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春雪の家に着いた

春雪の家は、けっこう普通のとこにあった。

家の中も普通としか言いようがない。


春雪の家につき、普通のリビングで

彼女の両親の遺影を見た。

その後、トイレに行って舐めようかと思った。

なぜそんな頭おかしい発想が出たのかわからない。

当たり前だがそんな事しなかった、疲れてるんだろうか?


「リョウトさん、とりあえず、なんかするっスよゲームとか」

春雪は僕を遊びに誘う、よくもまあ親戚がグロい死に方したり変な連中に追われたりしたのに楽しもうとするものだ。普通、こうもっとずっと気分落ち込むんじゃない?

両親殺されたのにあんま悲しんでない僕が言う事ではないけど。


と、ふと気づく、彼女の普段がわからないから

どのくらい落ち込んでるかわからない。

もしかしたら普段は底抜けに明るいパーリーピーポーなのかもと思う。


また、彼女の両親の遺影を見てみた。

父は立派な髭を生やしていて、母はなんだか高貴な感じで。

なるほど、なんだかんだ彼女の両親は優秀なのか?

そして春雪も両親に見合う程度に妙に強いメンタルが形成されたとか


「ペン回しやるっス、出来ないなら教えるっス」

春雪が2本のペンを持って言った。

ぐるぐると曲芸と言えるレベルの回し方をしながら。


「すごいね、」

「おとーさんにできることは多い方がいいって言われたから練習したっス」

「・・・親戚のおじさんたちにもいろいろ教えてもらったっス」

春雪は親族を殺されたことを思い出したのか暗いトーンで喋る、やっぱ落ち込んでたか。


……今日僕と交番に入ったり装甲兵に追われたせいで警察も信用できなくなったっていうのは結構つらいだろう。

僕は超能力という自衛に使えるすごい力に目覚めてるけど、春雪はそういうのすらない僕より年下の少女。

がんばれ!春雪!


そんなこと考えて黙っていると。

「・・・ペン回しは嫌っスか?ならあれっス」

春雪は笑顔で言った。


「幽霊と対話っス!」

……馬鹿にしてんのか?僕は幽霊を信じて無いんだけどな。

「いやいや、リョウトさんマジっスよ?」


春雪が言うには、父の書斎からいつも父の声が聞こえるらしい。

「私には何言ってるかワカンネーっスけど リョウトさんならなんか、いける気がするっス」

としつこく言うので、僕は幽霊との対話を試みることにした。

幽霊なんて信じてないけど、とりあえずね。


春雪の父の書斎に入ると、確かに謎の声が聞こえた。

「どっスか?」

「黙っててね、今、集中して聞いてる」

そう僕が答えた瞬間、僕の、周りが、真っ暗になる。


そして、先ほど遺影で見た春雪の父が僕の前に現れた。

「あなたは・・・春雪の父親か?」

「私は残留思念」

訊ねる僕を無視して彼は語る、僕は黙って話を聞くことにした。


ただただ、淡々と彼は語る。

「私の"超能力"は思念を残すこと、そして超能力を持つもつ者にのみコレは届けることが出来る」

「君の目の前の私に意思はない」

「これは録音と録画された私だからだ」

「手短に話そうか、時間がない」

「私は真実を追っているが殺されるだろう」


「真実は隠されている」

「私たちは狭い世界にいる」

「これを聞く者に最後に一つお願いしたい」

「もし、この記録を見た君が、春雪、わたしのむすめでないのなら」

「身勝手な願いとはわかっているが、私の娘を守ってやってほしい」


そこで、僕の周りの景色は書斎に戻っていた。

「あれ、声がやんだっスね」

具体的なことはわからないが、だいたい何となくわかった。

春雪に今見たことを告げると、少しだけ驚いて。

「そっスか………」と切なくつぶやいた。


僕は春雪があまり悲しみを思い出さないよう

一緒に遊んだ。


いつの間にか夜になっていた。

僕は、春雪と同じ部屋で寝ることにした。


彼女はベッドで僕は布団だ。

彼女のベッドより僕の布団のほうがふかふかで、彼女がお客さんに気を遣う子とわかる。

育ちいいんだろうな。


しかし久々のまともな寝床だ。

自分の家のように血の匂いは充満してない。

おまけにとてつもなく心地いい

サイコ―の寝心地である。


まるで、と、考えながら気づく。

僕はこの安心感の例えを持ち合わせていなかった。

だけど、どんどん僕は眠りの世界に誘われ、たのに。


枕元で僕のスマートフォンから、着信を知らすメロディがなる。

ピコピコと昔風の懐かしいサウンドが今の僕には耳障りだった。


しかし、キョウヤからの電話なようだ、あいつが無駄に電話するのはすくない。

つまりこれは大事なことかもしれないと思い僕は電話に出る。


『おい!リョウト、お前、テレビに、指名手配犯って!』

ん?

『何か言ってくれ!もしお前が墓場の女を殺したことが原因なら俺も一緒に自首するから!俺にも責任がある!』

電話の向こうで焦っているキョウヤに僕は。


「落ち着いて、警察が今信用できない状態だから自首しないほうがいい、警察署が無人だったり警察の装甲兵ってのに」

ここまで言い、装甲兵は僕が勝手に名付けたものと思い出し言い直す。


「……パワードスーツ来た人に悪くない人が殺されかけてたし、今の警察は信用できない」

とにかく、自首はするな、警察は今ヤバい、危険とキョウヤに念を押し電話を切った。


そしてスマホでテレビを見る。

春雪を起こさないよう小さな音で。


ニュース番組で『無差別殺人犯の少年』とナレーターが言った。

僕の顔写真がでていた。

そして被害者の写真が出たが、そこにいる連中は知らないやつらだった。


なにか、裏の世界を見た気分だそしてスマホにメールが届く。

差出人は大道寺、この無月町を管理している人である。


要するに町長みたいなもんだ。


なぜ届くかはわからない。

そして内容はこうだ。

_そこから逃げろ、僕が僕を止められない、君は狙われている、君の傍にいる者も殺される_


意味が解らない、これまでの出来事どれもこれもそうだ。意味不明、ふざけやがって。


苛立ち。

クソ、と壁を殴りつけそうになるも、こらえ、春雪を見つめる。

ぐっすり寝ていた。起こすのは悪いと思う。

僕は、泊めてくれてありがとう、とだけ書いた置手紙を残し。


春雪の家を飛び出した、僕は一人でどこかに逃げることにした。

彼女は普通の子だ、一緒にいても足手まといなだけだ。

もし、先ほどの装甲兵に襲われでもしたら

一瞬で殺されるだろう。



外の空気は夜だ。

冷たかった、だけどこんな時だっていうのに僕はそれを心地よく感じた。



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