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月街  19 世界の真実を知った後、交わる運命 

僕らは、トキヤの車に戻るわけだけど。

ひじょうにかったるい。

だって、世界が滅んでました~なんて、どう説明するんだよ。


トキヤと来栖の足取りは重い。

僕も重い。

でも、着実に車に進んでいく。


そして、遠くに小さく見える車。

歩くたび大きくなって、着いた。


着いてしまった。


僕はこんこんと車をノックする。

中の桜木さんが気づいて、開けてくれた。

僕等は、車に乗り込む。


「で、リョウト、お前は何か解ったのか?」

桜木さんが聞いてきやがる。

あんた、僕から出てるはずの何も聞かないでほしいという

空気を読め。もしくは感じろ。

だいたいアンタ何で都市伝説とか追ってたんだ、お遊びか?

ああ、もう、そんなことしてるから巻き込まれて引き返せなくなんだよ。

すごいむかつく。


もう、いわれたら答えるしかないだろが。

もういい、どんな文句を言われようが。正直にいこう。

「世界は、砂漠でした」

は?という皆の視線を受けながら、僕は詳しく説明した。

来栖とトキヤに説明に足りない部分を補足してもらいながら

だったから、意外とすんなり信じてもらえた

一人除いて。

春雪ではない、彼女は地味に肝が据わってる。


桜木さんが一番話を聞いて驚愕していた。

立ち上がって喚いていた。

「その、砂漠に連れて行け!実物を見るまで信じないぞ」

トキヤは、携帯を取り出してその画面を見せた。

砂漠がうつっている。

さっき僕等がいたところだ。いつの間にか映像に収めていたらしい。


携帯からは「どこまでも砂漠だ」トキヤの声がする。

「一応、証拠は撮ってきたよ」トキヤの声がする、携帯じゃないほうから。

映像は、いきなり終わった。


桜木さんは、何だかあきらめたように、身体を投げ出すように

座席に腰を下ろす。


僕とみんながほぼ同時にため息をついた。

世界滅んでるってなんだよ?誰かに文句を言いたくなる。

なんというか、諦め。

理不尽なことに対して、諦めている。


誰も何も言わない、というか言えないはずだ。

世界が滅んでましたというビッグニュースの直後に

やる気は起きない。


ライムはなぜかクスクス笑ってた。

その笑い方はイラっとしたけど、彼女は携帯でネットを見ている。

面白いページでもあったのだろうか。

たぶん、わざと笑ったわけじゃない。

いや、この状況で笑うのはやっぱおかしいか。

……ネットは通じるのか、なんか、僕の中で滅んだ世界はネットがつながらない

イメージがあるから、ちょっと困惑。

そういえば最近インターネット使ってない便利なのに。


各々の物思いにふけっていると、キョウヤが静寂を切り裂く。

「次はなにしようか?」

彼は、全くやる気を失ってない。

「確かに驚いたけど

俺たちの思ってるのと世界の形が違っただけでべつにショックをうける必要は無い

昔っから外が砂だとして、俺たちに影響あるか?」

なんだか、ドライなようでいて、アツい考え方。

気付かされる。

そうだ、そうなんだ。

世界が滅んでいたとて特に意味はない!


僕は弾む声で、宣言する。次に何するか。

「僕はッ!医療に使うものがそろそろほしいです!ケガも増えてきたし!」

なんだこの楽しそうな声と自分でも思う。

だけども、こういう時こそ明るくだ。


 嘘だ  そういう人格を演じてるだけだ  明るくて強い僕なんて嘘だ

最低  ゴミ ポジティブとネガティブどっちつかず 自殺したほうがたぶんいい

馬鹿だ  クズだ  僕は狂って楽になろうとしてる


「じゃあ、今から薬局でも行こうか」

トキヤは車を走らせた。

皆は、さすがに暗い表情してる、キョウヤがおかしいだけだ。

そして、街の商店に入った。


車から降りて薬局に入る。

シャッターは降りかけていて、中途半端さが不気味だった。


薬局は荒らされていた。

商品棚は倒され、レジは壊され、壁中穴は開き。

包帯とかのこれから使う頻度が高そうな商品は全部なくなっている。

「暴徒にあらされたんっスかね?」

「世紀末的なりますた」

なんてトーンの低い春雪とテンションの普通なライムの会話聞いてたら、遠くから悲鳴が聞こえた。

助けてーっていう悲鳴。

その直後に銃声。と怒声。

何か問題が起きている。


来栖のほうを見る。

悲鳴のもとへ駆け付けようとクラウチングスタートの体勢をとっていた

「リョウト、私助けに行っていいかな」

正直やめてほしい。

変なことに巻き込まれたくはない。


そうだ、キョウヤはと彼のほうを見た。

いなかった。

桜木さんが「悲鳴の主を助けに行くけど、俺が旅の邪魔になると思うなら置いてけだって」

キョウヤの言ったことを教えてくれた。


ああああ、もうイライラする。

キョウヤは勝手に助けに行くし、変なことに首突っ込むなよ。

今ですら大変なのにこれ以上。

ああああ、でもキョウヤの力や精神は僕らに必要だし。

もう、考えない。


来栖とともに僕はキョウヤの走った方向に、駆けた。

今は、世界が滅んでることも人肉のことも何も考えないんだ。

とにかくキョウヤだ。


到着。

商店街の往来で、拳銃を女性の頭部につきつけ、人質を取っている

そんな、デブがいた。

いや、僕が前に殺したデブとは別人だ。

頭はもじゃもじゃだし、そばかすいっぱいだし。


そいつはクロスボウを構えたキョウヤとにらみ合ってる。

どこでその武器ゲットしたんだろうか?

来栖がぼそりとライムが作ってたと教えてくれる。

マジか。


デブは、僕等に気づくと「おっと、K君と、かわいこちゃん」

K、神浦のKと言われてビビる。知り合いかと思った。

でも、よく考えれば、指名手配されてるから僕有名人だ。


僕は鉄パイプ、来栖は拳を構える。

ついでに辺りを見回す。

シャッターはどの店も閉まっているけど、食料品店は

こじ開けられていた。

ちらりと死体が見える。このデブがやったんだろうか。

キョウヤは僕を見て、こいつがこの商店街荒らしの犯人だ!

と教えてくれた、気が利く。うれしい。


キョウヤはぼそぼそ呟いていた。僕は聞き逃さなかった。

「なんでこう戦いばっかりすんだよ」

なんだか今にも彼は泣きそうだった。


キョウヤはクロスボウをしっかり構えて声を張り上げた。

「その人を離さないと撃つぞ!言っとくけど俺の射撃は精密だからな!」

しかし、脅しには屈しない相手だ。

へらへら笑って挑発してくる。

「殺す?俺を?無理だね、俺超能力者だし、そうだ 八代 天 死ぬ前に覚えといて

最高の男の名前を」

女性を突き飛ばし、八代は銃で彼を撃ち殺そうとした。

キョウヤの反応はかなり早く、クロスボウで八代を撃つ。


誰がどう見ても正確に拳銃へ矢は向かっていた。

だが、しかし、八代は眉間にしわ一つ寄せず平気な顔をしていた。

おかしい、僕は集中する。


痛僕痛のから痛だ痛巨否痛反応痛


矢は、ぐにゃりと機動を変えて、女性へ向かう。

僕はその軌道を超能力でぐにゃりと変えて

八代の拳銃へ直す。

全員驚愕。

互いに超能力者。

「チッ、驚いたな」


八代は、キョウヤ、来栖を見て「違うな」とつぶやき。

僕を見て「こいつが」と言った。

そして、八代は銃を投げ捨て、目をつむる。


異様な気配を察知。僕は、マズいと思って八代に鉄パイプで

攻撃しようと走る。

来栖とキョウヤも同じように走る。

一瞬キョウヤはクロスボウ使えと思ったが

さっきみたいに操られたら危険だった。


三人で、同時攻撃。

しかし、だめ、八代は空中に高速で浮かび上がり「浮遊」

しながら僕等を見下ろしている。

「残念」八代の声は楽しそうだ。

奴の右手にまがまがしい剣が現れる。


クソ、「来栖!地面殴って!」指示に来栖が従うのは早かった。

「キョウヤ!僕の体任せた!」「え?ああわかった」

来栖が殴りつけ、飛び散ったアスファルトの破片一つ一つに集中する。

頭痛いし、目の前が暗くなったり明るくなったりモノクロになったりする。

もっと力は楽に使えていいと思う。


そして、後ろに倒れそうになり、キョウヤに支えられ。

そうしながら、破片をすべて八代に向かって超能力で飛ばした。

小さいのも大きいのもとにかく全部。よけきるのはたぶん無理だろ。


そんな自信があった

「へえそんな使い方あるんだ」八代がそういったとき無くなった。

八代は剣を一振りした、すると全ての破片が消し飛んでしまう。

朦朧とした意識はその衝撃で鮮明さを取り戻す。


なんだこいつ。

そして、八代は僕に向かって急降下。

しようとした瞬間。

黒い、裂け目が世界に出現し、そこに突っ込んでいく。

刹那、僕の右脇腹をけられて、吹き飛ばされる。

「アガッ!」

全身に伝わる衝撃、腹の中のもの吐きそうになった。


気付けば、すぐそばに八代が現れていた。

「リョウトッ!」キョウヤが叫ぶ。

僕はとにかく鉄パイプを振り回した、

八代はおどおどと僕から離れる。

「ああ、もう」なんて言いながら、


キョウヤは叫ぶ「危ない!」

こけそうになりながらも右に跳ぶ。

そうしなかったら、今地面から突き出した巨大な氷のとげで

串刺しになっていた。

なんだコレ、あいつの力か。


浮かんでる八代の後ろから、来栖は跳躍し殴り飛ばそうとしたが。

八代の体は拳が当たる直前消え、来栖の後ろへ現れ

逆に来栖を剣で切りつけようとした。

来栖は体を空中でひねり、八代の体を蹴って自分の体を素早く地面に飛ばす

そうしながら回避した。


「なんだお前化け物か?」八代がそう言う、確かに人の動きじゃない。

今ので確信した、僕らはこいつと戦わないほうがいい。

来栖の攻撃は完全に不意を突いたはずだし、僕の攻撃も全力のものだ

それらが一切通用しないということは、勝てないかもしれない。

もし勝てても、この強さの相手と戦えば無傷とはいかないだろう。

そして、こいつとは「絶対」戦わないといけない相手ではない。

たまたま会った犯罪者なんだこいつは。

逃げよう。


女性は逃げたか?逃げてないとキョウヤも逃げないだろうし

よし、いない、逃げてる。

僕は近くにあった大きめの石を八代に投げつけながら声を張り上げた。

「キョウヤ、来栖、逃げよう!」


二人とも、ん?って顔してた。

確かに、まだ逃げると判断するには早いかもしれない。

でも、遅かったら詰む。

二人は僕を信頼してくれた、逃げる隙をうかがっている。

僕はそんな信頼していいようないい奴じゃないのに。


とにかく、八代のスキを作らなきゃと使えるものを探す。

いつの間にか、僕を突き刺そうとした氷の棘が解けかけていた。

これだ、僕はそれを鉄パイプで叩く。

硬い、超能力で攻撃に勢いをつけもう一度たたく。

一部分が割れた。コナゴナに。

「来栖!僕の体!」たぶん、これしたら気絶する。

だから僕の体を抱えて逃げてもらう必要がある。

そうするのならキョウヤより来栖に頼むほうがいい。

たぶん3人の中で一番力が強いし。


「うぎぎぎぎぎぎぎあ」うめぎ声を自分で上げながら集中

頭の中で感情と痛みが渦を作る。

ぐるぐるぐるぐるぐるぐると回ってる。

痛い怖い痛い死にたい痛い消えたい痛い楽しい痛い気持ちいい痛い


殺して


氷が渦を作る、まるで竜巻のようにごうごうとうねりながら。

八代が出して僕が割ったそれは

大きな大きな渦を作る。

回りに回る感情をそのまま、渦に乗せる。

どんどんどんどんどんどん巨大になって。

その渦は八代を中心に回って奴をたじろがせる。

高速で飛び交う氷は硬く、たぶん当たれば結構いたい。

「くそが!」なんて叫んでるからたぶん効いてる。


氷の渦はどんどん回転速度を増していく。

その度に、僕等と八代の世界は断絶されて。

僕の視界がモノクロになったり暗くなったり切り替わってゆく。


来栖は、僕を抱えて逃げ出した。

たぶんキョウヤも逃げてる

抱えられてるので視界には入らないけど。


僕は、胃の中のモン全部吐き出しそうになりながら

超能力を維持。

うん、たぶん確実に逃げられそうだ。


聞こえた。

「避けろ!」

キョウヤの声。

どうにか、抱えられたまま、声の出処を見る。

キョウヤは、僕等をかばっていた。


遠くから、八代が飛ばした剣を自分の体を盾にして、防いごうとしてた。

「キョウヤ!」

避けろ、避けるな。

同時に相反する二つの言葉を言おうとして、無理で、声が出なかった。

僕の言葉に何の効果もなく。


キョウヤは、僕等の代わりに剣で斬られた。


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