そしてエピローグに向けた戦いが始まる。
僕は。
僕は僕は僕は僕は。
来栖を守れなかった。
目の前で死んでしまった。
そのことをみんなに伝えたら
責められることはなかった。
皆、優しかった
八代を拘束して桜木さんの兄に引き渡して。
それからひどく電波塔に行かなきゃいけないという思いが募って。
大道寺から電波塔で待ってるとメールが届いて。
それから僕等は
電波塔の頂上を見上げていた。
窮屈な空が見える。
いまから、ここに入る。
来栖を失ってできた心の穴を感じながら
「しかし、高くて太い塔だな……」
桜木さんが感想を漏らす。
まあ、確かに塔だけどビルの形状に近い。
人が住んで管理できるように、だったか。
づかづかと僕等は塔に入り
絶句。
綺麗だった。
綺麗な、タイルが一面に広がっていた。
まるで、空間がねじ曲がったように広い。
「ここは……」
春雪が僕の腕にしがみついてくる
なにかを見て酷く怯えていて……
視線の先にあるものを見て噴いた。
からころかろころと
メタリックで無機質な感じのメイドさんがこっちに台車を押して
やってくる。
脳裏に浮かぶ、そのメイドがこっちに攻撃する姿。
危険性がある気がした。
「腦……」キョウヤのつぶやきで台車に載ってるものに気づく。
脳みそが、ケースに緑の液体とともに入っている。
「リョウト君、キョウヤ君」トキヤが武器を構えたほうがいいんじゃないか?
と聞いてくるが
僕はともかくキョウヤはクロスボウを壊されている。
来栖がしんで、大幅に戦力ダウンした今
戦いになるのは不味い。
だけど、メイドはカラカラと台車を僕等の前まで引いて停止した。
_____皆さん____
メイドが言った。
「すごい技術でつくってるな、コレ」
桜木さんがそう感想を漏らすってことは、この機械すごいんだろうなあ。
ライムが、ひどく警戒してる。
なにそのヤバい目つき。
_____私は大道寺です____
ファッ!?
_____皆さんに謝らないといけません____
「ちょ、待てよ」キョウヤが大道寺の話を遮ろうとしたが
_____もう一人の私が、あなた達を危険視したこと___
無視されてる。
_____そして、殺そうとしたこと______
「脳みそだけで機械を制御してるのか、すさまじいな」
ちょっと桜木さん解説はいいから黙れ。
それから、大道寺の話をまとめると
僕たちを殺そうとしていたのは、ひた隠しにしている世界が滅んでいるかもしれない
現実にたどり着きそうだから。
そういえば、僕は記憶を消されてるけど一度真実にたどり着いてる
危険視されてもおかしくない。
_____まあ、こんな街になってしまったから君たちを殺しても今は意味はないんだけどね____
そして、大道寺は僕らに頼む。
__頼む、僕を殺してくれ__
へ?
___僕が作り出してしまった、僕を__
思い出す。
連想ゲームが始まる。
桜木さんがスタンガンを大道寺に ダメージは入っていない 病室
病院の同じノート こいつの周りの超常現象 超能力
なんとなく、理解した。
それからの話をまたまとめる。
大道寺は、超能力「複製」を使い
病気になった自分の代わりに行動する自分を作ったらしい。
つまり、協力的な大道寺はこいつで
襲ってきた大道寺は病院で見た奴だという。
___僕が否定してきた、自分の中の攻撃的な性格が君たちを襲ってしまった___
僕と同じなのだと
___あの僕は、人に対する優しさを忘れ皆を助ける目的を忘れてる。___
彼のことが分かった。
___あいつがこのままじゃ皆を救う邪魔をされる__
皆を、救う?
___だから、一緒に来て奴と戦ってほしい___
……
___死ぬかもしれないけど、ごめん___
僕は、皆に振り向いた。
今、ここで戦えるのは僕だけ。
ライムは、僕の能力強化にリソースを割いてるし
キョウヤは武器を壊されたし。
だいたい、病院であった大道寺は下手をすると八代より強い。
来栖が全くダメージを与えられなかったアイツとは
八代に勝った奴くらいしか、戦えないだろう。
でも、それでも
きっと、皆を救うための戦いなら来栖はやった。
僕は、彼女の意思を受け継ぐと決めた。
だから
最後かもしれないから、言葉を残す。
「ライム……来栖のこと、ごめん」「フヒ、アンタのせいじゃないですしおすし気にすんな!」
ライムは寂しそうにサムズアップをした。
「トキヤ、鉄パイプありがと」そういやこれどこで手に入れたんだろうか?
そう聞くと気まずそうに「ゴミ捨て場」と返された。マジか。
「春雪、ここまで付き合わせちゃってごめん」「いいっス、別に」
「桜木さん、今まで知識とかでのサポートありがとうございました」「お前、過去形にするなよ
これからもよろしくくらい言えよ」
言えなかった、来栖を助けられなかった僕には。
大道寺の力はたぶん八代より強い
僕でどうにかできるのかまだわからないから。
「キョウヤ……僕が負けたら、後は頼む」「ああ」
それだけ、それだけで僕とキョウヤの会話は十分だった。
言いたいことはもうお互い言い合ってるから。
「じゃあ、行ってきます」
皆にそう伝えて僕は振り向く。
メイドが視界に入る。
僕は死ぬかもしれない。
でも、しょうがない
この世界は理不尽だから。
でも僕は行く。
戦いに。
さあ行こうか、望んだエピローグへ向けて。




