↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/20

7 Others 魔物商

「おい! あの卵はどこだ! 探せ!」

「「はい!」」


 くそっ、いつどこに紛れ込んだんだ!

 誰だよ運搬係は! 一世一代の大取引だってのに!


「ッチ… せっかくエルドリュートから盗ってきたってのに…」


 この国の貴族が白金貨での取引をしてくれるってのに!

 相手は侯爵だぞ!? 粗相があったら消されるに決まっている!


 前金で白金貨100枚、成功報酬で900枚だぞ!?


「あの聖獣……氷輪蛇の卵をなんとしてでも見つけ出せ! 見つからなければ命はないと思え!」


 侯爵はきっとそれを使って戦争を起こすつもりだ。

 今頃エルドリュート聖王国では大混乱のはず。そこに卵をアルディシアが盗んだと言えば簡単に戦争が起こる。


 …海をわたってくることになる上に、国を挟むから大戦になることは目に見えている。

 その混乱に乗じて新しい国家を侯爵は生み出そうとしているのだ。


 俺たちは重鎮になることを保証されているんだ。絶対に失敗はありえない。

 ッチ… 朝に報告が入ってから、屋台を閉じてここまで来たってのに…


 俺は表では卵屋をやっている。魔物商をやっているなんて国にバレたら終いだから、偽造用だ。

 不審な収入があったとしても大口の取引先が生まれたって言えば隠せるからな。

 あとは裏の客用の入口でもある。


 …早く見つけ出さねぇと… 俺の首が飛んじまう。


 うちでは竜から鼠まで。幅広く魔物の卵を扱う大手の裏業者なんだ。

 せっかくここまで成長させたんだ。わざわざ王都でバレないようにこの街まで来た。用意周到に着々と大きくしていったってのにこの一つのミスで全てが崩れる!


「おい! ここに確か前においていたはずだ! 誰か触ったのか!?」


 表用の卵の貯蔵箱の近くに俺は置いていた。

 わかりやすい場所な上に、屋台を閉めたあとにすぐに確認できるからだ。


 …箱には入れていなかったが、それ用の箱が今日届く予定だった。

 ……卵を磨いている間に箱を間違って蹴飛ばして破壊した、阿呆の部下が原因でな。


 周りの部下には絶対にさわるなと言っておいたはずだ。


 …………嫌な予想が頭をよぎる。

 ……いや、まだ確証はない。予想なんだ。真実とは限らない。


「……あの、申し上げにくいのですが…」


ビクンッ


「ヒッ…!?」


 っと… いけないいけない。変な妄想をしていたせいでびっくりしてしまった。

 …いや、違う。違うはずなんだ。


「……その卵、鶏卵だと思いそれ用の箱に入れてしまいました…」

「何やっているんだお前は!!!!!」

「ヒッ…!」


 ックソ! 嫌な予感が的中しまったじゃねぇか!!


「いや、全員で今残っている鶏卵の箱を探していけ! 少しでもサイズや重さ、形状が違ったらここに集めろ!!」


 フーッ、フーッ… まだ、まだだ。見つかる可能性はある。

 屋台にまだ残してある卵も確認しないと…


 少し落ち着いてきたところに、さっき進言してきた部下がおどおどと口を開く。


「……それを、今日販売用の箱に…」

「――――………‥‥はぁ…?????」


 あぁ…? え…? はぁ…?

 …卵は一番上から順番に販売するんだぞ…?


 最後に置いたってことは…上の方だよな…?


「クソガァアアァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

「ひうっ?!」


 火に油を注ぐんじゃねぇよ!!!!!!

 あはっ! …あぁ…?、俺死ぬんだなあ…


 もういっそ、前金の白金貨100枚持ち逃げしようかな…?

 それで一生を暮らしていこうか…


 あぁ… 何だこのクソみたいな人生……

 たった一人にすべてをぶち壊される…


 俺の人生ってなんのためだったんだよ!

 ックソ… もっと厳重に保管していれば…


 なんでこうも重要なときにばっかり杜撰になるんだよ…!


「何としてでも購入したやつを見つけ出せ! 見つけたやつには白金貨10枚くれてやる!」


 ガヤガヤと、部下たちが騒ぎ始める。

 早く動けよ! 無能が!


「そいつが卵を目玉焼きなんかにしちまう前にとっとと探しやがれ! ボンクラどもが!」

「「「はっ、はい!!」」」


 ッチ、この場で首をはねていないことに感謝しやがれ!


「今日卵を買っていった奴らのリストアップを始めるか…」


 本っ当に面倒なことになりやがった…

 クソが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。