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断罪されたくないので遊び人の『日替り彼女』になります!  作者: あらいサラ


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4.やっと見つけた!悪役令嬢!!

古株だからか、あるいは昔彼が言っていた『友達みたいな関係』だからなのか、ジュリアン様はこうしてたびたびわたくしを誘ってくる。


「……わたくしだけでなく、他の彼女もお誘いになればよろしいのに…」


噛まれた指先を反対の手でそっと撫でながら、胸の奥がキュッと痒くなるような感覚に囚われる。

ただの彼女の一人に過ぎないはずなのに、まるで特別な存在として扱われているようで、どうにも収まりが悪い。


「…あのね、マデリーン。僕は――」

「やっと見つけた!悪役令嬢!!」


真剣な瞳で何かを伝えようとしたジュリアン様の言葉に、聞き覚えの無い声が被さった。


そちらに顔を向けると、黒髪ボブヘアーの女子生徒が大股でこちらに歩いてきていた。――ゲームヒロインだ。

眉を釣り上げ、こちらを見据える目は怒りに満ちている。


現実世界では関わった事はないのに何の用だろうか。それに『悪役令嬢』とは…。


一抹の不安を抱えたままズンズン近づいてくるヒロインを見ていると、わたくしの目の前に仁王立ちした彼女は、鼻息荒く鋭い指を突きつけてきた。


「マデリーン・クラウゼル!!あんたがエルネストの婚約者じゃないってどういう事よ!」

「えっ…」

「新しい婚約者はこっちに全然興味ないし、虐めてもこないし、イベントが全然起こらないのよ!!」

「あの、少し落ち着いて…」

「ふざけないで!あんたが逃げたせいよ!どうしてくれんのよ!?」


話を聞く限り、このヒロインもゲームの知識があるようだ。それでエルネスト様を攻略しようとしたのだろう。


しかし『虐めてくる婚約者』がいなければ、『可哀想なヒロイン』も『それを助ける王子様』も存在しない。


ゲームのようにうまくいかない状況に腹を立て、全てを狂わせた原因である悪役令嬢に文句を言いに来たようだ。


――だが、そんな文句を言われてもお門違いだ。断罪されると分かっていて、そちらの都合に合わせてやる筋合いなどない。


それに今の状況が見えていないのだろうか。

ヒロインは特待生の平民だ。初対面の侯爵令嬢を『悪役令嬢』呼ばわりして悪態をつく、それがどれほど不味いことなのか――頭に血が上り、興奮状態の彼女は理解出来ていないのだろう。


はぁと大きく溜息を吐いて、貴族令嬢らしく優雅に髪をかき上げる。


「――何をおっしゃっているか分かりませんが、わたくしと第一王子殿下の間に、婚約の話が出たことはございませんわよ」

「はぁ!?断罪が嫌であんたが握りつぶしたんでしょ、このっ――」

「マデリーン、この女は知り合い?」

「…えっ、『遊び人のジュリアン』!?」


わたくしを庇うように前に踏み出し、冷ややかな視線でヒロインを見下ろすジュリアン様。


今頃になってようやく彼の存在に気づいたのか、「初対面ですわ」と返すわたくしの言葉に眉を顰める彼に向かって、ヒロインの目の奥にギラリと光が宿った。


「…誰か知らないけど、初対面のクラウゼル侯爵令嬢にこの態度は…」

「初対面じゃありません!私、ずっとマデリーン様に虐められてるんですぅ」


先ほどの地を這うような低い声から一転、一瞬にして両手を頬に当て、鼻にかかった高い声に切り替わる彼女の様子に、わたくしは思わずパチクリと目を丸くして唖然とする。


まるで舞台役者のよう。すごく器用ですのね…。


変な事に感心しているわたくしをよそに、二人は会話を続ける。


「…マデリーンが虐め?どんな?」

「えっと、すれ違いざまに恐ろしい顔で睨んできたり、肩を強く押されたり、ヒドい悪口を言われたり…。

 きっと私の事が嫌いなんだと思います…。だって私、平民だから…」

 

ヒドイン登場!!

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