M一一 思い出した〈約束〉!ドMの炎がマップ(ヒロイン攻略行動マップ@ア●ガミ)を焦がす!
本日まで二話更新です、よろしくお願いします(^∀^)
いよいよ原作知識無双……無双?開始です~
『……………私は、献身的な女なんかじゃ、ありません────────』
『真理亜お嬢様にご奉仕するのは、表向き、恰好だけで、本当は、お嬢様を、
見下していたんです』
『愉悦を感じていました。奥様とも、兎萌お嬢様とも家族になれず、
私に縋ってくる真理亜お嬢様に』
『卑しい女でしょう────? 酷い女なんです、私は』
『お嬢様との〈約束〉も、軽い気持ちで交わしただけ。
あなたの愛を受ける資格なんて、ない………』
〈約束〉………………………………。
────────────〈約束〉?
(思い、出した………!)
ベッドの上で目覚める、変態ドMこと、真理亜。
真理亜は、まどろみの中、原作で、自分の専属メイドになる囲碁留叶穂が
攻略ヒロインになるルートの、主人公から告白を受けたシーンを思い出し、
パッチリと意識を覚醒させたのだった。
時は、兎萌に千倍チート魔力を供給し、〈鳳凰の杖〉を復活させたあとに
意識を失った、その翌日の朝である。
真理亜は、思考をめぐらせだした。
自分と叶穂が交わす〈約束〉。
それは、来るべき自分の破滅ルートにおいて、重要な滅因子!
………この転生真理亜の、根本的な目的は、
原作主人公である門纏廣奈の恋人になり、
深い仲(意味深)になったあと、
〈禍威魔〉や悪党に陵辱され、破滅することである。
けれども、自分《真理亜》の目論見通りに、主人公と恋仲になれるかは、不確定。
転生人生は、計画的に。
他の攻略対象らが、主人公と恋仲になることも念頭に置いて、
自分の失恋破滅ルートも想定していかなくては。
欲望にまみれた妄念で生きているくせに、そうも考えるあたり、
余計なところで慎重堅実なド変態であった。
見事、主人公と恋仲になったあと、自分が第三者にNTR、
あるいは襲われて破滅するもよし。
逆に、他の攻略対象らの誰かが主人公と恋仲になり、WSSしたあと、
やはり襲われて破滅するもよし。
自分と主人公の恋の行方は、どう転んだとしても、WIN-WIN-WIN。
ドM的には、勝利の未来にレディ・GO!しかない精神状態である。
とはいえ、そのための御膳立てに、手抜かりを許すつもりは毛頭ない。
念願の悪役令嬢人生、完璧に美しく、破滅しなくてはならないのだ………!
そう無駄なまでの使命感に燃える真理亜。
『完璧に美しい破滅』ってなんだよ、と、その心の内を読んで
ツッコミを入れる者は、当然いない。
『あなたもわたくしを裏切るのね……?
“一生そばにいる”って言ったくせに……』
真理亜は、叶穂が攻略ヒロインになったルートで、自分が言うことになるはずの、
印象深い台詞を思い出す。
原作では、真理亜と叶穂は肉体関係のある主従。
主人公が叶穂を選んだ場合、背徳の裏切り恋愛となるのだった。
叶穂の肉体は、主である自分のものでも、その心は主人公に奪われてしまう。
精神的NTR─────! なんと超技巧的な裏切りか……!
そうウットリするのに加えて、転生真理亜は、原作における叶穂の、
真理亜に対する心情を思い出した。
叶穂は確か、自分に依存してくる真理亜に、強い庇護欲と、暗い優越感を
覚えていたはずだ、と。
それと同時に、真理亜は、前世のブラック企業で同僚だった女性社員、
奥村さんのことも思い出す。
奥村さんは、けっして美人ではないが、見目悪くはない容姿の女性であった。
職場では明るく、転生前のドM男にも、非常に優しく接していた……表向きには。
しかし、ドM男の被虐感知は、奥村さんの本性を、
如実に感じ取っていたのである。
奥村さんが、
『こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!』
と、吐き捨てたくなるような、
下衆な加虐精神の持ち主であることを─────!
ドM男の被虐感知は、はたして、正しかった。
ある日、ドM男は、職場の給湯室での、奥村さんら女性社員たちの会話を、
立ち聞きしてしまう。
『奥っちさあ、なんであのブサ陰キャに優しくしてあげてんの?』
『えー? あのブッサ中年、間違いなく童貞だから、チョロそうじゃん?
優しくしといて、仕事振りやすくしとこうかな、って』
『ぶふっ、ズル賢ーっ!……あのデブ、絶対勘違いして奥村さんに
惚れちゃうよ?』
『だいじょぶだいじょぶ。私、勘違いしたバカ扱うの、慣れてるから。
うまく操作しちゃうんだ~』
『うわ、最低だよこの女。いつか刺されるわ』
『そン時は、カレシに守ってもらうし、ノープロ。あんな陰キャ、
秒でボコボコにできるし』
『ひっどー(笑)』
などなど。
こういう会話を聞いた、通常の弱者男性は、怒り狂い、
かと言って暴力に訴えるわけにもいかず、
悲しみと悔しさに身を焦がし、ひとり孤独に泣き濡れるしかないのが常。
が、ドM男の場合は、当然、違った。
(表では優しくされ、裏では蔑まれ……イイ─────奥村さん、
イイよぉ~っっ!!! アンタ最高だっ!!!
自分の目に、狂いはなかったァ───────ッッッッッ!!!)
奥村さんの陰口と詭術に対して、絶賛の狂喜乱舞だったのである。
表立っての嫌悪や罵倒も美味いが、
目に見えぬところでの陰湿な嘲笑や侮蔑も、デリシャスごっつぁん大吟醸。
ドM的には、どんな形式の被虐もウェルカム・マイ・ハウスで、
存分に堪能したのだった。
あれと同等の精神的被虐を、叶穂からもらえるかと思うと、
それだけでハッスルしてしまう転生真理亜。
従順に奉仕しているのに、
その内心では、自分を見下している─────────。
専属メイドともなれば、毎日、自分のそばで過ごしてくれるのは必定。
つまり、常に、つきっきりで自分を見下してくれる存在なわけだ。
オールウェイズ・見下され、最高じゃないか!
自分にとって、囲碁留叶穂というキャラは、毎日の侮蔑と最大の裏切りをくれる、
一粒で二度美味しいヒロインなのである。
自分と主人公の恋愛が、成就してもしなくても、叶穂という存在は、自分の心を
日々満たしてくれるに違いないのだ………!
フンスフンスと、ベッドに横になったまま、変態幼女は、ひとり興奮する。
だが、すぐにスン…、と、急転直下でクールダウンした。
この人生で自分が目指すのは、ハーレムではなく、
主人公との大恋愛直後の破滅である。
その宿願を果たすうえで、叶穂とおセッせする仲になるのは、大変よろしくない。
自分はこう見えても、純情一途なのだ。
………外見は絶世の美幼女にせよ、ピンク色思考しかしないド変態のくせに、
切実にそう思っている真理亜である。
だがしかし、叶穂が主人公と恋に落ちた場合の、“裏切り”という自分への
心的クリティカルダメージは、
是非とも抑えておくべきではないか、いや、絶対に抑えておくべきであろう、
JK!
一刻も早く、叶穂と〈約束〉を交わさなければ───────!
こうしちゃあいられねえ、と、ベッド上にて体を起こし、深く思案する変態幼女。
とはいえ、なにをどうすることもなく、客観的に今の真理亜を見れば、
上半身を起こしたまま、ぼうっとしているようにしか見えない。
しかして真理亜は、必死に思い出そうとしていたのだった。
(……………………………………どの時点の、どういう流れで、
〈約束〉するんだっけ?)
そう、この真理亜、元のゲームのHシーンの数々こそ
克明に覚えているものの、それ以外のシーンは
完全にうろおぼえの、ふんわりした記憶しかない。
こんなテイタラクで、よくも『愛しき花は門に咲く』を、
“マイ・ベスト・ゲーム”などと口にしたものである。
声こそ出さぬものの、うーん、う~ん、と、頭を捻りまくるが、
肝心の〈約束〉シーンを、まったく思い出せない真理亜。
……ま、思いせないモンはしょうがねぇか、と、あっさり諦めたところに、
部屋のドアが、控えめな音でノックされた。
『真理亜お嬢様、お目覚めでしょうか? 失礼致します』
透き通るような声が掛けられたかと思えば、すぐにドアが開けられ、
青紫色の髪の少女が、一礼して部屋に入ってくる。
真理亜が目覚めてから、ずっと頭の中を占めていた少女────
囲碁留叶穂であった。
真理亜と、叶穂の目が合う。
叶穂は、わずかに驚いた様子だったが、すぐに冷静な表情に戻り、
真理亜に向かって、再び一礼してきた。
「……おはようございます。お目覚めになられていたのですね。
ご気分は、いかがでしょうか」
淡々とした調子で、真理亜にそうたずねてくる叶穂。
それを受けて真理亜は、『このコ、十四歳なんだよなあ。しっかりしてはるわ』と、内心で感心しつつ、
ニコリと微笑を返して見せる。
「おはようございます。体調は大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」
例の〈優●変換〉による仕草と表情で、令嬢らしい受け答えがなされた。
けれど、実際の真理亜の体調は、率直に言って、悪い。
美摩と漱祗から魔力を分け与えられたとはいえ、千倍チート魔力がその身に
全回復するにはまだまだ時間を必要としており、通常の人間で言うならば、
貧血のような状態にあったのである。
だが、そこはこの転生真理亜、体調不良程度の痛苦は、序の口甘口宵の口。
気分が悪いのは間違いないのだが、むしろそれが逆に心地良い!まで感じている
変態ドMっぷり。
そんな真理亜は、叶穂に答えたあと、ありゃ?、と困惑した。
自分の答えを聞いた叶穂の表情が、ほんのわずかだが、しかめられたように
見えたのである。
(あるぇ~? ワタシ、なんかやっちゃいました~?)
今の短い返答で、気に障るものがあったのかしらん、と、心中悩む真理亜。
(ま、いっか。───嫌われてもそれはそれで結果オーライだし……
あっ、そーだ! 嫌われついでに、もーこのまま、原作設定にかこつけて
一気に〈約束〉してしまうか! ここで〈約束〉したかわからんけど、
そこは気合とMINDでGO!やで!)
機を見るに敏、って言うしな!と、真理亜は、叶穂と初のふたりっきりになった
この場を、無理くり〈約束〉のシチュエーションに決定。
……“機を見るに敏”というより、考えるのが面倒になったから即断即行した、
“見切り発車”どころか完全にただの“突発暴走”なのだが、
勢いづいた変態はそれを自覚することなく、どのように〈約束〉を取り付けるか、
画策しはじめるのであった─────────。
マジで思いつきでしか行動しない主人公(^ω^;)
どうなる、叶穂ちゃん!?




