表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

M〇四 母の手紙がオーバーキル!毒親ルートにSAYグッバイ!

本日も三話更新です。

よろしくお願いします(^ω^)

(あれっ。そーいや、設定集とかで読んだ話の流れと、なんか、違うな?)


叔母である美摩に抱き締められる感触を、思う存分味わいながら、

真理亜まりあは、前世の原作知識のことを、うっすらと思い浮かべる。

確か、真理亜(自分)と美摩は、出会って五秒で即虐待の仲ではなかったか、と。


その設定を思い出しただけでも、この変態、もとい、この真理亜にしてみれば、

たいしたものだったかもしれない。

が、それでも、現状の流れは、もう、幼女の言動でどうこうできるのものでは

なくなっていた。


(あっ。この手紙を渡してないからか?)


真理亜としての記憶にあった、亡き母からの、叔母への美摩に宛てた手紙のことを

思い出し、もぞもぞと、喪服のポケットをまさぐる。

はたして、そのポケットには、白い封筒が入れられていた。


真理亜は、抱き締められるその胸の中で、声を出す。


(美摩姐さん。うちのオカンから、姐さん宛ての手紙があるんだけど)


「美摩お姉様。お母様から、お姉様へのお手紙があります」


あれっ?、と、自分で自分が言った言葉に驚く真理亜。

おかしいな、と思いつつも、そのまま言葉を続けてみる。


(うちのオカンがさー、自分が死んだ時、美摩姐さんが来てくれるように

してあるから、その時、この手紙を渡すよう、言われてたんですわー)


「お母様は、もし自分が亡くなった時、美摩お姉様が来てくださるはずだから、

その時、この手紙を渡すように、と言われていました」


んん!?、と、言おうとした言葉と、口に出た言葉との差異に、再び驚く真理亜。

しかし、真理亜には、この現象に、心当たりがあった。


優●変換(エレ●ント・チート)〉(※出典:上●道郎著『悪役令嬢転生お●さん』)である。

原作世界のことわり、世界律の影響により、転生者がどのような言動を取ろうとも、

高貴な令嬢にふさわしい言葉遣いや、所作へと自動的に変換され、

実行される現象、転生者に付与される常時発動パッシブスキルとも言うべきものであった。


なお、この真理亜の〈優●変換(エレ●ント・チート)〉による言葉遣いによって、美摩はまた、

真理亜に感心していたりする。

実母をうしなったばかりだというのに、なんとしっかりとした話し方か、と。


美摩は、渡された封筒から手紙を取りだし、目を通す。



【                                   】

【愛しい美摩へ                             】

【                                   】

【この手紙を貴方が読む時、私はこの世にいないでしょう。         】

【                                   】

【まずは貴方のそばから離れたことを謝ります。本当にごめんなさい。    】

【貴方のことを、この世の誰よりも愛していました。            】

【私は、叶うならば、一生、貴方と添い遂げたかった。           】

【けれど、あの老人から純潔を奪われ、おぞましい儀式の末に、私が望まぬ子を】

【身籠もってしまったことを知った時。私は、貴方のそばにいる資格がないと 】

【思いこみ、真渡園の家から、貴方から、逃げてしまいました。       】

【どうか、この愚かな姉を、許してください。               】

【                                   】

【真渡園の家を出て、身分を偽り、在野の法師として禍威魔を狩ることで   】

【生計を立てていましたが、一ヶ月前、強大な魔を相手にした時、私は恐ろしい】

【呪詛をこの身に受けてしまいました。おそらく、真渡園の家に戻ったとしても】

【解呪は不可能でしょう。                        】

【それでも、最期に、ひと目、美摩、愛しい貴方に会いたい。        】

【そう、切に願ったけれど、呪詛によって、醜く弱り果てた私の姿を、貴方に 】

【見られるのが怖くて、真渡園の家に戻ることができませんでした。     】

【臆病で、卑怯な、私を許して。                     】

【                                   】

【貴方に会えず逝くことの他に、心残りなのが、娘の真理亜のことです。   】

【望んで生んだ子ではないけれど。貴方の次に、愛しいと思えた我が子。   】

【娘の真理亜には、破格の魔力が、その身に宿っています。         】

【私の見立てでは真渡園の歴史上でも、類を見ないほど、いえ、日本の歴史上、】

【最高の魔力を持つようになる可能性がある、と確信しています。      】

【この娘を、美摩、貴方に託します。                   】

【貴方を捨てたような私が、今更、都合のいいことをお願いしているのは   】

【わかっていますが、他に託せる者がおりません。             】

【貴方を愛した姉の、最後の頼みです。                  】

【どうか、真理亜を守り、育ててくださいますよう。            】

【                                   】

【                                   】

【                                   】

【美摩。この命が果てたとしても、私はずっと、貴方を愛し続けます。    】

【                                   】

【                                   】

【                                   】

【                          永遠の愛と共に  】

【                                   】

【                             真渡園真魅 】

【                                   】




「あ、ああぁ……」


手紙を読み終えた美摩は、口から嗚咽おえつをもらし、その目から、

涙をあふれさせた。

そして、顔をくしゃくしゃにして泣きながら、再び、真理亜を抱き締める。


(あるぇーっ!? どうしたんスか姐さん!? うちのオカン、

なんて書いてたん!?)


「だ、大丈夫ですかお姉様? お母様は、なんと書かれていたのですか?」


号泣しながら、またも強く抱き締めてくる美摩に、真理亜は狼狽ろうばいし、

気遣きづかうように、そうたずねた。

根本的には手のつけられない変態だが、基本的には、女性に優しい紳士、

変態紳士な魂を持っているのが、今世の真理亜である。


「────ありがとう」


「え?」


真魅(まみ)姉様(ねえさま)……あなたのお母様の、最後の言葉を、私に届けてくれて、

ありがとう─────」


「………」


原作同様の、虐待の序章である罵詈雑言ばりぞうごんを期待していた真理亜は、

感謝の言葉を受け、押し黙るしかなかった。


『話が違うじゃないですか、原作スタッフ(父さん)! 答えてよ原作スタッフ(父さん)!』

と、真理亜は、心の中で叫ばざるをえない。


だが、真理亜が原作スタッフに文句を言うのは、筋違いなことであった。


原作設定ではこの手紙は、美摩に読まれることなく、

破り捨てられてしまうはずだったのである。

原作の美摩だと、無様に泣きわめく真理亜に逆上し、応接室にあるテーブルから

なにから壊してしまい、真理亜の着ている服をズタズタに引き裂いてしまうほどの

折檻せっかんをキめてしまうからだった。


一方、こちらの世界の美摩は、これまでの、姉に対する自分の恩讐おんしゅうが、すべて

思い違いだったと理解し、感極まっていたりする。


捨てられた、と思っていた。

呪われた〈退魔法師たいまほうし〉の家、真渡園(まどぞの)()の宿命を、押しつけられたと思っていた。


けれど、違った。

心から愛していた女性、姉の真魅もまた、ずっと、

自分を愛し続けてくれていたのだ。


手紙によってそう悟った美摩は、涙を流しながら、真理亜を、抱き締め続ける。

姉の真魅に、そうしたかったように、強く、優しく。


………原作の流れが大きく変わり出したところに、破り捨てられるはずの手紙を

渡してしまったことで、この世界の美摩の性格もまた、完全に変化してしまう。

神経質で短気な、暴力的虐待毒親になるはずだったその心は、愛していた姉の

最後の言葉により、浄化されたのだ。


亡き母の指示どおりとはいえ、手紙を渡す、という、自分の余計な行動のせいで、

期待の虐待(ぬし)が、慈しみ深い義母に変わりつつあるとは、まったく

思いも寄らぬ真理亜である。

いよいよ初手から、自分の願望とは真逆の方向へと進んでいる真理亜は、

美摩から抱き締められながら、軽く途方とほうれるしかなかった。


─────わけがわからないよ、と。

児童虐待ダメ!絶対!

世の子供がみな幸せに育ちますように……( ˘ω˘ ) 人


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ