14 固有魔法
「なにこれ…?」
目の前にはキューブがある。これはなんなのかしら…?
レティはなんだか『万象縫合』とか呟いていたけれど…
頭にふと思い浮かんだ言葉を口にしたら出てきた。…体に巡っていた魔力がすこし減ったような感覚…
……これが魔法なのかしら…?
詠唱もなく使えた… 魔導書とはやはり違うものなのかしら…?
空想造形… 空想を形造る…
なんとなく、球をイメージしてみる。
「わっ!」
キューブが球の形になったわ! …ダジャレじゃないわよ!
じゃあ、細長い円柱にすればどうなのかしら。
ニュッと球が形を変え、細長いきれいな円柱の棒になった。ちょっとだけ魔力を消費した感覚があるわね。
「…これって触れるのかしら?」
手を伸ばし、棒を掴み取ってみる。すると急に重力を思い出したかのように重さを持った。
そして、先程までじわじわ消費されていた魔力が止まった。
「…あら、案外軽いのね。」
棒をブンブンと軽く振ってみる。…なんだか、なぜかかなり手に馴染むわね。
…あぁ、レティもなにか進展があったみたいね。私は棒を握りながらもレティに話しかける。
「何かあった?」
「……えぇ。使いようによっては化ける固有魔法ですね…」
「固有魔法?」
なんだか聞いたことがあるような無いような…
「高位の魔道士が持つ魔法のことですね。…正確には魔核を保有している人が手に入れるものだったようですが。」
「ふーん…」
じゃあ魔核って頑張れば自力でも手に入れれるんだ。
……人が数十年かけて手に入れるものをキノコ食べただけで手に入れれたんだけど……?
「じゃあ、レティの固有魔法ってどんなの?」
「万象縫合です。魔力で透明な糸を作り物質を縫い合わすことができるようですね。糸は私の思うように動いてくれます。」
「えぇ、なにそれ強いじゃない!」
「…まだ、布やそこらに落ちていた石同士を縫い合わせただけなので、検証はまだまだ必要ですが…」
「石縫えたの!?」
万象の名の通り何でも縫えるのね…
……石、割れたりしないのかしら…? …あ、あそこにレティの餌食になったと思われる不自然な石がある…
「しかし、石のほうがかなり魔力を消費する感覚がありました。」
「硬いもののほうが魔力を消費するのかしら?」
「わかりません。さらに、強度や伸縮性も分かっていないので要検証ですが。」
「ふーん。でも、レティは裁縫得意だったから丁度いいんじゃないの?」
「そうですね。そのうちエルセ様の服でも作ってみましょうか。」
「いいわね、それ!」
こういった服もいいけれど、自分の感性のままに服を設計して作ってもらうのとかもいいわね!
…そのうち、透明な魔力の糸の布で作った服を悪ふざけで着せようとしてくる未来が見えるわ…
「そちらはどうでしたか?」
「空想造形よ。」
…これも何ができるのか分かっていな……
パァッ
「あらっ?」
手に握っていた棒が急に光の粒子となって消えていった。…時間制限付きなのね…
「…うーん、言うより見せたほうが早いわね。『空想造形』」
また、眼の前にキューブが浮かんできたので何かの形をイメージする。
…レティ…レティといえば……
キューブが形を変え、私の魔力を吸う。…少し形が前回より複雑だからかしら、前回より魔力が吸われた感覚がある。
出来上がったのは……
「…ナイフ、ですか?」
「……えぇ。レティと言えばこれしか思いつかなくて…」
「確かに、よく使っていますからね。」
私は少し申し訳なさそうにしながらもナイフを手に取り、レティに手渡す。
「ほう、これは良い出来ですが、ここに少し粗がありますね。」
レティはナイフの刃先を指さす。
「ここが丸くなっていると殺傷能力が下がってしまいますよ。少し刃も分厚いですね。」
「…何もそこまで見なくても……まぁ、これが私の魔法ね。想像したものを魔力で作れるわ。」
「なかなかに便利ですね…」
「時間制限もあるけれどね…」
まぁ、デメリットがなければ面白みがないものね。不完全さは個性と言うのよ。
…致命的な不完全は欠陥というけれどね。
「…この魔核茸、なかなかに危険物ですね。」
「そうかしら? ……そうね。魔法が簡単に使えるようになってしまうものね。戦争の引き金になってもおかしくはないわ。」
……最悪の場合、人一人が軍隊一つに匹敵する力を、簡単に手に入れる可能性もあるからね。
それをあと3つ所持している私たちは……
……考えないようにするべきね。
「では、検証しながらも美味しいお肉を食べていきましょうか。」
「そうね。魔力茸もまだまだ残っているし焼きましょうか。」
…長時間保有しているのは流石に怖いから、魔力茸でも消費しておきましょうか。
すみません遅れました…




