M二八 はたして祭司長の鑑定やいかに!衝撃の鑑定結果は、このあとすぐ!(CV:銀河●丈)
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な●でも鑑定団、最近しっかり見てないなあ……。
銀●万丈さんのナレーション聴くと安心を感じますよね~♪
(“待”ってたぜェ! この“瞬間”をよォ!)
真理亜は、声にこそ出さないが、心の中で、そんな雄叫びを上げていた。
この〈聖誕祭〉の日、十二月二十五日は、真渡園真理亜の誕生日であり、
真理亜はこの年、六歳となる。
〈聖誕祭〉の日の行事、子供の魔力属性を鑑定する儀式。
この鑑定儀式で、真理亜が悪役令嬢化する原因、そのひとつとなるイベントが、
起こるのだ。
伝承の〈聖女〉と、真理亜は、誕生日を同じくしている。
そのことから、原作の美摩は、毒親ながらも、忌み嫌う姪の魔力鑑定に、
期待を寄せていた。
────真理亜が〈聖〉属性の魔力持ちならば、真渡園家の名が高まる………
そんな、安直な打算からの、期待であった。
だが、その欲にまみれた期待は、大きく裏切られる。
………真理亜は四大元素属性魔力をすべてと────〈闇〉属性の魔力持ち
であると、鑑定されたのだった。
〈闇〉属性の魔力は、〈禍威魔〉の〈力〉に近いとされ、〈退魔法師〉界では
忌避されているのである。
美摩は、鑑定結果を耳にし、怒り狂った。
『〈闇〉属性ですって!?………〈聖女〉と同じ誕生日のくせに! どこまで
おまえは役立たずなの!?』
大いに期待していた反動で、美摩の真理亜へ抱く嫌悪感が、
さらに膨れあがってしまう。
しかも原作では、真理亜が『〈聖女〉の再来』であると大々的に宣伝するために、
イベントホールを貸し切り、真渡園家派閥の名家諸氏と、
その満六歳となる子供らを招待したうえで、合同で鑑定儀式を行っていた。
真渡園家の令嬢は、〈闇〉属性の魔力持ちである──────。
その事実を隠蔽することは、不可能であった。
『大恥をかかされたわ! この、愚図! 本当に真渡園家の血を
受け継いでいるのかしらね! 忌々しい無能がっ!』
原作では、そう罵りながら、美摩が、真理亜に手酷い折檻をする
回想シーンで描かれるのである。
本編テキストは大概スキップしていた転生真理亜だが、この回想シーンは、
Hシーンと同じく、熟読玩味。
自分とゲーム内の真理亜を重ね、
独自ハッスル(意味深)に勤しんだものであった。
『愛しき花は門に咲く』では、キャラクターの台詞はフルボイス仕様だったので、
当然ながら、美摩の真理亜に対する罵倒の数々にも、声優の声が付与されている。
転生真理亜は、前世の携帯端末に、そのボイスデータをコピーし、エニィタイム
罵倒を楽しんだりもしていた。
(その罵倒が!!! 今こそ!!! 生で聴ける!!!)
フヒヒグヘヘ、と、口元をニヤけさせてしまう真理亜だが、そこは魔性の美貌を
持つ悪役令嬢。
浮かぶ笑いは、天使の微笑、漂う雰囲気は、幼女ながらも、淑女そのものである。
今日も常時発動スキル、〈優●変換〉は、絶好調だ。
「───兎萌ちゃん、緊張しているの?」
そんな天使の微笑で、なにやら緊張しているように見えた兎萌に、問いかける
真理亜。
「お姉さま………はい、どんな結果になるかと思うと、ドキドキしてしまって」
「大丈夫よ。テストとかではないのだから。なにも心配することはないわ」
ホンマホンマのマンホール、なんも心配することあらへんで~、とばかりに、
真理亜は、余裕の貫禄で、兎萌に大きく請け負ってみせた。
なにしろ、原作で、兎萌が三種の元素属性魔力と、〈光〉属性魔力を持っている
ことを、知っているからである。
もっとも、原作の美摩は、実子の兎萌が〈光〉属性魔力を持っていると
わかっても、喜ぶことはなかった。
原作の兎萌は、“魔力操作不能症”と思われていたため、逆に、神経を逆撫で
する結果になってしまったのである。
『魔力を使えないくせに、〈光〉属性魔力持ち!? どいつもこいつも、
どうしてこんなに使えないの!? 私を苛々させることしかできないの!?』
そうして完全毒親コースまっしぐらな美摩から、真理亜同様、兎萌は、さらなる
虐待を受け続けることになるのだった。
しかし、その芽は、この転生真理亜が、兎萌に出会った初日に、
詰んでしまっている。
魔力を普通に操作できるようになった兎萌が、〈光〉の魔力を持っていると
わかり、自分が〈闇〉の魔力を持っていると判明すれば、美摩は、兎萌を
真渡園家次期当主に選ぶに違いない。
そして私は、罵倒と虐待の日々がやってくる、って寸法よぉ。
(だ…駄目だ。まだ笑うな…こらえるんだ…し…しかし…)
虐待の日々がすぐそこまで迫っていることに、ウキウキの妄想が止まらない
真理亜は、笑ってしまうのを我慢しようとするが、やはり、口元を緩ませて
しまっていた。
変態オッサンのニヤけ笑いなら、醜悪以外の何物でもないが、美幼女の笑みである
ため、その姿は、鑑定儀式に期待を膨らませている令嬢の図にしか見えない。
その真実に気づく者は、この場には存在しないので、誠、現実というものは、
残酷である。
そうこうしているうちに、鑑定儀式は進み、兎萌の身に備わる魔力が、原作通り、
三種の元素属性魔力と、〈光〉の魔力であると判明した。
( 思 い 通 り ! )
原作通りの展開に、夜●月のごとく、心の中でほくそ笑む真理亜。
これでこのあと、自分が〈闇〉属性の魔力持ちとの鑑定結果が出れば、
破滅への道完成する。
……ここまで原作との差異は、鑑定儀式が行われる場所が、
貸切ったイベントホールではなく、真渡園家屋敷の大広間で、
招待客がいないことだった。
まあ、誤差の範囲やろ、などと、真理亜は、楽観視している。
「───真理亜さん。あなたは、非凡な魔力をお持ちだと聞き及んでいます。
魔力を流し込むのは、少しだけで結構ですからね。この水晶玉は、あまりに
たくさんの魔力をひと息に流し込んでしまうと、壊れてしまうことがあるのです。
……貴重な水晶玉なので、壊さないでくださいね」
祭司長が、茶目っけある言い方で、そう注意してくるので、『ン? 振りカナ?』
と思ってしまう真理亜。
だが、ここで滅茶苦茶な魔力を流し込んで水晶玉を破壊し、
『あら? わたくしまたやってしまいまして?』なんてやっている暇はない。
しっかりと、〈闇〉判定を出してもらわなくては困るのだから。
「承知いたしました。それでは、壊さないように、少しだけ────」
真理亜は、手加減にさらなる手加減を重ね、ほんのちょっぴり(※感覚)、
水晶玉に、魔力を流し込んだ。
するとその途端に、水晶玉が、目映すぎるほどの閃光を放つではないか。
しかも、なにやら、ソシャゲのガチャで、通常、金色の襖であるところ、
虹色の襖が開かれ、高レアキャラが引けた時のような豪華絢爛な輝きである。
(うぉっほwwwコレはwwwレア属性演出っスかwww)
手応え充分な水晶玉の反応に、真理亜の心中では、草が生えて、大草原だ。
コレもう、〈闇〉っしょ~!、勝ち確っしょ~!、などと、嬉しさのあまり
踊り出しそうになっている。
そんな衝動をこらえながら、真理亜は、祭司長の鑑定の言葉を待ち焦がれていた。
水晶玉が光輝く中、やがて、祭司長が、興奮気味に鑑定結果を告げてくる。
「真理亜さんの魔力属性は! 四大元素属性すべてと、〈光〉の魔力! そして、
〈聖〉属性魔力をお持ちです……っ!!!」
「えっ」
祭司長の言葉に、真理亜は、短く驚きの声をもらしていた。
ごめんなんて???、と、危うく素で、訊き返しそうになったほどである。
〈聖〉属性じゃなくて、〈性〉属性の間違いでは?
そのように問い質したい真理亜だが、令嬢の身では、冗談でもそんなことは
口にできない。
それに、祭司長の様子から、どうやらまごうことなき事実であるらしい、と、
さすがの真理亜も察せざるをえなかった。
( な ん で だ よ!!!!!)
真理亜は、『異●界お●さん』のた●ふみばりに、心の中で、ツッコミの声を
上げてしまう。
百歩譲って、〈光〉の魔力を持つのは、まあよしとしても、〈聖〉属性魔力を
持っているのは、到底信じられぬ真理亜であった。
………実は、〈聖〉属性魔力は、原作設定で、条件さえ満たせば、後天的に
得ることのできる魔力ではある。
けれども、原作では、悪役令嬢・真渡園真理亜だけは、全ルート通して、
〈聖〉属性魔力を持つことなく、必ず破滅する〈運命〉にあるのだ。
先天的に〈聖〉属性魔力を持ちうる以外に、その魔力を得る条件、それは────
①肉体の限界を超えてでも、魔力を行使し続けたいと願う、不撓不屈の精神
②おのれの命を賭してでも、誰かを救いたいと願う、自己犠牲の精神
③私欲を捨て去り、誰かの幸せを心から願う、無私献身の精神
この三つの精神を、善なる〈女神〉が定めた〈世界律〉に認められることである。
原作では、主人公と各攻略ヒロインたちが、残酷な〈運命〉に翻弄されながらも、
互いに愛に目覚めることによって、〈聖〉属性魔力を得て、困難な戦いに挑んで
ゆくのだった。
が、真渡園真理亜は、悲運の悪役令嬢。
誰かから、真に愛されることも、また、自身も誰かを心の底から愛することが
できなかったがゆえ、三つの精神を開花させられず、破滅してゆくのである。
……翻って、この転生真理亜だ。
ほぼほぼ毎日、魔力の訓練で肉体の限界を超える努力を重ねており、叶うことなら
死ぬ一歩手前まで魔力を使い続けたい、と、常日頃から渇望している。(※①)
また、兎萌と出会ったその初日に、命を懸けて、兎萌の体に魔力を注ぎ込み、
心の底から、兎萌を“魔力操作不能症”から救いたい、と願った。(※②)
そしてつい最近、おのれの欲望を捨て、ふたりの女の子を救いたい、と、心から
願って、行動を起こしている。(※③)
まがりなりにも、転生真理亜は、三つの条件を揃えてしまっていたのだ。
『ンー? ちょっと怪しいけど、三つともクリアしてるナ! ヨシ!』
〈世界律〉のほうも、そんな現●猫点検並のガバガバ判定でオッケーを出し、
真理亜が〈聖〉属性魔力を持つことを、認めてしまっている。
キ●ヌ・リー●ス主演の映画『コ●スタ●ティ●』のクライマックス逆転劇の
ように、『そんなのアリ!?』と激しいツッコミが入りそうな事態ではあるが、
アリなのだから、仕方がない。
この転生真理亜には、〈聖〉属性魔力が備わっているという事実が、確定した。
「────失礼しました。年甲斐もなく、興奮してしまったようです。
……まさか、私が生きているうちに、〈聖〉属性魔力を持つ子を、鑑定できるとは
思っていなかったので」
水晶玉の光が治まって、祭司長は、照れを隠すように、そんなことを言ってくる。
それから、気を取り直したように、表情を引き締めたあと、言葉を続けてきた。
「大いなる〈力〉には、大いなる責任が伴う、と、言われます。───ですが、
真理亜さん、あなたは幼い。あなたが持つ〈力〉のことは、これから、少しずつ
学んでいき、その〈力〉が、まわりのみなさんにもたらす影響を、考えていって
ください」
祭司長は、そこまで言って、頬を緩める。
「……あなたに〈力〉があるからといって、すべての責任を、あなたが引き受ける
必要はありません。必ず、家族やまわりのひとたちの力を頼ってください。
そのうえで、あなたの持つ〈力〉が、正しく使われることを、私は願っています。
────あなたに〈女神〉の導きが、ありますように」
「ありがとうございます、祭司長様」
っはー! も~話が全っ然違いますやん! やっとられへんわ~!
そんな投げやりになりそうな気持を押し殺して、真理亜は、笑顔で祭司長に
一礼し、祭壇から離れた。
真渡園家を見やれば、兎萌は目をキラキラと輝かせて
『お姉さま、すごいです!』と言わんばかりの熱い視線を送ってきているし、
美摩や囲碁留母娘らも、感極まった笑顔で真理亜を見つめてきている。
違う違う、そうじゃ、そうじゃない、と、真理亜は、落胆まっしぐらだ。
おお、わたくしを転生せしめし〈女神〉ルキミステルよ、此は何事ぞ!?
などと、心中にて、自分が望んだ世界の悪役令嬢に転生させてくれた〈女神〉に
向け、古風な物言いでクレームを入れている。
ルキミステルにすれば、もう忘れてしまいたい初仕事だし、現在進行形で他の
転生者相手に大忙しなので、仮に彼女の下に真理亜のクレームが届いたとしても
“無視”の一択に違いなかった。
なので、というか、当然、ルキミステルからの返信は、ない。
しかし、そこは究極変態であるからこその、無駄にポジティブな真理亜である。
はっ、と、ひとつの結論に至るのだった。
(『返事がないのは、良い返事』……そうかっ!
〈女神〉ルキミステル様────! わたくしに、このまま、〈聖女〉に
近づく演技を続行せよ………そのようにおっしゃるのですね!?
皆々の期待を一身に受け続け────それが頂点に達した時!
わたくしを奈落に叩き落してくださるのですね!?
なんて、なんて焦らしプレイ……!!! 承知いたしました!
拝領致しましょう! その要求───────っっっ♡♡♡♡♡)
『えっ。なんでそうなるの?』……もしも〈女神〉ルキミステルが、真理亜の
導き出した結論が届いたのなら、短くそうツッコんだことであろう。
だが、ひとり、明後日の方向に答えを見出した真理亜には、誰の追及の言葉も
聞こえないのに違いなかった。
『自分勝手な解釈をするなっ!』
と、怒りのマジレスをしてくるロ●ン・セ●ックは、どこにもいない。
疑問も悩みも消え失せた真理亜は、清々しい笑顔を、美摩たちに向ける。
それはまさしく、天使の微笑みにしか見えないのだった………………。
どんな結果が出てもポジティヴに捉えるこの真理亜、無敵である。
さあどんどん最強になっていきますよ~(^∀^)




