マサヒコ、モム
いったい何体のキラーアントを倒しただろうか。
マサヒコの周囲は黒い巨大アリの死骸で埋め尽くされていた。
「マサヒコ、スゴーい」
アリスが言いながら飛びついてきた。
「俺、ニンジャになろーかな」
マサヒコ、世迷い事をのたまう。
アリスの肩からウルルンがマサヒコの肩に飛び移る。ハムっとマサヒコの頬をカんできた。
「痛っ、なんだよ、いきなり」
「調子に乗るなってことじゃね?」
「イイじゃんか。俺、超ガンバったじゃん」
「ウン、超ガンバった。マジ、カッコ良かった」
バニーガールのアリスが体を離し、ウルウルした瞳でマサヒコを見上げる。
それからマサヒコの手首をツカむと、おもむろに胸の中にいざなった。バニースーツの下。もろ、オッパイ。
ヒっ、とマサヒコは変な声が出た。
アンっ、とアリスが甘い声をアゲる。
それから言った。
「ご褒美。好きなだけ揉んでイイから」
「あの、魔装顕現解いて、イイ、イイですかぁ」
マサヒコ、裏返った声で言った。
だって、グローブしてるから。せっかくなら、生で触りたい。そうでしょう?
「ウン、イイよ」
「ま、魔装解除ぉぉ」
マサヒコ、叫ぶ。もうスゴい気迫。
マサヒコはレザーコート姿。手袋無し。手の平ムキ出し。アリスの乳の感触がモロ伝わってくる。
「も、も、もも、揉んでも?」
「ウン、好きなだけ揉め」
マサヒコはお言葉に甘えてモミモミした。柔らかい。温かい。プルンプルンする。
マサヒコは夢中で揉んだ。こんなにナニカを揉んだのは、いつ以来だろうか。
アリスの呼吸がアラくなる。ときおりアゲる声が甘い。
だが、マサヒコの呼吸はさらに激しく、鼻息もアラい。
しばらくマサヒコは揉み続けた。このまま永延に揉み続けたかった。心なしか、手の平の中央に当たる突起が、硬くなっている気がする。
もちろん、チンチンはフル勃起だ。
そこへ乱入する者があった。なんという無粋。
巨大アリ、キラーアントだ。
マサヒコは泣く泣くアリスの胸元から手を引き抜いた。ああ、オッパイ。俺のオッパイ。
マサヒコは再び魔装顕現すると、迫りくるキラーアント、10体を瞬殺した。せっかくの至福の時間を邪魔した報復。
「アリス、魔物はまだいるかい?」
アリスが自身のカタワらに浮いている光る球体を手にする。チョンチョンと壁面を押し込んで【魔物レーダー】を大きくし、かつ、サーチ範囲を広げる。
「ナンカ動かないのがこの辺に集まってるけど」
言ってアリスが【魔物レーダー】をマサヒコに向かって押した。
宙をスベって【魔物レーダー】がマサヒコの元へ。
「コレ、たぶん、アリの幼虫じゃないかな。ちゃんと始末しないとな」
「アリの幼虫って、やっぱウネウネしてんの?」
「ウン、白くてなんかイモムシみたいだった気がするけど」
「マジかー。ウチ、そーいうの苦手カモ」
「なんなら、近くで待っててくれたらイイよ。そーだ。たぶん近くに蜜がタメてあるだろうから、それを採取しててよ」
「オッケー」
フタリは手をツナいで歩いた。ウルルンがマサヒコとアリスの肩を行ったり来たりする。
「マサヒコ」
「なに?」
「呼んでみただけ」
「また?」
「超超大好き」
「あれ、ヒョットして好感度上がった?」
「モチ、爆上げだし」
「俺も爆上げ。アリスのオッパイ、超気持ち良かったです。心からお礼を言いたい」
「ウチも……興奮したから……」
「や、そういうコトを言うと……」
マサヒコは前カガみになった。チンチンが立ってしまった。若い男は些細なコトでチンチンが立ってしまうのだ。
「そういうと言うと? ナニ?」
「肉体の一部分が隆起する、的な。柔らかいモノが硬くなる的な」
少しの間を空けて、アリスがササヤいた。
「手伝ってあげよっか」
「えっ、な、ナニ、を?」
マサヒコ、驚いてアリスの顔を見る。
アリスはうつむいていた。顔が赤い。
「……硬くなったのを柔らかくするの。言わせんなよ」
しっとりとした声。
「マ、マ、マジ? マジで?」
声が裏返った。
「マジだし。大マジ。彼氏のそーいうの、ちゃんとしてやりたいじゃん」
ちょっと早口。
マサヒコは本当に悩んだ。
いったい、いきりたったチンチンをどうしてくれるのか分からないが、スゴくお願いしたい。もう、ものスゴく。
だが、しかし。
マサヒコはアリスを大事にすると誓った。
いきなりそういうコトを求めてはいけないのだ。例え、シテくれると言っても、断らなくてはならないのだ。
それが男気。それがプラトニック。
でも、でも、でもー。
男子高校生の性欲は強すぎる。理性ではオサえきれない。
マサヒコは吠えた。
ウオー、と吠えた。
アリスが驚いて、えっ、ナニ、ナニ、とマサヒコを見る。
「スゴい、ものスゴい、ヤセ我慢だけどさー。俺、我慢する。本気でアリスのコト大切にしたいから。我慢する。アリスが、俺がエッチしなくても、スゴく大切にしてくれてるって実感できるまで。マジで我慢するから」
叫んだ。
あまりにも声をハりすぎて息切れする。
血管切れそう。
「あー、もー、マジで、スッゲー、ヤリたいけどさー。でも、ちゃんと、ソコ守んないとダメじゃん。絶対、アトで疑うじゃんか。やっぱエッチしたかったからツキアったのかって。そんなんヤダかんな」
フーフーっと荒い息。
アリスは途中から顔を手で覆っていた。顔から火が出そうなほど熱い。
それになぜか涙がアフれてきて。止まらない。
ナニカを言いたいのに言葉がゼンゼンでてこない。ただただ、マサヒコの言葉が、想いがウレしくて。心が震え続けた。
一方、マサヒコはちょっと冷静になった。
すると、自分が言った言葉が、ものスゴく恥ずかしくなった。
ヤベっ、俺、なに言っちゃってんの。馬鹿なの? 馬鹿なの?
自分の苦し紛れのシャウトがアリスのハートにクリティカルヒットしたコトなど、マサヒコは知る由もなく。
アリスが顔を覆っているのは、爆笑をコラえているからだと思った。
「ヤっ、今のは、その、ナンダ? まー、ねー?」
アリスがササっとマサヒコの背中に回り込み、後ろから抱き着いた。涙顔を見られたくなかったからだ。
そのまま無言。
ズズっとときどき鼻をススる。
マサヒコは相変わらず先ほどの絶叫を恥ずかしがり、穴があったら入りたい心地。
そんなフタリを地面に降りたウルルンがナガめていた。




