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TSしたからバ美肉ということにして配信をしてみた  作者: 大崎 狂花


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第18話 ドッキリ動画/ゲーム友達の弟

「おはようございまーす」


「お、おはよーう」


 動画が始まって、シオが挨拶をしながら防音室のような所に入ってきた。それを、ユキが出迎える。当然、動画として出すのでユキもシオもそのまま出してはいない。編集してある。動画では字幕だけになっていて、視聴者にはシオの気の抜けた声だけが聞こえている。


『お始まった!』


『きたきた!』


 プレミア公開のコメントがズラーっと流れていく。


 これはシオとユキのコラボ動画だ。シオは、ホワイトデーのお菓子を作るという企画に呼ばれた・・・・・・と本人は思っている。


 しかし、実際の企画は違う。実際は──


「はーっ」


「どうしたの? そんなぐでーっとして」


「いや、昨日あんまり眠れなくてさあ。すごく眠いんだよ今」


『おお・・・・・・これが素のキョウカおじさんか』


『ぐでーっとしてるのが想像出来るな。想像だけでもめちゃくちゃかわいい』


 今回の動画の企画、それは『隠し撮りドッキリ』だ。動画が始まる前から、実はカメラを回していましたというドッキリ企画なのである。一応ホワイトデーお菓子作り動画ものちに投稿するつもりではあるので、それも嘘企画というわけではない。一回で2本の動画が撮れて一度で二度おいしいね、とユキは思っている。


 で、今動画には実は撮られているとは全く気づいていないシオが完全に素の状態でユキと話している。


「ふあ〜」


『おじさんのあくびだ!』


『ふにゃふにゃのあくびがかわいいね・・・・・・』


「あ、そうだ。知り合いにもらったマカロンがあるんだ。好きなの選んでいいよ」


「え、いいの!? わーい!」


『わーいかわいい』


『オフのおじさんもかわいいな・・・・・・』


 シオとユキはマカロンを食べる。


「わ、これすっごくおいしい!」


「ほんと? こっちの味もおいしいよ」


「そうなんだ。そっちの味も食べたかったな・・・・・・」


 シオが羨ましそうにする。


「今度お店を教えてあげるよ」


「ほんと? 今度買いに行こ」


『これが本当におじさんと友人の会話か・・・・・・?』


『きらら系の萌え日常4コマを見ている気分になる』


『すごい! おじさんと女の子の会話って感じが全くしない! 完全に女の子同士の会話だ!』


『裏でもおじさんは女の子してるな・・・・・・』


「そういえばさあ! 『番茶菓子』ってアニメ見た!?」


 シオが興奮しながら聞いた。


「ああー、あれね。見たよ」


「あれに出てきたあじさいって女の子かっこよくなかった!?」


「あー、確かにかっこよかったかも」


「いやめちゃくちゃかっこよかったよ! サイコーだった!」


『おじさんは裏でもイケメン女子にメロついてるみたいだね・・・・・・』


『本当におじさんなのか? やっぱり女の子なのでは?』


 配信していないところでも大体こんな感じなシオである。


 と、これが実はカメラで撮っているということを当然しているユキが、こんなことをやり出した。


「キョウカ」


「ん?」


「はい、あーん」


 そう言って、マカロンをシオへ差し出してきたのである。


「は?」


「だから、あーん。この味も食べたいって言ってたでしょ?」


「いやそりゃ言ったけど・・・・・・はあ、まあいいか。あーん」


 シオは少し違和感を覚えたものの、普段の言動からユキはこういうことをやりかねないと思っていたためそこまで深く考えることなくユキの手からマカロンを食べた。


『あ、あいつ・・・・・・!』


『これは、俺たちへの当てつけか・・・・・・? 当てつけなんだろさては!』


『俺たちがバーチャルの空間に入れないのをいいことに、イチャイチャしおってからに』


『いつまでも俺たちがてぇてぇと言い続けるなんて思うなよ・・・・・・?』


「なんなんだよ、全く・・・・・・」


 隠し撮りをされているとは知らないシオは、そう呟く。


「ふふふ」


 動画で見ている限りではわからないが、その場にいるユキはこっそりいたずらっぽい笑みを浮かべていた。


 さて、まあほんわか萌え日常系みたいな時間は終わって、シオが本題だと思っているホワイトデーお菓子作り企画が始まった。


「今日はお菓子を作っていきますよ〜」


「じゃあ私は食べる係やるから、シオ作ってー」


「いやユキも作るんだよ・・・・・・」


 で、一通り撮り終わったところで


「いやー実はさ、今日この企画始まる前から実はカメラ回してたんだよねー」


「え? ・・・・・・は!?」


 ドッキリ大成功でした。


 ◇


《そっち行ったよ!》


 メイド服を着て槍を持った、ツインテールの女の子──ゲームの中のルラはそう叫んだ。


《よしきた!》


 大剣を持ったムキムキマッチョマン・・・・・・ゲーム内のシオは大剣を上段に構える。


《バフをかけておいたよ!》


 真っ白な髪の毛の杖のようなものを構えた長身の男、ゲーム内のシュロはそう言った。確かに、シオの体は赤いオーラのようなもので覆われている。


 シオはそのまま駆けていく。今までそれの相手をしていたルラはふっと横へ避ける。


《ふっ!》


 そして、シオのが振り下ろした大剣に、火を吹くトカゲ・サラマンダーは真っ二つにされたのだった。


 ここは例のゲームの中、『羊蹄の歌』というゲームの中である。シュロ、ルラ、シオの3人はパーティを組んで共に冒険をしていた。


《すいません、バフかけるのが遅くなって・・・・・・》


 シュロがそう謝ると、


《いえいえ、大丈夫です。むしろベストタイミングでしたよ》


 シオはそう言って笑う絵文字を送った。


《お兄ちゃんお疲れー》


《おう、ルラも足止めお疲れ》


 兄妹同士もメッセージを交わす。ルラが足止めをして、その間にシュロが詠唱して発動したバフ技をかけられたシオがトドメを刺すという作戦だったのである。


《アイテム落としたねー》


《アイテムか。なんだった?》


《火属性のこけしだった》


《火属性のこけし・・・・・・? なにそれ・・・・・・?》


《武器とかかな・・・・?》


 よくわからないアイテムのことはともかく。


《さてと・・・・・・》


《どうだった? ショウ》


 シュロとルラが振り返る。するとそこには子供がいた。黒いフードを被った子供である。


 子供は山と積まれた宝箱の上に座っていた。その宝箱は、モンスターを倒すとドロップするもので、中にはアイテムが入っている。つまりは──


《すごいな。もうそんなに倒したのか》


 それほど大量のモンスターを3人が一匹のサラマンダーを相手にしている間に倒したということである。宝箱の色からしてサラマンダーと同程度の等級のモンスターであることは明らかだ。


《すごいねシュウ! さすが私たちの弟!》


 そして、この子供はシュロルラ兄妹の弟なのだ。まだ小学生だけど、羊蹄の歌ゲーム内ランキングで上位に食い込むくらい強いのである。


《で、どうだった? 俺たちの戦いは?》


 シュロはシュウにそう聞いた。今日、3人はシュウに戦い方を見てもらっていたのである。


 シュウは、こう言った。


《全然ダメだね》


《・・・・・・マジで?》


 どうやら、今の戦い方では全然お気に召さなかったらしい。


《えー? きびしくなーい?》


《厳しくもなんともないね。事実を言ったまでだよ》


 シュウはやれやれといった感じで言う。


《シュロ兄さんのバフの詠唱なんて、あんなの戦いの前に済ませておけばいいじゃん。そうすればルラ姉さんとキョウカさんの両方にかけられたんだから。そうすれば今の時間で二匹のサラマンダーを倒せた》


 このゲーム内での名前はキョウカおじさん、シオは感心した様子で言った。


《確かに! へー、流石は上位に行くだけのことはある! いい作戦だね》


 シオはそう言って褒めるが、シュウは


《いや、作戦って・・・・・・こんなのちょっと考えれば思いつくことでしょ。作戦のうちにも入らないよ》


 そう言った。どこかバカにするようなニュアンスを感じる。


《キョウカさんの今の動きにも冴えがなかったし・・・・・・やっぱりおじさんになると鈍くなるのかね》


《おいシュウ! そんな言い方はキョウカさんに失礼だろ!》


 シュロが嗜めるものの、


《えー、でも本当のことじゃーん》


 反省する素振りはない。


《まあまあ確かに、俺もおじさんですから動きとか反応とかが鈍いことは事実ですから・・・・・・》


《すいません生意気な奴で・・・・・・》


《こらシュウ!》


 シュロとルラの2人が怒るけど、やっぱりシュウは悪びれずに


《へへーん》


 ヘラヘラする。どうやらシュウは自分よりゲームの下手なシオたちのことを舐めているみたいである。


 シオはあんまり気にしていない。かえって、


(子供らしくてかわいい子だなあ・・・・・・)


 とか思っている。


 しかし、シオが気にしていないと言っても兄妹2人は気にする。この後もシュウがシオに舐めた態度を取る度に、やきもきしていた。


《へへーん》


《こら!》


 とまあそんな感じで今回の3人プラス1人の冒険は終わったのだった。


 そして後日──


「なんで僕までおじさんと会わなきゃいけないのさ」


 シュウはふてくされたような表情をしながらそう言った。ゲームの中のシュウではない現実のシュウだ。


「まあまあ。せっかくまたゲームの外で会うことになったわけなんだからさ。せっかくだからシュウも会っといたらどうかなーって」


 シュロはシュウに微笑みかけながらそう言った。今日はまたおじさん、つまりシオとゲームの外で会うことになったので、兄妹2人は駅前に来ていた。そして、それにシュウもついてきていたのだ。


「別に、僕は会いたくないんだけど」


 ただ、シュウはめんどくさそうだった。シュウは時間があればゲームがしたいので、わざわざ人に会うためにこんなとこまで出てくるのが面倒以外の何ものでもないと思っているのだ。


「シュウ、お前は面倒だと思ってるみたいだけどな、たまにはこうやって同じゲームをやっている仲間とリアルで会うっていうのもいいもんだぞ。チャットじゃなくて生の声を聞くっていうのはやっぱりいいもんだ」


 シュロがそういうと、シュウはやれやれみたいな感じで肩をすくめて生意気に言った。


「いやいや、僕より上位の人ならまだしも、弱い人に会ったってしょうがないじゃないか。それに、昼間っからゲームをやってるようなおじさんなんてどうせ冴えないおじさんでしょ。そんな人に会ったって得るものなんか何もないよ」


 つくづく生意気なショタだ。


「お前な・・・・・・というか、キョウカおじさんはな──」


「あっ、ちょっと待ってお兄ちゃん!」


 シュロがキョウカは見た目全くおじさんっぽくないということを説明しようとすると、ルラがそれを止めた。


「なんだよルラ。ちゃんと説明しといた方がいいだろ」


「ここは黙っとこうよ!」


「え? なんで」


「だって黙っといた方が面白いじゃん! なんかドッキリみたいでさ!」


 ルラはイタズラっぽい笑みを浮かべている。


「お前な・・・・・・」


 ルラは完全に面白がっている。


「まあ、いいか・・・・・・」


 シュロもまあいいかと説明せずに黙っていることにした。


 さて、また例の駅前にある胡麻団子マンの石像の前に来た。


「あ、胡麻団子マンじゃん」


「なんだシュウ。知ってるのか?」


「うん。有名だよ胡麻団子マン。確か、胡麻団子の悪魔と契約して胡麻団子マンになる、みたいな話だったかな」


「なんだそれ・・・・・・まんまチェーンソーマンじゃんか・・・・・・」


「だとしたら胡麻団子の悪魔ってすっごい弱そう」


 と、またその像の前に人だかりが出来ていた。


「え? なんか人だかり出来てない? なんかの撮影とかかな?」


 シュウが人だかりを見て、戸惑いながらそう言った。しかし、シュロとルラはこの感じに見覚えがあった。


「ね、お兄ちゃん。これひょっとして・・・・・・」


「ああ。間違いないな」


 見たところカメラのようなものはないので、何かの撮影という可能性は薄い。撮影でもないのに、こんな人だかりを集めるのは──


「・・・・・・え? すっごく綺麗な人だ・・・・・・」


 シュウは思わずそう呟いた。人だかりの中心、みんなの目線の中心にいたのは、駅前のその像の前に立つすごく綺麗な女性だった。長い黒髪に綺麗な青い目、胸から上、肩のあたりが薄手で少し透けたようになっている長袖の白いワンピースを着ていて、とても清らかな雰囲気の綺麗な人だ。その人は誰かを待っているような雰囲気でそこに立っている。


 と、人だかりの中でお嬢様風の女の子がこんなことを呟いているのが耳に入った。


「まあお綺麗な方。ちょっとナンパしてみようかしら」


 シュロがそれを聞いてルラに


「あ、やばいぞ。このまま放っておいたらあの人めちゃくちゃにナンパされてしまう」


 と言った。


「確かに! 早く着いたよって言いに行こ!」


「え? ちょっ・・・・・・!」


 ルラはシュウの手を引いてその人のところへ向かった。1人事情を知らないシュウは、突然何をするのかと焦る。


 2人はそのままその像の前の綺麗な人に話しかけに行った。


「ちょ、何してんの!?」


 当然シュウは戸惑う。が、2人は気にせず


「大丈夫大丈夫! ・・・・・・すいませーん少し遅れました!」


「すいません、けっこう待ちましたか?」


 2人に、その人は笑顔で答えた。当然のことながら天上的な可愛らしさを持つ笑顔だ。


「いえいえ、全然待ってないですよ」


「???」


 シュウは混乱している。そんなシュウの顔を覗き込むようにして、その綺麗な人は声をかけてきた。


「君がシュウくん? あー、さすが2人の弟、かわいいねー」


 そう言って頭を撫でてきた。かわいいのはお前だよと言いたくなる。


「!?」


 シュウは驚いてしまってパッと後ろへ下がるとシュロの後ろに隠れてしまった。


「あれ? ごめんなさい。なんか怖がらせちゃったみたい・・・・・・」


「いやいや、これは怖がってるんじゃなくて、照れてるんだと思いますよ」


 そんなふうに談笑している綺麗な人とルラ。シュウはわけがわからなくなってシュロに聞いた。


「ちょ、お兄ちゃん。キョウカおじさんに会うんじゃなかったの? どういうことだかよくわからないんだけど・・・・・・」


「ああそうだな。説明がまだだったな」


 シュロは端的に説明した。


「あの人がそのおじさんだよ。キョウカおじさん」


「・・・・・・は?」


 頭が混乱する。


「え? だってどう見ても・・・・・・え?」


「わかるわかる。俺も最初は混乱したよ。でも、ああ見えてもおじさんなんだって」


「え、ええー・・・・・・?」


 そんなこと言われてもにわかには信じ難い。シュウはシュロの後ろからちらっと顔を出してシオを見る。


「えーっと、大丈夫。怖くないからねー」


 そう言って笑顔で手を振るシオは、どう見ても天使にしか見えない。おじさんどころか人間にすら見えない。


「ほ、本当にキョウカおじさんなの? 証拠見せてよ」


「しょ、証拠?」


「こらシュウ! 失礼だろ!」


 そんなこと言われてもそう言いたくもなるだろう。おじさんと言われてこの人が出てくるなんて、ほとんど詐欺に近い。


「えっと・・・・・・じゃあはい」


 シオはスマホを見せてきた。そこにはスマホ版の『羊蹄の歌』のホーム画面が映されている。ハンドルネームが表示されるところには、ちゃんと『キョウカおじさん』と書かれてあった。この画面はまず本人にしか出せない。


「ほ、ほんとに本当だ・・・・・・」


 シオはにこにこ笑いながら


「ね、よかったらこないだ一緒に遊んだ時みたいに色々とゲームのこと聞かせてね!」


 シュウはやや顔を赤くしながら


「う、うん・・・・・・」


 と頷く。


 その様子を見ていたルラがこう呟いた。


「おねショタ・・・・・・いやおじショタかな?」


「実の弟をショタ呼ばわりするなよ」


 と、まあこんな感じで今日はこの4人でオフ会をすることになった。


 ・・・・・・


 まずは食事だ。


「このレストランのオリジナルキャラクターの女の子けっこうかわいくない?」


 ルラがメニューを見てそう言う。シオもそれを見て言った。


「本当だ。かわいい!」


 だからお前の方がかわいいよと言いたい。シュロやシュウだけでなくそれを聞いていたこの店にいる客全員の総意である。


 その次はコスプレ。


「ゲームで見てる限りそれほどでもないと思ってたけど、こうしてみるとこの衣装けっこうお腹が出てるね・・・・・・」


 シオが着たのはゲームに出てくるキャラの衣装だ。ゲームで見ているとそこまでお腹が出てるなーとは感じなかったのだが、こうして実際にそのキャラの衣装を着てみると、かなり出ている。


「これはかなり破壊力があるな・・・・・・シュウには少し刺激が強すぎるからあっち向いてようねー」


「いや、こんなのおじさんのお腹じゃないでしょ。綺麗すぎる」


 ルラはシオのお腹をまじまじと見つめながら言った。


「え? まごうことなきおじさんのお腹だけど・・・・・・?」


「おじさんのお腹がこんなすべすべで綺麗なわけないでしょ」


 まあこんな感じで、その後も本屋など色々なところを巡り、最後はゲームセンターに入った。


「おー、ここがゲーセン。あんまり入ったことないんだよねー」


「わあ・・・・・・」


 シオもゲーセンにあんまり入ったことがないが、当然のことながらシュウもあんまりゲーセンに入ったことはないみたいで、目を輝かせながら辺りをキョロキョロと見渡していた。


 と、クレーンゲームの台があるのが目に入った。中に入っている商品はどうやらフィギュアのようだ。


「あれ? あのフィギュア、シュウの好きなアニメのキャラのフィギュアじゃない?」


「え? あ、本当だ!」


 どうやら、そのフィギュアはシュウが好きなアニメのキャラのフィギュアであったらしい。


「どうする? やってみる?」


 ルラがシュウに聞く。


「やってみたい、けど・・・・・・僕クレーンゲームやったことないんだよ」


 どうやらシュウはクレーンゲームをやったことがないらしい。


「まあ、とりあえずやってみたら?」


 シュウはルラの勧め通りとりあえずそれをやってみることにした。


 とりあえずシュウは五百円を入れる。百円で一回なので、五百円だと普通は5回だけどそれはおまけで一回多く出来るタイプのやつだった。だから6回だ。


 シュウは立て続けに3回やってみたものの、当然うまくいかない。


「残り3回だ・・・・・・」


 フィギュアはほとんど動いていない。残り3回でこれを落とすのは難しそうだ。


 と、シオがそれを見るにみかねて


「ちょっとごめんね。手伝ってあげるよ」


 そう言ってシュウの後ろから覆い被さるようにして、シオはふわっと自分の手をシュウの手の上に乗せた。


「!?」


「俺の言う通りにやってみて」


 すうっとシュウの鼻へいい匂いが届く。シオの匂いである。なんでこのおじさんはこんなにいい匂いがするのだろう・・・・・・。


 あと3回しか残っていなかったが、シオのおかげもあって無事シュウはそのフィギュアを撮ることが出来た。


 帰り道。


 電車の中でシュロは笑いながらシュウに言う。


「ちゃんと得るものはあっただろ?」


 シュウは袋の中に入れたフィギュアを見ながら


「・・・・・・まあ少しは得るものもあったかもね」


 少し顔を赤くしながらそう言ったのだった。

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