水中戦だ
やがて駅馬車はベル池周辺駅についた。
ベル池はちょっとした湖というくらいに広い池である。
対岸がずいぶん遠くに見える。風のせいで水面が波打っている。
「てか、寒っ。マジ、寒いんだけどー」
「早く、魔装になろう。魔装顕現」
マサヒコは片手を天に突き上げて魔装を装着。この顕現ポーズは自由に変更が可能だ。
黒いウェットスーツ姿となるマサヒコ。
「イイじゃん。似合ってんじゃん」
アリスが言ってマサヒコの肉体をジロジロ見る。ちょっと顔が赤いのはエロ目線であったため。
アリスも魔装顕現。コチラは白のハイレグビキニ。エロい。
小麦色の肌に白い水着が映えている。
マサヒコが下腹部をモッコリさせながら見惚れていると、アリスが腕をカラめてきた。
「写真撮ろうよ」
「えっ、胸から上でお願い」
マサヒコはモッコリを隠そうと体の向きを若干変える。すると、アリスの胸の谷間がバッチリ見える。
ピンチだ、マサヒコ。
しかし、そんなマサヒコの思いなど気づかず、アリスがシュマホーをカカげて、撮影。マサヒコはなんとか、自分の股グラが隠れていることを祈った。
風がビュウビュウ吹いていて気温は恐らく5、6℃といったころ。水温はもっと低いだろう。
だが、魔装顕現状態のフタリにはまったく寒さは感じない。快適である。
「じゃあ、とりあえず、俺が入ってみるよ」
マサヒコは言った。あまりキレイな水ではないので、アリスを潜らせるのはカワイそうだ。
【魔物レーダー】を見るとマッドフィッシュらしき光点が動き回っている。
「えっ、ウチも入るし。せっかく水着なのにツマんないじゃん」
言ってアリスがマサヒコの隣に並ぶ。
「水汚いし、嫌じゃない?」
「んっ? こんなモンじゃね。海とかとそんな変わらないっしょ」
フタリはソロリソロリと池の中に足を入れる。すると、ツルっとアリスの足が滑った。
転倒する寸前でマサヒコが彼女の体を支える。夢中だったので思いっきり胸をワシづかみにしてしまった。
「あっ、ゴメン」
アワてて手をズラす。
「……ウン」
「スベるから気を付けよう。ゆっくりね」
冷静に言うマサヒコだったが、その心は。
柔らかかった。超柔らかかった。アリスのオッパイ、サイコー。
なんという僥倖。ウェットスーツ使用の魔装のタメ、手はムキだしだったのだ。ラッキーだぞ、マサヒコ。
やはり魔装のおかげで水温の低さなどまるで感じない。温水プールのような心地だ。
急に水位が深くなっているということもなく、足元はツルツルしているが、肩まで水に入った。
マサヒコが覚悟を決めて水の中に顔をツケる。暗くニゴっているかと思った水中だが、まるでゴーグルをつけライトで照らしているみたいにクリアだった。思ったより水もニゴっていない。
しかも、目を開けていてもまるで痛くない。鼻に水も入ってこないし、呼吸をしなくても苦しくない。
チナミにすぐカタワらにはアリスの体があり。
ハイレグの水着の際どいラインはいくらナガめていても飽きず。やっぱりチンチンが元気づいた。
「スゴいよ。まったく苦しくない。コレなら、水中戦も楽だよ」
水面から顔を出すとマサヒコは言った。
エロ目でアリスの下半身を凝視していたコトなどオクビにも出さない。
「マジっ。じゃあ、ウチも」
言ってアリスがドボンと沈む。
マサヒコも再び、水中に入った。
アリスのアッシュブロンドの長い髪が海藻のようにユラユラ漂っている。
アリスがニコニコ笑顔で小さく手を振った。
カワイイ、とマサヒコはシミジミ思った。
本当に知れば知るほどアリスはカワイイ。
俺の彼女、最高でしょ。
【乗魔】ウルルンは【ギルドカード】に入ってもらっている。魔装顕現している時は【ギルドカード】は魔装の一部になっているので(取り出そうと思えばドコからでも出せる)、コレが1番安全だ。
フタリはそのまま池の中心に向かって泳いだ。マサヒコの手には小さくした【魔物レーダー】が握られている。
マサヒコはお世辞にも泳ぎが上手いとはいえない。なんとかクロールが出来る程度。一方、アリスは泳ぎがカナリ得意な様子。まるで人魚のようにスルスルと水中を泳いでいく。
おかげでマサヒコはどんどん置いていかれた。あんまり離れちゃマズい、とマサヒコは奮起して全力で泳ぐが、全然、距離は縮まらない。むしろ、開いていく。
すると、アリスが泳ぐのをやめて、クルっとコチラを向いた。手を振る。
マサヒコも手を振り返した。
池の中は水棲生物の宝庫だった。
魚がスイスイと泳いでいるし、水底の方には貝やカニのようなものも歩いている。
まるでスキューバーダイビングでもしている気分。
アリスが戻ってきた。
マサヒコの背中に回ってキュッと抱き着いてくる。マサヒコはそんな彼女を背負ってバタ足。
なにしろ、呼吸の心配がないというのは楽である。水圧の影響もなく非常に快適な水中遊泳である。
マサヒコは泳ぐのをやめて、手に握りこんでいた【魔物レーダー】をアリスに見せる。高性能なので光点表示のほか、魔物が近づくとバイブでシラセてくれるのだ。
ちょうど光点が迫ってきていた。
マサヒコは心の中で、剣、顕現、と唱えた。長剣が手の中に現れる。
アリスも弓を顕現させる。
視界にサメのような魚影が入ってきた。アリスがマサヒコから離れ、矢をツガえ、弓を引き絞る。タメて、タメて、放つ。
【力矢】だ。
さすがは異世界、イヤ、魔装の効果か。水中でも弓は問題なく直進した。ただ威力はカナリ下がっているらしい。
マッドフィッシュに届く頃には矢の速度は遅くなり、ゆうゆうとカワされてしまった。
【力矢】を使ってこれでは、なかなか厳しい。
マッドフィッシュが接近。
狙いを定めたのはアリスだ。アリスはもう一度、矢を放つ。今度は速射。
コレもカワされてしまう。
アリスは食らいつこうとするマッドフィッシュのアゴ(あぎと)をカワした。
だが、その直後、マッドフィッシュの全身にタコのよう触手が生えた。それにカラめとられる。
水着に触手とか、反則だろうが。
マサヒコが剣を振った。
軌跡が黄色い光となって飛んでいく。スキル【飛斬撃】。
コレは意表をついたらしくマッドフィッシュはカワしきれない。胴の中ほどからパックリと割れた。
アリスがブチブチブチっと触手を引きちぎり、近距離からマッドフィッシュを射る。その矢は見事、後ろから頭部を射抜いた。
トドメとばかりにマサヒコがマッドフィッシュを剣で縦に割った。
【ギルドカード】にマッドフィッシュの死骸を収納し、浮上する。
触手にカラめとられたアリスはまったく無傷だった。
「てか、超ビビった。サメじゃなくてタコかよっ」
水面に出たアリスの髪だが、マサヒコがプレゼントした髪型固定のヘアピンのおかげで濡れていない。よくクルクル巻いている。
「俺もビビった。ケガ、ない?」
「ゼンゼン」
「じゃあ、戻ろーか」
と、アリスがマサヒコに抱き着いた。それからトウトツにキスをする。舌をカラめ合う濃厚なキス。
マサヒコは必死に立ち泳ぎしながら、キスを続けた。




