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乖離英知

僕は落ちていく。

どこへ、落ちるのかわからない。


頭の中に流れ込んでくる映像。

もしもこうだったらという願望。

それは、ただの妄想。



そして、もう一人の大道寺がやったことを見た

これは、真実

世界を滅ぼした。

人を殺して回った。

ただただ無感動に見た者から首を絞めていく。




英知から乖離していく。


ベチャリ、と僕は落ちた。

これが「空間を超える」ということらしい。


大道寺からいくつかのことを教えてもらった。

まず、もう一人の複製された大道寺は彼の隠していた、否定していた部分が強くでてしまっていること。

そのせいでこの街の全ての人間を滅ぼそうとしていること。


その計画が今から始まろうとしていたこと。


そして、普段は特殊な異次元空間にいること。


辺りを見回す

ゲームのバグエリアみたいに暗黒が広がっていた

僕は大道寺の力作ったマシンでこの異空間に来たんだ。


この異空間で大道寺(もう一人の)をどうにかしたら特殊小型通信装置で

元の世界に返してもらう手はず。


彼はどこだ……?

何処にいるんだ?


なんとなく、テレパシーを使ってみる。

追体験の時人の記憶にアクセスしてるんだからいけるだろ。


ほら、誰かいるようだ________


僕の中に 絶望と  恐怖と 悲しみと 憎しみ の濁流が

流れ込んでくる。


________

痛い殺してやる憎い死にたい殺して

裏切られ何で俺が何でこんなやつら

孤独存続させる意味

俺なんか殺して

ほら死ねよ、苦しめよオ

________


気付けば僕は汗だくで倒れてゲロを吐きまくっていた。

なんだ、今の?

今のは?大道寺の。

記憶。

酷く悲しくて、切なくて

僕はボロボロ泣いていた。


大道寺は皆の記憶を消して

自分だけが理不尽に苦しめばいいと思ったんだろう。

きっと、世界を滅ぼしたものへの恨みもあったんだろう。


自分がみんなに色々してる罪悪感もあったんだろう。


孤独だったんだ、そう感じる。

なぜメイドの機械なんて作ったのか、少しわかる。


だけど、それがこの大道寺(もう一人のことを今からもう一人って呼ばない)は

その苦痛が周囲への憎しみと変わってしまっている。


とにかく。

やるしかないんだ。


「大道寺さん~?」優しく呼ぶ

さっきの記憶を見たら、優しくすべき人かと思ったから。

大道寺がこちらを向く。


次の瞬間僕の腹に膝蹴りが入った。

「ガッ!」

大道寺がテレポートしてきたのか!

「死ねよ!」

泣きながら大道寺は僕の胸ぐらをつかみ頭突きをくらわせて来やがった。


クソ!

大道寺を突き飛ばし一旦休憩をグワングワン目の前が揺れて気分が悪い。

と、とにかく。


八代戦でつかった剣を取り出す。


この武器はたとえかするだけでも当たれば強力だ。

相手が人に与えたダメージをそのまま返してあげられる。

というかこいつに勝つのはこれないと無理だ。

ダメージを感じてないんだから。

でも、これなら。

脳みそに直接痛みの電気信号を送るこれならば

行けるかもしれない。


大道寺に向かって一閃。

虚しい奇跡をえがく剣

つまり跳ばれた避けられた。


チッ!と思わず舌打ちしてしまう。


大道寺は、僕を跳びながら蹴り飛ばした。


ちくしょう。

ちくしょうちくしょう。


蛆虫のように転がった僕に大道寺は手のひらを伸ばしてくる。

まずい。

僕は前に向かって滑りながらどうにか走った。


その直後、ぐにゃりと世界が終わるような

気持ちが悪い音がして

振り向くと僕のいた空間に亀裂状の裂け目がはいっていた。


裂け目からは、赤黒くて薄気味の悪い

空間が見える。


なんぞ、あれ?

僕にとっては事象の地平線。

大道寺に聞きたいが持ってきた小型通信機は

「成功した」とメッセージを送る機能しかないんだよね。

異次元と現実世界では

やり取りできるデータ量が少ないみたいでさ。



とにかく。

僕は――。

「ウぐッ!」またテレポートされて蹴り飛ばされた

どうする?

どうする?


とにかく、攻撃だ。

剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。剣を振る。避けられる。剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。剣を振る。避けられる。剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。剣を振る。避けられる。

剣を振る。避けられる。


疲れた……

どうしよう、と思う。


もう全部投げ捨てて逃げ出したくなった。

だいたい、僕がやる意味ってあるのか?


自分のやってることがわからなくなってきて。


僕の中の僕が叫ぶ。

観察しろ

大道寺をしっかり見るんだ。

来栖だったらどうした?

諦めなかっただろ。

こいつをほっといて行かなかっただろ。

あきらめるな。


そうだ、僕は死んだ来栖のために戦っている。

仲間のためでもあるけど、結局一番の理由は来栖なんだ。


息を強く吐いて。

剣を大道寺に、構え。


集中。


自殺願望、憎しみ、苦しみ、痛みがごっちゃになる。

何度も何度も味わった苦しみ。

超能力を使うたびに伴う自分の絶望。


でも、大丈夫だ。


絶望……理不尽に僕は立ち向かっていける。

自分の醜さを認めたから。


その醜さと今のところ上手く立ち向かっていけるから。


「死んでくれ」大道寺は短くしゃべり。

僕に手を伸ばす。


でも、超能力は超能力で打ち消せるんだろ‼‼‼‼‼‼

僕は、そのためだけに超能力に集中をしていた。


頭が痛い、でも楽しい。

僕の中の僕が笑う、だから________戦える。




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