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聖女の力は安眠のために。〜ブラック企業帰りの私は、現代知識で冷徹公爵を寝かしつけます〜  作者: サバ味噌饅頭
第3章:安眠サロンへようこそ(※公爵専用……のはずが?)

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番外編 『第一回・安眠維持定例連絡会議』

紬の「安眠の城」から少し離れた森の木陰。そこには、王国のパワーバランスを左右しかねない三人の男女が、妙に真剣な面持ちで集まっていた。


「……では、第一議題だ。紬様の『入眠深度』の推移について。カイル、報告を」


議長を務めるのは、隠密騎士のカイル。彼は紬から「おやすみ」を告げられた後、任務として(半分は趣味で)屋根裏や影から彼女の睡眠を「見守って」いた。


「はっ。本日の紬様、消灯時刻21時02分。昨夜に比べ、入眠までの時間が3分15秒短縮されました。呼吸の安定から推測するに、本日の寝具のセッティングは非常に良好であったと思われます」


カイルが一切の感情を排して報告すると、エレノアが扇子をバサリと広げて胸を張った。


「当然ですわ! わたくしが昨日差し上げた、あの最高級フェルトの二重構造! 紬様、『あら、外の雨音が全く聞こえないわ。神物件ね』とおっしゃってくださいましたわ!」


「エレノア、余計なものを持ち込むなと言ったはずだ」


アルベルトが銀色の瞳を冷たく光らせた。隈は薄くなったものの、紬の「隣」という特等席を巡る争いに関しては、依然として殺気立っている。


「彼女に必要なのは、過剰な装飾ではなく、静寂だ。……カイル、昨夜の『シュウセイイライ(修正依頼)』の発動回数は」


「……二回です。二回とも、閣下が扉を蹴破った際の蝶番の軋み音に反応されたものと推測されます。紬様は夢の中で『再起動まであと5分……』と、世界の理を書き換えるような不気味な詠唱をされておりました」


「な……っ。私のせいだというのか……」


絶望に顔を伏せるアルベルト。それを見たエレノアが、勝ち誇ったように笑う。

「おーほっほ! アルベルト様、紬様の安眠を邪魔するなんて、美容の敵ですわよ! わたくしのように、そっと美味しいハーブティーを置いて立ち去る。これが『聖女の守護者』としてのマナーですわ!」


「貴様、いつの間に守護者を名乗った……」


火花を散らす公爵と令嬢。カイルはそれを無視して、手帳に淡々と書き込む。


「……結論。紬様の有給休暇を死守するためには、この森に近づくすべての『ノイズ』を排除せねばならない。……閣下、次は騎士団の蹄の音に『消音魔法』を義務付けるべきかと」


「……採用だ。直ちに手配しろ」


こうして、紬の知らないところで、彼女の眠りを守るための「世界で最も過保護で物騒な防衛網」が、着々と構築されていくのであった。


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