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7話 家に行くまで、扉と警察署

この小説もだいぶ長くなってきた気がする。


僕は家で家族の死体を処理した。

さらっと処理したとか言えるあたり、なんだか最近非日常にも慣れてきた。


墓場で変な女と出会ってから、僕の日常は大きく変わってしまった。

なのにこれまでとあんまり世界は変わってない気がする。

僕自身のメンタルにもあんまり不調とか無い気がするし。

なんだろうな、非日常って呼ばれてる異常事態なんてものは元々日常の延長戦というか裏側というか身近なところにあったんだろうか?


とりあえず僕は春雪の家に向かっている、彼女がデブ男と遭遇した家では無くて、それ以前に家族と住んでいた家だ。

そこになぜか泊まる許可が出たし……あんな目にあった彼女は一人でいるのが怖かったのかもしれない。



そうして道を歩いていると突如何かを思い出した。だから僕は何かを見に走った。

いや違う、何かじゃない、あれは扉だ。

僕は昔「扉」を見たとき、恐怖、苦しみ、頭痛を感じた事がある。


滅茶苦茶に僕は走る。

どこに行けばよかったかわからないけど、なんとなく走る。


もうすぐ、もうすぐ扉にたどり着くはずだ。

近づくにつれてそれらの苦痛はデカくなる。

道端、少しうねってわかりにくい場所に厳重な扉があるんだ。

僕が見たとき、壊れてて、外に出れたんだ。


それは、大きな大きな扉なんだ!

だから!だから僕はそこに行かないといけないんだ!

早く早くはやく、行かなきゃ。

ぼくはそこがなにかだいじってしってるんだ。

いかなきゃいかなきゃ。

・・い・・・か・・・・・な・・きゃ


苦しい、頭が「行くな」と警告してる。

ズキズキと全身が痛む、まるで細胞一つ一つが逃げたがってるように。


僕は、嘔吐した。脳が痛い、ハリを突っ込まれでかき回されてるように。

この痛みが半分くらいの痛みなら我慢できるっていうのに。


むり、これ以上行けない。

「……リョウトさん!来たんっスね!」

後ろから春雪が近づいてくる。

あぁいつの間にか春雪の家の近くまで来てたのか。


しかしなんだ?さっきの妙な光景は?

まあいい、「扉」はまた行けるときに行けばいいんだから。

今は、春雪の家に行こう。


と思ったが、その前に。

道のりに交番があったので、少し中を覗いてみた。

なんでそんなことをしたのかわからない、警察署みたいに無人であるみたいな異常を期待したのか、それとも何も起きていない平穏を期待したのかどっちかは自分の中でもわからない。


結局、平穏はそこに無かった。


「ヒッ!」春雪がそれを見てビビる。

それとは転がっている死体の事だ。


三人くらい頭部から出血してる。たぶんみんな死んでる。

「ちょっと待ってて」

僕は春雪に言う。


「に、逃げた方がいいっスよ」

僕はずかずかと交番の中に入っていく。

血を踏みしめると、乾いた感触がした。



そしてデスクの陰から警察の人が出てきた。

彼の様子がおかしい。

ゲヘゲヘと気味の悪い笑いをしながら

こっちを向く。


彼は何か、切なそうな顔をして

その顔がまるで嘘だったかのように唐突に暴れだした。

「嫌だっ!虫が!頭の中に!」

彼は拳銃を振り回す。

その拳銃でさっきの3人を殺したんだな、とわかった。


「俺は警察なんだ!子供を殺せるか!」

だがしかし彼は僕を見た瞬間自分を殴り始めた。

そうとう錯乱してる。


そして彼は僕に向けて拳銃を向けた。

不味い、このままだと殺されかねない。

超能力を使っている暇は無いと判断し、拳銃を奪おうととびかかり押し倒した。

しかし、彼は一切抵抗しない。


な、なんで?

疑問に思う僕と彼の間で静寂が流れた。



「運がいいね、君は」

それから警察の人は僕を優しく見つめる。

「僕はちょうどいま正常になったんだ」

そして、ぼろぼろと涙を流す。

「君は、君たちはきっとこれから地獄を見る」

彼が苦しそうだが、その理由はぼくにはわからない。

「いいかい、この町の大人を信じちゃいけない」

信じちゃいけない、その言葉を言う時、彼はとても苦しそうだった。


そして

「じゃあ、またおかしくなる前に、さよなら、君を殺さず済んでよかった」

彼はその言葉とともに、自分の頭に銃を撃った。

あっけない死に様だった。



彼はいったいどうして死んだんだろう?

どうしようもなく、僕の心はもやもやする。

地獄を見るってなんだよ?

なんで泣いたんだよ?


僕はたまたま会って、たまたま戦っただけの警察の人がとても気になった。

彼の死体をちらりと見て。


僕のもやもやの中に、楽しさが生まれそれは笑いとなってあらわれてしまう。

しばらくクスクスと笑う僕。

僕はいったい何なんだ。

そう複雑な気持ちになる。

クソ、早くここから立ち去ろう。


「お、リョウトさんおかえりっス、大丈夫っスか?」

春雪が交番の外で僕を待っていた。

「……早く君の家に行こうか、大丈夫ったよ」


春雪は何も言わなかった、だけどその声は震えている。

彼女もなんとなくわかってしまってるんだ、これまでみたいな平和な過去に後戻りがもう出来ないって。

だから、無駄な事は言わない、いや、恐ろしくて言葉を紡ぐことが出来ない。


でもありがたかった、無暗にしゃべられて僕の複雑な気持ちをつつきまわされたら殴りかかってしまいそうだから。

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