月街14話 真実は明かされるけど、もっと詳しく説明してくれ
今回は、一つの謎が明かされますが、明かしたらまた謎が増えた気がします
春雪をこっそり追って、僕たちは進んでいた。
しかし、狭い道に入り込むので車が使えない。
でも車を置いていくわけにも・・・
ということで、ライムが笑いながら「私、車、守っとく」
というので任せた。
彼女がちゃんと車守ってくれるか少し心配だけど。
そして、物陰に身を隠しながら進んでいくと。
変な建物についた。
縦に長い長方形みたいなカンジの建物で。
白色をメインの配色に持ってきてた。
春雪を抱えた装甲兵は、その建物に入っていこうとしていた。
そろそろいいかと思い、みんなの目を見てコンタクトする。
皆うなずいた。
装甲兵をそろそろ倒すべき。
僕は、集中して超能力を使うか迷う。
装甲兵のあの装甲は、サイコキネシスで壊せるほど僕の力は強いか?
わからない。
本当にわからない
僕もこの力をいまだによくわかってないんだから。
だから、僕は鉄パイプにサイコキネシスを使う。
集中し、やり投げのように装甲兵に向かって投げたそれを
加速させた。
「よし」そう思わずつぶやくほどうまくいった。
その長物は、ぐんぐん装甲兵に吸い込まれるように飛ぶ。
加速しながら。
「うお」力が一瞬抜けた。
これの感覚としては何かを押してたら、その押してるものが急に
無くなった・・・みたいな。
どうやら、あまり距離があるものに力は使えないらしい。
(僕が力をうまく使えてないだけかもしれないが)
でも、加速自体はなくなってない。
鉄パイプは装甲兵の頭に直撃し。
そのヘルメットを弾き飛ばした。
あれはヘルメットの中までダメージが
あるほどの振動だろう。
僕は初めて装甲兵に勝った。
倒れた装甲兵を囲んで、僕たちはいぶかしむ。
「普通のおじさんだな」
来栖が装甲兵の頭を見て、事実を言った。
ちなみにおじさんにとどめを刺そうとする僕を止めながらのことだ。
「このヘルメット、いい素材だな」
桜木さんが事実を言った。
「この人死んでないよな?」
キョウヤが心配をした。
トキヤは特に何も言わなかった。
とにかく、いったんそこにぶっ倒れてる春雪をどうしようか悩む。
安全なとこで介抱しろというワケだが、この謎の建物も今すぐ調べたい。
装甲兵が、珍しく、人を殺さず、一人で、春雪を連れ込もうとしたここ。
確実に何かあるんだろう。
選択肢はいくつかある。
1.春雪を助ける人と、この建物を調査する人でわかれる
2.いったん引き返し春雪を助け、みんなでこの建物の調査に来る
3.春雪はここに放っておく
うん、とりあえず3つはある。
皆にこの選択肢の中でどれがいいか?
そう聞くと。
来栖は2、キョウヤも2、桜木1、トキヤ1、僕の中の何か3
という答えをした。
ちなみに、僕は1だ。
多数決で1に決まった。
なので、春雪を車に運び介抱する人を決めた。
トキヤとキョウヤになった。
二人とも自分で志願した。
キョウヤはこういう理由で志願。
「助けるべきだろ」
トキヤの理由はこう。
「僕がリョウト君と一緒に行っても特にできることないしね」
ちなみに、来栖さんはどうするか迷っていたが、キョウヤになら任せて大丈夫だろと
思って志願しなかったらしい。
というわけで、桜木さんと来栖と僕で探索することになったが。
これ、両手に花というやつか。
来栖はともかくとして桜木さんを女性として意識できないのはなんでだろう
おかしいね。
まあ、僕らは、この建物の入り口を探した。
べつに真正面のから入ってもいいが。
他の入り口から入ったほうがいい。
なぜなら、僕らは命を狙われている。
できるだけ目立たないよう行動する必要がある。
入り口は監視カメラがあるからいやだ。
なんて思っていた。
そして、裏手に回りドアを発見。
昔懐かしのドアノブつきドア。
鍵を能力で壊して、開けた。
来栖に「不法侵入だな」
と文句を言われた。
うるさいな。
でも、これはたしかに不法侵入だ。
何も収穫なければ、僕ただの侵入者・・・
いや、これは正統行為だ。
いま、僕は命をなぜ狙われるのかを調べて、
危険を回避しようとしてる。
そう言い聞かせ、建物の中に入る
建物の中は結構普通だった。
白っぽい壁、白っぽい廊下。
白が多すぎていらつく。
人がいなくて、堂々と不法侵入したのに
歩き回れるのは良いけど。
適当に移動してたら、桜木さんが
3階の廊下で
立ち入り禁止のドアに勝手に入ってた。
来栖は、桜木さんの後に続きながら
僕にもついてくるように促す。
それに従いながら、感じていた。
僕の本能が。
嫌な気配を。
ドアの中は、普通の部屋で、会社とかってこんな感じかって思う。
机がいくつもあって、そのいくつもの上にパソコンがある。
「なるほど、なるほど」
桜木さんはそう言って、適当に一つパソコンの電源を付けた。
「神浦、来栖、お前らは別のところを探してくれ」
微妙にイラっとする声で、桜木さんは指示を出した。
でも、従わない理由はない。
僕は来栖とともにこの部屋の探索をする。
来栖は「何も見つからなかったら私たちただのバカだな」
ウン、さっき僕も思った。
部屋の、さっき入ってきたのとは別のドアを開ける。
その中には。
それを見て、来栖は訝しむ
また、別の何もない部屋があって。
そこのまた別のドア横にデスクがあって。
そのデスクの上に消毒液があった。
そして、その横にまたドアがあった。
壁には「手を消毒してから入りなさい」
なんて書いている紙が貼りつけられていた。
来栖は、素直に消毒した。
僕もそれにならう。
菌は平気で殺すクセに、人殺しは躊躇するのか。
と、頭の中で突如響いた。
うるさい、人間はそういうもんだろが。
響く声を無視して、新しく目に入った
ドアを開ける。
その先には、
よくある研究所的なものがあった。
ほら、謎のデカい円柱のガラスのものがあって。
それの中が緑色の液体で満たされてるようなもの。
そういう大きいのが。一つ。
部屋の中心にあった。
僕は、それの中に何か変なものが見えた。
「なあ、リョウト、あれ肉じゃないか?」
来栖がそう言って気づく。
黒く、ちぎれたような形をしているそれはたしかに肉である。
が、何か動いてるし。
腐ってるっぽいけどね。
その肉は、最後の雄たけびを上げるように
二つに分かれようとして、朽ち果てた。
辺りを見回したが、この周りにこのデカい円柱以外、気になるものはなかった。
「えっと・・・来栖、この部屋にはなにもないね戻ろう」
と言って、なぜ手を消毒しないといけなかったのか?
と疑問がわいた。
なぜだ?
なぜなんだ?
「おい、神浦」
後ろから桜木さんに声をかけられた。
「今すぐ来い、だいたいパソコン調べ終わったぞ」
とにかく、ここでどうこうしてても何も変わらない。
来栖とともに、僕は桜木さんについて行く。
そして、パソコンの記録を見て。
「「なにこれ?」」
来栖と僕の声が重なる。
専門用語が多すぎてよくわからない記録だ。
桜木さんは冷静に語っていく。
パソコンの画面に、DNAらしきものの写真や
意味不明な文章が、づらづら並んでいた。
「まず、この資料、クローン技術の資料
まあ、DNAの複製だな、でも、脳みそを複製しないようにしてる
・・・失敗してるけど」
次に、桜木さんは、自分のスマホを取り出し。
野菜の物価が急激に高くなっているグラフを見せた。
来栖とともに僕は「それ何か関係が?と思い」
桜木さんは、パソコンに別の資料を表示した。
これは普通に読めた。
けど、意味が結局わからない。
なんか、プリオンとかいう言葉とか
読み方はわかるけど。意味が、解らない。
あ、いや。確かプリオンはタンパク質からなるなんかで
人食に関して何かあったはずだ。なんだっけ。
それに、なぜか遺体を食べるとかいう葬儀について書かれてた。
病気のことも書かれてた。
桜木さんが言った。
「鈍いな、これは人肉を食べることの影響だ
カニバリズムは病気を引き起こすこともある、らしい」
らしい、と言って断定はしないのが彼女っぽい。
でも、クローン、カニバリズム、野菜の値上がり。
つながった、気がする。
そして、桜木さんが細かく解説しようとした。
その時。
僕らが最初に入ってきたドアが勢いよく開いた。
来栖は僕らの前に飛び出て構える。
僕もあわてて、鉄パイプを構える。
ドアを開けて、青年が入ってきた。
彼を僕は知っている。
大道寺 この町の管理人だ。
彼は、長いモップを僕らに向け構え。
「それ以上、知るべきでない」
と威圧してくる。すごい迫力だが、いったいなぜモップ?
桜木さんは、大道寺に向けて、全力で威圧しながら叫んだ。
「この記録!野菜が作れなくなって、食料がなくなったから
食料の代替品をクローンで増やした人肉にしようって記録だろ!」
本気なのに、雑魚っぽいしゃべり方、僕は彼女の一言一言で笑いそうになるが
こらえた。
大道寺は、文句を言った。
「そんなことないさ、クローン技術があるなら家畜でも作ればいい
それに、野菜だってクローンは作れる、わざわざ人を食べる必要はない」
桜木さんは言った。
「作ることに失敗してるくせになに言ってんだ」
大道寺は、おお、よくあの無茶苦茶な資料を理解できたねと
褒めた。
そんなこと書いてあったんだ、後で資料の内容
細かく聞こうか。
と思いながら、僕は気づいてしまった。
あの日、墓場の女と会った日。
「なぜ肉のみ弁当なんてあった?あんなクソ商品が
何で売り出されてた?」
あ、声に出てた。
桜木さんがその疑問に答えた。
「・・・人肉を扱って問題ないようにできたかのチェックだろ?カニバリズムは病気を引き起こす可能性もあるからな」
大道寺は、語る。
なんだか、それは、将来の悩みとかを誰かに語るような
そんな口調だった。
「人肉!あれが人肉か!そりゃ傑作だ!ホントはもっと最悪なものだって察してるのだろう?!」
「……だが人肉としよう、クローン生成を繰り返し続けて生まれた悍ましい化物の事を思い出したくはない」
来栖は問いただす
「なあ、春雪をなぜ連れてこようとした?」
大道寺は、モップを振り上げ。
答えながら来栖に向け振った。
「彼女は食料として優秀だ」
来栖は簡単に、体を右に滑らせて避ける。
僕は来栖の戦いをしばらく静観する。
来栖強いから多分大丈夫だろうし。
「ふざけるな!」来栖は叫ぶ、大道寺の攻撃を避けながら。
「知人がすくない! だから行方不明になってもそこまで問題にならない!
肉が柔らかく食いやすい! DNAもクローンに最適! 」
大道寺は親切に説明してくれる。
「アイツあんなに説明してくれるとか性格いいのか?」
桜木さんも同じことを思っているようだった。
あ、桜木さん、いざという時のために、右手にスタンガンを持っている。
大道寺のモップが、突然発光した。
そして、それが振り上げられた瞬間、光は止み。
それは不気味な黒い剣に姿を変えていた。
「うらあ!」
大道寺が、思いっきり来栖に向けそれを振り落とすが。
来栖はいなかった。
大道寺はあたりを見回す。
僕もどこに行ったのか見回して探し。
大道寺の真上の天井に彼女の姿を見た。
彼女は、勢いよく跳躍し体をうまく回して、天井に足を向け、そして天井に向かってかがんでいた。
あまりの勢いに、天井に着いても全く勢いが落ちてない。
天井に張り付いているように彼女は見えた。
僕は、大道寺が、上を向きそうだったので、
鉄パイプで殴りかかって気をそらす。
しかし、簡単に奴の剣は鉄パイプを受け止め。
僕の攻撃をいなした。
そして、僕は腹を蹴り飛ばされてあまりの痛みにその場で倒れた。
一瞬呼吸ができなくなった。しかし、とにかく戦いの場では動かないと
と思うが、最近全然休んでないツケが今来やがった。
僕はその場に仰向けに倒れた。
大道寺は「あまり、知らないほうがいいんだ」といって。
僕の腹に剣を突き刺そうとしていた。
頼む、来栖。
気はそらした、こいつは、今僕に集中してる。
隙はデカいはずだ。
僕に剣を大道寺が突き刺そうとした瞬間。
大きな音が響く。
天井から、床の大道寺に向けて「跳んだ」
来栖が、こいつの後頭部を勢いを生かし
殴りつける、やった。勝った!
と思うが、こいつは一切ダメージを受けていやがらない。
どういうことだよ!?
そんな思いを見透かしたように、冷たく大道寺は僕に言葉を吐く。
「君は、何も知らない、力のことも、世界のことも
でも、それでいい」
そして僕に向けて、剣を振り下ろした。
その瞬間、桜木さんが細腕で僕の体を引いてくれなければ。
僕の体は消し飛んでただろう。
その剣は、さっきまで僕がいたとこの床にぽっかりと大穴を開けていた。
桜木さんが、スタンガンを電源は入れたまま大道寺に投げつける。
電撃が当たっているが、ダメージは入っていない。
僕は、どうするか逡巡した。やるべきことはわかっているが
変なプライドがやるべきことをする思いをを押し込めようとする。
来栖が、大道寺の向こうから、僕を見ていた。
その目はとても純粋で。
僕を決心させるには十分だった。
僕は叫んだ。
「逃げよう!」
回復してきた体に鞭打って、僕は。
走る。
桜木さんとともに、大道寺の横を抜けて
出口のドアへ。
大道寺は何かを僕に言おうとしてたけど、無視する。
来栖は、僕らがこの部屋の外に逃げ出せると判断したのか
出てすぐの廊下でまっていた。
「右方向に行って、一つ目の階段を下りて、今度は・・・・・・!」
桜木さんがそんな風に、道を叫ぶ。彼女は完璧に外への道を覚えているらしい。
それに僕と来栖は従う。
しばらく大道寺は僕たちを追ってきたけど
すぐに、彼の姿は見えなくなった。
追いかけっこが嫌だったんだろうか?
でも、後ろから大道寺がついて来ているような気がして。
僕たちは、建物の外に出るまで走った。
そして、外に出た瞬間、後ろを振り向いたけど。
大道寺はついて来ていなかった。
仲間を見る。
ゼエゼエと息を切らす桜木さん
そこそこ疲れてる僕
汗一つかいてない来栖。
三者三様である。
そんなこと言う気力は今の僕にないし
ほかの二人も何も言わない。
頭の中で、大道寺の言葉一つ一つを僕は反復した。
そういや、説明なかったけど、来栖、リョウト、キョウヤ、桜木、ライムは同じ学校の生徒です。
そして、トキヤは便利屋。春雪は中学の生徒。
この設定が物語に深くかかわることは無いので後書きに書いておく。




