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18話 砂漠 寂寥感

どこまでも、どこまでも砂漠が続いていて。

ところどころぽつぽつと、ビルが倒壊してて。

三、四階あたりまで埋まってる建物もあって。

ただ、これは滅んだ世界なんだと感じさせられる。


トキヤも来栖も、呆けている。

こんなことあると思うわけないから当たり前だね。

僕は、少しワクワクしてるような気もする。


「トキヤ、とりあえず調べよう、ここを」

そういうと、トキヤと来栖がはっとする。

来栖は桜木さんを連れてきたほうが、いろいろわかるのでは?

と言うけど。

彼女は寝ていたし、だいたい、気になる資料は彼女のもとに持っていけばいいだけ。


僕らは、倒壊はしていないが、砂に埋まっているビルに入る。

砂には3階まで埋まっているようだ。

4階の窓から入った。


もはや、誰かのプライバシーとか気にする余裕はない。

ビルの中は、オフィスだったが。

デスクの中、本棚、片っ端から調べた。

パソコンもあったけど、全部電源は点かない。


眼球が異様に大きくなったネズミが引き出しから出てきた。

僕にかみつこうとしたけど、トキヤが叩き潰した。


なんだ、これ?なんだ、これ?

だんだんと僕らの調べ方は荒々しくなる。

「あっ!新聞アった!」反射的に叫ぶと。

来栖とトキヤが僕の見つけた新聞を急いで覗き込んだ。


来栖の汗が滴っている

「核戦争、生物兵器」

来栖は、それだけ読んだ。

トキヤは別のところを読む。

「地下町の無月町をシェルターに

責任者は大道寺」


ああ、なんだか、だんだんと「つながる」

僕は新聞を右上から左下へざっと見た。

知らない言葉ばかり。

でも、これは、わかる。

ただ淡々に不気味に、世界が滅んだと書いてある。


_ハイどうも、着信です_

間抜けな電子音が響く。

僕の携帯からだ。

非通知、だれから?

迷わずに出る。


「大道寺です、君は気づいてしまったようだね」

僕はトキヤと来栖に目で、絶対にうるさくしないでと伝えた。

一言も聞き漏らせない。大道寺からなら。

「その、君にはやってほしいことがある」

_ピープツ_

あいつ!それだけ言って切りやがった!

割とこっちから殺しに行ってやろうかと思うほどむかつく。


殺したい?

ほらな、そういうやつなんだお前は。


頭の中で、浮かぶ声。それは、無視。


とにかく、なぜ今奴から電話がかかってきたのか?

は考えないようにする。

それよりも、この砂漠だ。

そうだ、屋上から遠くを見渡そう。そしたら何か解るかも知れない。

僕らは、ビルの屋上に上る、

そしてトキヤは、ぺたん。と地面に崩れ落ちた。

「そうだ、そうだったんだった、この世界はこうだったんだ」


ない、何も。

遠くに砂以外、なにも。

「そうか、人肉食はそういうことか。

この世界に食べ物なんてないんだ。」

声に出てた。


来栖が、走り出す。

屋上から、階段へ。

そして階段を駆け下りる音。

「トキヤ!僕来栖追うから!」

「・・・・・・じゃあ、僕は後で追いかけるから先に行くんだ」

暗い表情だった。

殺して、屋上から投げ落としたら。

飛び降り自殺だよ?ってごまかせそうなくらい。


頭の中の計画、僕はそれが無性にやりたくなりそうで

そんなことしちゃいけないと思って。

この場から逃げるように来栖を追った。


来栖には、無月町から出たところの、天井ぶっこわした

辺りでようやく追いつけた。

というより彼女が待っていた。


立ち尽くして、困っていた。

僕は、彼女に何をしているのか聞く。

「お前らだけ置いて、帰るわけにもいかないだろ?」

震え声。

そりゃそうだよな、世界が滅んでたんだ。

むしろ。

何で僕は怖くないんだ?

なんだか、当たり前のように受け入れられてしまうぞ。

それは不思議なことである!


「なあ、リョウト、私とお前が敬語使わず話すようになったのは、いつ?」

来栖が、僕に聞く。突然に。いきなりに。唐突に。

えっと、確かデブを殺して喧嘩したときだから。

「8週間くらい前かな」

「だよな、それまで、私たち、普通の高校生だったよな!?

なんで、なんでこうなってる!?何で世界は滅んでる!?」

来栖は、僕にすがっていた。

泣いていた。

溺れる者は藁をもなんとやらというやつか。

ただ、僕は彼女を救えない。


何も、持ってない。

僕は、だからこの砂漠が平気なんだ。

ただただ、空っぽ。

なんにもない。

僕は、言葉の持ち合わせがない、行動も思いつかない。

ほらな、この砂漠と一緒なんだよ。

どこまでも、どこまでも、虚無が広がって。


いやだ、そんなの、いやだ。

だって、来栖は僕に救いを求めるからだ。

僕の袖を不安そうに握りしめてるんだ。


そうだ

僕には何もないけど、他の人はきっと何かある。

それをパクろう、思い出せ、周囲の人を。

どうしたら救える?

ない、記憶にない。

僕はそういった明るいものを見てこなかった。

もしくは見逃し続けた。


ここまで考えて、自分が目の前の人の心を

助けたいと思うのと同時に

目の前の人をグチャグチャな肉塊にしてやりたい。

そんな二つの思いがあるなんて気づいた。

思いが強いのは、後者。


それでも、それでも、と考えてしまうのは。

これは、愛なんだろうか?

目の前の人を助けたい。

なのに殺してやりたい。

その思いの根源は、どちらも愛と呼ぶのが正しい気がする。

いや、「殺して自分のものに」なんて話ではなく。

ただたんに、これは。快楽殺人したいだけの気もする。


話が脱線してた、来栖をどう助けるかが問題だ。

言葉?行動?なにをする?

そうだ、思うままにやってしまえ。

それでうまくいってきたんだろ?僕。

_そんなことしか思いつけないなら死んじまえ、おまえ価値ないよ_

頭ん中の声をガン無視。


「現実は、理不尽で、荒唐無稽で、とにかくクソみたいなもんなんだよ!

だから、普通の高校生なんて肩書、クソの役にも立たない!」

驚く。思うままにやったらこんな言葉が出た。

_リョウト君!落ち着け!なに言ってるんだ!_

頭の中でトキヤの声が響く。

そういや、テレパシー使えるのか。


トキヤは遠くから僕等を見守っていた。

おい、なんでこっち来ないの?

_彼女を僕には救えないから、いまいち彼女のことわかってないし_

それは僕もだ!

と、頭の中で叫ぶがトキヤは何にも答えなかった。


で、そんなことトキヤと会話(会話?)しながら

来栖に僕は語っていた。

「ひたっすらに無意味!ゴミクズ!」

そこまで言って、来栖が切れた。

僕を押し倒す。


そして、馬乗りになって殴ろうとしてる。

完全にブチ切れてる。

やべえ、怒らせた。

いや、こんな時に、こんなこと言って怒られないほうが不思議だけど


でも、彼女がこういう怒り方をするのは初めて見た。

そういえば、人にあたるような切れ方。

ああ、これは恐怖から正常な判断ができなくなってるパターンか?


僕の言葉は連鎖的で反射的にすらすら出てきやがる。

「結局のところ、どんなものも諦めて、認めるしかないんだよ!」

たまたま、いいこと言った。

来栖は振り上げたこぶしをおろした。

そして「・・・・・・ごめん」ぼつりとつぶやく。


今更だけど、馬乗りになられてるのがわりと重い。

相手身長190ガタイ割と良し。

僕身長160ガタイ普通。

だからね。


来栖の体の体温が伝わってくる。

温かい。

彼女の肉を重力に押し付けられて、不思議な気持ちになった。

「どいてくんない?」

そういったけど。

その気持ちは別に、嫌とかいうのではない。

ただ、そろそろこの砂漠が見飽きただけだ。


「来栖、行こうか、大丈夫だよ

それより新聞に核戦争とか書いてたし

ここら辺が放射能に汚染されているかもしれない

早くあの町に戻ろう」

自分でびっくりするほどポジティブ。


トキヤを引き連れて、僕等はキョウヤ達のところに帰る。

彼らにこの砂漠のことを説明したらどんな表情するんだろう?

それを思うと楽しいような悲しいような複雑な気持ちになる。

やっとここまで来ました。

リョウトたちの戦いは後半戦に入っていきます。


世界が滅んでいることを知った来栖、まだリョウトと直接対峙していない八代

自分の存在に悩むリョウト、街や人を救おうとするキョウヤ。

彼らはいったいどうなっていくのでしょう?


それと、ここで「使いたかったけどやめた」アイデアをいくつか発表します。


キョウヤが実は女

リョウトがとてもやさしい少年

来栖がミンチになる

リョウトの変態行動の数々(18禁になっちゃいそうなものがいくつかあった)

トキヤが銃で戦う

ライムが銃で戦う



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