ホテルでエロいこと
505号室の内装は豪華だった。
ワンフロアではなく、いくつかの部屋に別れており、小さなキッチンやバスルーム、巨大なモニターのあるシアタールームや牢獄を思わせるSMチックな部屋など。
中央にあるリビングは天井が高く、シャンデリアがブラ下がっており、絵画や彫刻などの調度品も飾らている。
外に面した一面はガラス張り、ソコからテラスに出られる。
「ホント、リゾートホテルっぽい。行ったことないケド」
アリスは大満足のようで部屋に入ってからキャッキャとハシャイでいる。
「これで1泊10万エーンは安いのカナ」
マサヒコには相場が分からないので何とも言えない。ただ、本当の高級宿というのは、さらにグレードが上のようだ。
コレ以上豪華になったら、どうなるのか想像もつかなかった。
「そんなにするんだ。そりゃー、そーだよね」
アリスが言った。革張りのソファに両ヒザ立ちで乗って揺れている。
「まだ夜も早いし、映画でも見る?」
「普通のも見れんの? エッチなヤツだけじゃなくて?」
「ナニソレ?」
マサヒコはラブホテルに行ったことがないので、アリスの言っている意味がわからなかった。
「えっ? ラブホって、テレビあるけど、エッチなヤツがずっと流れてんの」
「そーなの? えっ、ナンデ?」
「フタリで見てエロい気分になるタメじゃね?」
「へえ、スゴいな、ソレ」
試しにモニターに触れてみる。モニターにいくつかの映画のポスターが現れた。映画専用のようだ。持ち込んだ動画も見られるらしい。
試しに冒険者の映画を観てみる。コートを脱いでフタリでソファに座り、部屋を暗くして映画館気分。
だが、映画の途中で、互いの体をまさぐりあったり、キスをしあったりと、イチャイチャ、ベタベタが始まり。
やがて映画がクライマックスを迎える前に、スッカリ、本格的な行為が始まってしまった。
映画の主人公たちが、ラスボスっぽい魔物と戦っている大音響と、フタリの嬌声が重なった。
「映画、いつの間にか終わってたね」
「ウン。ゼンゼン観てなかったし」
行為の後、裸のまま、マサヒコは、アリスを抱えるようにヒザの上に乗せていた。細いウェストに手を回し、アッシュブロンドの髪をカキワケルようの肩から顔を出す。
「ほかのも観てみる?」
「うーん。もうイイや。それより、お風呂入ろ」
「じゃあ、お湯タメてくるよ」
立ち上がるマサヒコ。当然アリスを抱いているので彼女も立つ。クルっとアリスが向き直って、キスをしてきた。
キスは長く、濃厚。ゼンゼン終わる気配がない。互いの手は、相手の体を楽しみ、あるいは楽しませる。火のついた欲求はとどまるところを知らず、フタリはそのまま2度目の行為へとおよんだ。
「今度こそ、お風呂入ろうか」
終わったアト、さすがにちょっと疲れたマサヒコが言った。
せっかく高い金を払ったのにリビングでばかり行為におよんでいては、あまりにも意味がない。
このホテルを堪能しなくては。
マサヒコがバスルームに向かうと、アリスが彼の裸の背にムキ出しの乳房を押し付けるように寄り添ってツイてきた。
バスルームもさすがに広い。
大理石のようなタイル。金色のゆったりした浴槽。大きな鏡。
だがアリスが不満げな顏。
「エロ椅子がない」
「エロ椅子って、ナニ?」
「だから、ほら、なんか、ここがヘコンでるヤツ」
バスチェアの座面をポンポン叩いて言う。
「ナニソレ。座りニクイじゃん」
「超エロいから、アレ」
「そーなんだ」
いまいちピンとこないマサヒコである。
浴槽にお湯をタメる間、互いの体を洗いあった。フタリで泡だらけになった。
「ねっ、ウチ、体洗うの上手でしょ」
「ウ、ウン、まー、スゴく、エロかった」
そんな会話をしつつ、泡を流し、浴槽へ入った。
フタリが入っても十分すぎるほど余裕がある。大の大人4人くらいは入れそうだ。オマケに深い。お湯をタメすぎて、座ると鼻のあたりまで水位がくる。
「ナンカ、プールみたい」
「あっ、そーだ、ソッチも聞いてみないと。ヤッパリ、お湯、少し抜こうか」
肩より少し高いくらいまで水位を下げる。
フタリで体を重ねるように座る。さきほどソファで座っていたのと反対に、今度はアリスが後ろで、マサヒコの腰に腕を回している。
「ねっ、マサヒコ」
「ナニ?」
「噛んでいい?」
「えっ、軽くならイイけど」
するとアリスがマサヒコの肩にカプっと噛みついた。優しく、少し痛いくらい。
しばらく、アリスはそのまま噛みついていた。
それからようやく口を離す。
くふふっ、と変な風に笑う。
「歯形、ツケてヤったから」
「普通、キスマークじゃないの?」
マサヒコは自分の肩をナデた。ワズカに歯形にヘコンでいる。
「イイの。マサヒコもつけて」
言って左腕をマサヒコの口元に持っていく。
マサヒコは濡れた小麦色の二の腕を本当に軽く噛んだ。
アリスが小さくウメいた。
「フフ、マサヒコの歯形」
ウレしそうに自分の腕を見るアリス。
「痛くなかった?」
「ゼンゼン。くすぐったかった」
「そろそろ出ようか。湯だっちゃうよ」
「ええー、もうちょっと入ってようよ。ねっ、今度はコッチ向いて」
フタリは向き合って座ったまま抱き合うような姿勢をトった。するとまたキスが始まった。
おかげでさらに長湯になった。
「元の世界に戻ったら……」
「ウン、温泉行ってみたいよね。ウチ、行ったコトないんだ」
「えっ、ああ、そーだね。行きたいね」
スッカリのぼせたフタリは、体をフいて、例のガウンとネグリジェに着替えた。ようやくのオヒロメである。
「ヤッパ似合わねえ」
鏡に映る自身の姿を見て、手を顔に当てて笑うマサヒコ。
「んなことないってば。超セクシーだから」
言うアリスの方はバッチリ似合っていた。
小麦色の肌に白いスケスケのネグリジェが最高にエロい。
フタリはここでようやく寝室へと足を踏み入れた。
おー、と感嘆の声が漏れる。
巨大なベッド。しかもシーツがなんだかツルツルツヤツヤ。さらに天蓋付き。薄幕がタレ下がっている。
カーテンは幾重にも重なっており、コチラも光沢のある布。
リビングのモノと比べると小ぶりだが、光量の他に色の調整が出来るシャンデリア。
テーブルセットやソファもあるが、それでも広い部屋に、ドデン、とベッドが鎮座しているような印象だ。
「ナンカ、メイドさんとかがヒカえてそうな部屋だよな」
などと、マサヒコは感想を漏らす。どうしても庶民感覚でスペースのムダのような気がしてしまう。
「スゴい、ハズむよ、このベッド」
アリスがベッドに飛び乗って、ポンポンと跳ねる。
「マサヒコも来なよ」
マサヒコもベッドに乗ってみた。確かにすごいスプリング。
だが、それよりも、マサヒコはシーツの手触りが気に入った。
ナニコレ、シルク? スゲー、スベスベ。
「ガオっ」
アリスが獣のように四つん這いになって吠えた。
メイクは落とさず、ギャルのままだ。
「アリス? わっ」
アリスが襲い掛かってきて、フタリはそのままベッドでゴロゴロ。ベッドが大きいので、ゼンゼン余裕。
アリスがハムハムとマサヒコの腕をくわえ、マサヒコはアリスの頬を何度もペロペロとナメた。
そのままフタリは朝まで、長い長い時間をベッドで過ごした。
「ねっ、マサヒコ」
「ウン?」
「ウチ、サイコーに幸せ」
「そっか。良かった」
「このまま時間が止まればイイって、思っちゃう」
「別に止まんなくてイイよ。幸せにし続けるから、俺が」
「……ホストかよ」




