↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/47

15 リョウトの世界

シナリオは進みませんが大事なお話となっております

僕と、来栖と、桜木さん。

三人で、トキヤの車に戻り。

皆にわかったことを話した。

つまり、何らかの事情で食料が作れなくなってきていて。

クローンの人肉を食べていること。


桜木さんに聞いたのだが、クローンの肉を食べる理由は

「一人に犠牲になってもらうため」

つまり、いくらクローンでも、人だ。

だから、殺すのは少ない方がいい。


犠牲者は、皆同じ人間、つまり、人柱は一人

でいいということなんだろう。


目覚めてた春雪と、キョウヤは驚いて。

他の人は「そっか」みたいに、あまり驚いてなかった。


でも、キョウヤはたまたま持ってた肉の缶詰を捨てようとしたので

それは止めた。

キョウヤの取り乱しようはひどかった。

いや、それは僕が「あの墓場に行った日食べてた弁当人肉入ってたよ」

といったせいだが。

来栖もかなりショックを受けていた。


クローンとはいえ、人肉を食っていた可能性がある。

それは、なんだか禁忌である気がする。


桜木さんがもっと詳しく説明しようとしてくれてたけど。

もう、夜だから。

眠い。

聞いても頭にどうせ入らない。

僕は車内で一番最初に寝た。


重たい空気から早く逃げたかった。


寝る前にキョウヤが捨てようとした肉の缶詰を食べた。

学校の肉のみ弁当と味は似てた。

おいしいような、マズいような。

そんな変な味。

そして、夢に、僕の世界に落ちていく。


それは、逃げだ。

僕は、みんなの暗い気持ちから逃げて、

一人だけ夢の世界で幸せになろうとしてる。


気づけば、僕はどこかでゲロを吐いていた。

墓場だ。

ああ、そうだ。

女を殺したとこだ。

あれは気持ちよかった。

いい思い出?じゃあ何で吐いてる?


自分の中がぐちゃぐちゃで吐いてる。

「早く死ねよ」

僕は、気づけば僕に向かってそう言っていた。


また気づけば、僕は笑っていた。

大きく声をだして。

何処だったかここは?

ああそうか自分の家だ。

なんで?

やめろ、それ以上考えるな。

なんで?

僕は自分の両親の死体をナイフで傷つけていた。

それ自体がどうというワケではない。

じゃあ問題は、なんだ?


僕の中で、僕の感じたり思うことと

真逆のことが出てくる。

気持ちいいと思えば気持ち悪い。

楽しいと思えば楽しくない。

そんな風に感じている。


くそがと思って、床を殴りつけたら僕の手がいとも簡単に折れて

これは夢だと気づいた。

そっか、夢か、じゃあ、意味なんてないんだ。


気持ち悪い夢、早く起きなきゃ。

そうだ、洗面所で顔を洗おう。

頬をつねったけど効果はないから。

水の冷たさで起きよう。

あれ、冷たさって夢の中でも感じるっけ?


洗面所の鏡に映るその顔は僕に話しかけてきやがった。

「意味ないなんてありえない 夢の世界はお前が作ってるんだ

お前の世界なんだここは、現実のお前と地続きしてる」

その顔を僕は殴った、鏡が割れた。


気が付けば、僕は落ちていた。

落ちる。 どこへ?

自分の中へ。 なにそれ?

深層意識。 どういうこと?

頭の中で自分と会話しながら、僕は落ちていく。


落ちた先にはたくさんの水があった。

もちろん僕は、そこに落ちる

空から光が差し込む。

僕をやさしい光が照らす。


やめてくれ、僕はそんなこときっとされちゃいけない。

僕は、このまま暗くて深い、光の差し込まないところまで

落ちていかなきゃ。

その思いと反対の僕の思いがある。

だけど、それはきっとなくさなきゃいけない。


僕のそんな思いを意に介さず。

浮力は体を空へと向かわせる。


水面に近づくと、何かがどんどん近づいてくる。

それは、反射された僕。

にらみつける。

奴は、僕に話しかけてきた。

「無理すんなよ、バーカ」

夢の中とはいえ、水の中で話すのには違和感がある。


で、無理ってなんだよ?僕はそんなことしてないぞ?

「あはは、あのなあ、自覚が無いもんだってあるんだ馬鹿だな」

その、見下すような表情を僕はイラつかせる。

話もわけわかんないし。

ちょうど水面間際だ今。

僕は、反射した僕を手でかき消した。


声は止まない

現実じゃないんだったこれ

「ほら、文句があるとすぐ相手を消そうとする」

「それがテメーの本性だ」

僕は気づけば、どこかの屋上にいた。


来栖が、キョウヤが、春雪が、桜木さんが、トキヤが、ライムが、

僕を遠巻きに見つめていた。


冷たい目だった。

体中に返り血を浴びた僕を、見ていた。

それは、不気味なものを見る目だ。

気持ち悪いものを見る目だ。

そんな目で見ないでくれ、頼むからさ。


見ていたのは、僕の顔だ。

僕の笑うのを我慢してる顔だ。


気づけば、僕のすぐそばで、僕が血まみれで倒れていた。

これは僕だけど僕じゃないんだ。

僕が殺したから、心臓が抜き取られているんだ。

だって、僕がそれを握りしめているんだ。


それを思うと何かがこみ上げてきた。

おさえようとしたのか、誰かのせいで、押さえつけられていたのか。

そんな感情が。


倒れている僕は僕に行った。

「ほら、いつも通りにしろよ」

いつの間にか、腹の底から僕は笑いそうになった。


肩が、震える。ぷるぷると。

笑いをこらえているから。


そんな僕は、ここにきっといちゃいけない。

僕は走った。

金網を登って、飛んだ。

ビルの屋上から、地面に向かって。


ぐんぐん近づく地面。

これでいいんだと自分でも思う。

僕は、目をつむる。


これで、いい。


そして、落下は終わった。

それと同時に、目覚めた。

僕は、車の座席で寝ていたが

その座席から転げ落ちたようだ。

痛かった。

複数人いるから、寝るスペースも狭いんだ。


もっと広ければ落ちなかった。


他の寝ている皆の顔を見る。

トキヤや桜木さんはぐっすり寝てるけど

来栖は僕が転げ落ちた音で起きたようだ。


お互いに「さすがにこの車でも7人共同生活は狭いね」

と苦笑しあう。

そのやり取りの温かさに、ここが現実なのだとホッとする。

そして、ほかのみんなを見た。

なんだか全体的に疲れた寝顔。

でも、夢の中のような目つきで僕を見ていない。


そうだよ、あれは夢なんだ。気にするな僕。

僕の中の変な僕はいない。



突然頭の中に声が響いた_だからさ、現実と夢は地続きなんだって_

_夢から覚めようと、僕はいつでもお前とともにある、これからも_


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。