ。
動物の鳴き声じゃない。人間の声。しかも複数――何もないはずのジャングルの島で、それはかなり興味深い情報だった。
彼は低く身をかがめ、鼻を働かせた。
――よし、エレオ。選択肢はふたつ。新しい仲間か、悪者か。もしかしたら両方かもしれない。たぶん両方だ。
彼は茂みの中を、そっと進んだ。葉をかき分ける。
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まず目に入ったのは、網だった。
高さ五メートルほどの枝から吊るされていて、その中に女の子がいた。年齢は自分と同じくらいか、少し上か。逆さまで、しかも怒り狂っている相手の年齢を見極めるのは難しい。
肌は深い褐色で、樹冠を通り抜けてきた光を、まるで意図的にそうしているかのように受け止めていた。髪は濃い紫色で、高い位置で二つに結い上げられ、彼の位置からは読み取れない模様の彫られた、豪華な金の髪飾りで留められている。
服装は深い紫黒色で、生地は少し動くたびに色を変え、何か意味がありそうな模様が金糸で描かれていた。袖は、かすかに赤く光っている。ブーツには、翼の形をした銀のバックルがついていた。
そして――目。鮮やかな金色。ほとんど発光しているような、その金色は、注目を「求める」のではなく、すでに「奪っている」種類の色だった。
エレオは、じっと見つめた。
「うわ」彼は小さく呟いた。「なんか、あの人……」
その先の言葉を、どう続けるべきか考える。
「……いろいろすごい感じ」
彼としては、褒め言葉のつもりだった。
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網の下には、二人の男が立っていた。スーツ姿――「誰かに雇われていて、その誰かは金を持っている。だが、それはこの俺がいい人間だという意味にはならない」というタイプのスーツだった。一人はクリップボードを持ち、もう一人は、もうずいぶん前から何を見ても驚かなくなった男の、平坦な表情を浮かべていた。
女の子が、網の中で暴れた。
「離しなさいよ、この大馬鹿者どもがっ――」ロープを掴み、引っ張る。網は揺れたが、切れなかった。「私が誰だか分かってるの? 私の騎士たちが見つけ出すわよ。そして見つけた時には――あなたたちに、とても『創造的』なことが起こるでしょうね。細かくてよ。個人向けに、丁寧にね」
一人目の男が、二人目を見た。
二人は笑った。
「はいはい」一人目が言う。「魔王の姫さんね。その台詞、もう聞き飽きたよ」
二人目が近づき、彼女の角を、鑑定士のような冷たい目つきで観察した。
「角。尻尾。翼」クリップボードに小さくチェックを入れる。「全部揃ってる。これがどれだけの値になるか、分かってんのか――」
「その先を言ったら」女の子が、とても静かに言った。「あなたが言い切ったってこと、私は忘れないから。そして、この網から出た時――絶対に出るけど――あなたをもう一度見つけ出す。あなたのボスじゃない。あ・な・た、よ。分かった?」
男は、微笑んだ。悪いことなど何ひとつ自分の身には起こらないと信じている者の笑みだった。
明らかに、網に入れられた経験がない人間の顔だった。
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茂みの中で、エレオは状況を整理していた。
考えるには音が必要なので、小声で呟きながら。
「よし。えーと。あの女の子、絶対怒ってる。それは分かる。網に入れられて、脅してて、しかも本気で言ってる感じがする――僕、個人的にあの脅し、信じるよ。すごく具体的だったし。あれは、先のことまで考えてる人の脅しだ」
彼は男たちを観察した。
「でも、あいつらも良い奴らじゃない。分かる。クリップボードだよ。まともなことしてる奴は、クリップボードなんて持ってこない。あれは『悪い理由のための事務作業』クリップボードだ。見れば分かる」
もう一度、女の子を見る。
「でも、あの子は魔王の角とか光る袖とか『あなたを個人的に見つけ出す』オーラとか出してるから、単純な『被害者』って感じでも――」
一人目の男が手を伸ばし、試しに網をつついているのが見えた。
女の子の表情は、変わらなかった。
それが、なぜかもっと恐ろしかった。
「――よし」エレオは決めた。「もういいや。関係ない。あいつら、網をつついた。網をつついちゃ駄目だ。あれは基本的な礼儀の問題だ」
彼は体を前に傾けた。手が、葉の上に浮かぶ。頭の中で最後の確認が走る。「本当にやるのか?」
彼はにやりと笑った。
「僕がためらったことなんて、あったっけ?」




