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episode129 神の領域

 


 ――時間の俯瞰。


 四次元から五次元へ上がった場合、それがどういう形で見えるのかは想像できないが、四次元時空を生きる俺達でも理解できる形がある。


 小説や絵物語などの創作物だ。


 俺達はその物語を読み進めて、完結まで辿り着くことができる。


 そして気に入ったシーンやページがあればもう一度読み返すことができる。


 これを、視点を変えてみたらどうだろう?


 本の中の住人から見れば、俺達は過去にも未来にも行くことができる。


 なんならなにが起きるのかすらも全て見ることができる。


 そしてその結末が気に入らなければ、自身でもう一つの結末を書くことだってできる。


 二次創作ってやつだが、それはいわばもう一つの可能性を秘めた宇宙……確率時空を想像したことと同じだ。



 前世で例えれば恋愛シミュレーションゲームなどが想像しやすいかもしれない。



 主人公と結ばれるヒロイン達一人一人に物語があり、主人公はその分だけヒロインと恋仲になる。


 そのヒロインの数だけ宇宙があるというわけだ。


 そしてこれも、俯瞰して見ている高次元存在……「プレーヤー」がいるから複数の物語を全て見ることができている。


 ようはカラート様は――



「カラート様は高次元に上がって俺達の住む世界……このエクセルの過去と未来を見て、干渉しているんです」


「なにっ!?」



 融合したなんてものじゃない。


 ゲームをプレイするようにカラート様は高次元から魔力を通じて世界に干渉しているんだ。


 それを聞いて今度はレン君が質問してきた。



「そ、そんなことができるんですか?」


「事実、カラート様がお隠れになってから皆、魔法が使えるようになったみたいだし、もしかしたら重力というものを理解しないと魔力を完璧に扱えないのかもしれないな」


「……なんで重力なんです?」


「重力だけが他次元へ干渉できるからだよ」



 超弦理論では素粒子は一本の弦で表現される。


 レプトンやクォーク、ゲージ粒子などはこの宇宙……ブレーンに引っかかっているが重力は閉じた弦である為にブレーンには引っかからず多次元へ干渉できる。


 階層性問題解決の一つだ。


 魔力も同じく多次元へ飛んでいっているから重力と同じく閉じた弦であると言える。


 いや、もしかすると重力そのものが魔力なのかもしれない。



「――だから重力と同じ動きをする魔力を使ってエクセルに干渉しているんだよ。魔法に変換しているのもこの星に住む生命の魔力波を受けて行っているんだろう」


「ぜ、全世界のヒト達のを……ですか? 頭がパンクしません?」


「そこはなんとも言えないな。高次元に上がったら時間すらも物理的次元に変わるんだからどういう世界が広がっているのか想像もできない」



 時間が止まって見えているようなものだと思うし、複数人の魔力波を受けてから順番に対応していっても、魔法発動にタイムラグは発生しないだろう。多分。


 それこそ神のみぞ知るってやつだ。



「それに、高次元に上がったと仮定すれば解決できるものもある」


「なんですか? それって」


「俺や君のような転生者、そしてユイさん達「迷い人」の存在だよ」



 昔から迷い人は何人も現れたようだから、高次元に上がったその時からガルガンチュア対策をしていたのだろう。


 いろんな迷い人……他世界の住人をこの世界に連れ込んで。


 この時代に転生者を二人生み出した理由はいまいちわからないがそうしないとガルガンチュアは討伐できなかったのかもしれないな。


 でも腑に落ちないな。


 過去も未来も見通せるのなら最適解を見出すことだってできたはずなのに。



「迷い人をこの世界に連れてきて、戦闘に不向きだったから転生者を生み出したってことですか?」


「えっ? 迷い人って戦闘職に就いてないの?」


「はい。皆さん生産職や事務職、飲食業などを営んでいたそうですよ。授業で習いました」



 ルナちゃんが迷い人について色々教えてくれた。


 そうだったのか。


 俺なんか迷い人は知識が多いからこの世界ではなに不自由無く過ごせたってことぐらいしか知らなかった。



「まぁでも、そういう理由で転生者を生み出したのかもしれないけど……なんか引っかかるんだよな」


「引っかかる? なにがです?」


「なんで地球との繋がりをこんなに残してるんだろうって思ってさ」



 先も言ったように、高次元に上がったなら過去も未来も見通せる。


 ならば最初からこの時代にレン君や俺だけを生み出せばいい。


 他世界から直接この世界に呼び出し、その動向を探るなんて実験のようなことをしなくてもいいはずだ。


 それになんで地球の住人を連れて来たんだろう?


 そんなことを考えていたら、横にいたクリスがポロリと言葉を口にした。



「……ガルガンチュア対策じゃなかったんじゃね?」


「……おん?」



 思わず横にいるクリスの方を向いた。


 それを見てクリスは自身の考えを口にしていく。



「カラート様はそもそもガルガンチュア対策の為に地球の人達を連れてきたんじゃなくて別の目的があって連れてきたのかもよ?」


「たとえば?」



 俺が例を求めると、クリスは少し考えた後、再度口を開く。



「たとえば……地球を救いたかった、とか」



 それを聞いた俺に電流が走った。


 そうだ! その可能性があった!!



「そうか……だから時間次元のことも研究していたのか……」



 たとえば魔力を用いて地球の時間を逆転させて地球のプレートテクトニクスを復活させるとかしようとしてた?


 でもなんでそれを自分自身でやらなかったんだ?


 高次元に上がってしまったら自分の手で地球を救うことはできない。


 この四次元時空に干渉できるのは重力だけになってしまう。


 これだけの科学知識を持っていればいずれは辿り着けたはずなのに……



「いや……もしかして……何かを見たのか?」



 自身が高次元に上がることが最適解だと思った何かを。


 俺が考え込んでいると、クラリスが何かを思いついたのか手を叩いた。


 注目が集まる中、クラリスが口にしたのは――



「もしかしてレオンに教えたかったんじゃない? 地球の存在を」


「地球のことを? 俺に?」


「うん。だって迷い人達は地球から来たってことだし、その人達が残したものって地球の文化ってことでしょ? 建築物や意匠とか。なんなら直接迷い人と話だってできるかもしれないし」


「そうだな」


「極めつけにはボイジャーよ。あれが決定打にならなかった? この世界は地球と同一宇宙にあるって」


「そうだな……」



 確かに色々ヒントは散りばめられていたな。


 レン君の知識量やユイさんの知識量を考えると西暦2000年代は確実そうだが……あっ!?



「もしかして……カラート様が見れる全時間軸ってのはエクセルじゃなくて地球なのかも」


「? どういうことです?」



 俺の呟きにアイリスが問いかけた。



「もし、このエクセルの全時間軸を見れるのならユイさん含む今までの迷い人達を連れてくる必要はない。さっきも言った通りガルガンチュアを倒すことができる人物だけを連れてくればいいんだからな」


「そうですね」


「それに転生者なんて存在を作った意味もわからない。俺の記憶にある地球は平和だったから、迷い人のように直接こっちに連れてくるのと転生させて連れてくるのとで違いはあれど、平和な世界から連れてくるのはリスクが高いと思わないか?」


「確かにそんな世界から突然こちらの世界に連れてこられても、転生者にしろ迷い人にしろ、混乱して戦うどころではないかもしれないですね」



 そもそも西暦2000年代は戦争終結から何十年も経っているから、日本人を連れてくる意味がない。


 言い方は悪いが平和ボケし過ぎている。


 どんな危機的状況に面していても、連れてこられた人の大半はおそらく「戦う」を選択せず「逃げる」を選択するだろう。



「あの……それじゃあなんで転生者がいるんですか? 戦わずに逃げそうですけど」



 レン君がおずおずと手を挙げて意見を述べる。



「確かにレン君の言う通りではあるけど……君は逃げたかい?」


「いえ、逃げずに戦いましたけど……でもそれは戦う術を持っていたからで、それがなかったら戦ってなかったと思いますよ?」


「その「戦う術」を得ようとすることそれこそが重要なんだ。誰も好き好んで危険に飛び込もうなんてしないだろ? 必要に迫られていない場合以外は」



 この世界は結構平和だ。


 国同士の諍いはなく、各々助け合い、意見を交換し合い、教え合いを繰り返している。


 理想的な関係を築いていると言っていい。


 危険があるとすれば魔物がいるくらいのものだ。


 前世でいうクマが出たとかと比べれば危険度が段違いだけど。


 そんな世界で戦って生計を立てるという選択をせずとも生活できる雇用体制あるのならば現代日本人ならそっちを選択する者が殆どだろう。


 ゲームの世界ではなく、実際に戦ったら実際に死ぬのなら尚更だ。


 いや……戦わざるを得ない状況になったら、人によっては「逃げる」ということすらせず、世界を呪って「諦める」を選択する者だっているかもしれない。


 しかしレン君は魔法の力を手にして、その力を使って選んだ職は戦闘職。


 魔道具士のような生産職ではなかった。


 この意識差は何か?


 ……あぁ、なるほど。



「転生者だから……心の奥底に自分はエクセル人だという想いと常識が根付いているから戦いに身を投じれるんだ」



 その証拠に俺は前世の……特に個人的な記憶が一切ない。


 それはレン君も同じようだった。


 その理由は地球で過ごした常識と意識を曖昧にして、知識のみを鮮明に残した結果じゃないだろうか。



「そして地球のことも匂わせれば、地球のことにも意識を向けるだろう。そしていつか、地球に行ってもらいたいと思っているんじゃないかな? 「魔法」という技術を地球にもたらすために」


「……多分カラート様も転生者を生み出して、まさかこんなに早く地球に行こうとする人間が出てくるなんて思わなかったでしょうよ」



 クラリスの発言に同意するように俺以外の皆が首を縦に振る。


 いや、そんなことは……ない……はず……


 自信無くなって来た。



「まぁ、あとはレオンのことだな。ガルガンチュア曰く、いろんな色が重なっているらしいが、なんでそんなことになっているんだ?」


「レンさんは普通に魔法を使えていることから、レオンさんとは違って単色だとは思うのですが……なぜレオンさんがそんなことになっているのかはわかりませんね」



 クリスとアイリスが今度は俺について話し始めた。


 色が混ざる……即ち個人を特定できないから、魔力を通じて願いがカラート様へ届かず、ただ魔力を集めることしかできなくなっているっていうのが俺ってわけだ。


 でもいろんな色が重なってるってことはいろんな人の魂が混ざってるってことだよな……


 ってことはだ。



「いろんな科学分野の人物の知識を単一存在に重ねていった結果ってことなのかもな」


「「レオン」っていうエクセル人の中に地球で過ごしていた各分野の研究者の知識を詰め込んだってことか? 工学知識や化学知識や数学とか? 頭パンクしねぇ?」


「それに複数人の人の情報を重ねて問題は出ないのでしょうか? アイデンティティが崩壊しそうですけど」


「……確かに」



 クリスとアイリスの意見は的を射ているように思う。


 知識だけじゃなく、多少とはいえどその人の人格なんかも入ってくるだろうから、それらが不一致(コンフリクト)しないというのは考えにくい。


 ここも、なんか不思議な力でなんかいい感じになっているとか?


 え〜、ここまで来て?


 なんて思っていたらクラリスがボソッと言葉を漏らした。



「……同一人物、とか?」


「……はっ?」



 同一人物?



「どういう意味だ?」


「重なっている人は全員同じ人なんじゃないの? ってこと。それならアイデンティティの不一致なんて起こりづらいでしょ?」



 確かにそれなら大丈夫そうだ。


 そして、それが本当なら――



「カラート様は五次元じゃなく、六次元にいるってことになるな」


「六次元なら、その世界のあらゆる可能性を見ることができるってことですものね。ある時点からいろんな科学分野に進んだ人物を一人選んでレオンさんにその人の情報を書き込んだってところでしょうか?」


「科学を専攻していた人物の確率時空……いろんな科学分野へ進んだ全ての時空の情報をエクセル人「レオン・アルファード」へ詰め込んだってわけか。高次元に上がったら人の情報は量子情報として扱えるんだろうな」



 魂というものを情報化できるんなら身体と魂両方を扱うこともできるだろう。


 ってことは迷い人は連れてきたんじゃなくて量子情報から魔力を使ってこの世界に顕現させた存在なのかも。



 魔法陣が足元で光って、光が収まったら異世界だったっていう異世界召喚物でよくある展開の魔法陣っていうのは人そのものを連れてくる魔法じゃなくて、人の情報を読み取る魔法で、召喚先の魔法陣はその読み取った情報を使用して身体を作り、記憶や人格を書き込んで召喚を完了させていたのかもな。


 ようは宇宙に二人、時間軸は異なるが全く同じ人間ができるってわけだ。


 連れてこられていないから、元の世界では普通に「自分」は生活しているから、異世界にいる「自分」が元の世界にいる家族や友人が心配しているんじゃないか? というものは杞憂に終わるってわけだ。


 確かめる術がないから全て仮説だけど。



 これらを全て統括すると――



「カラート様はエクセルに来て魔法というものに触れた。地盤を整え、宇宙播種計画が軌道に乗ると魔法を用いて地球を救う為の研究に乗り出し、紆余曲折を経て高次元に上がることが最適解だと考え、迷い人や転生者のために重力理論のヒントを残して高次元へと上がった。しかし高次元に上がったあと、地球しか俯瞰できないことに気がついたカラート様は地球を救う為に必要な人材を自身のよく知る惑星……エクセルへと誘った。宇宙進出を期待して科学知識豊富な人物をエクセルへ呼び、ガルガンチュア対策と宇宙進出を期待したんだ。重力を利用してボイジャーをエクセルへ向かうように仕向けたのも、いつかそれを手にして地球にいってもらおうと思っていたんだな」


「でも、連れてきた人物たちにそういった野心はなく、宇宙進出を成さなかった為、カラート様は知識や知恵を抽出した情報だけをエクセル人に植え付けた「転生者」を生み出した。なんとも自分勝手ですが、カラート様の目論見は功を奏したってことですね」



 アイリスの言う通り、俺はもう早い段階で宇宙に行きたいって思ったわけだが、まさかこんなに広大な話になるなんて思ってないじゃん。



「あれ? ユイさんも科学知識豊富だから呼ばれたんですか?」


「料理技術半端じゃないだろ? 料理は科学や工学があって先に進むからな」


「なるほど」



 レン君がふとした疑問を口にするとクリスが説明する。


 ユイさんのようにあれだけ料理技術あったら「あの調理器具欲しい」とか思うだろうし。


「欲しい」は人の原動力だからな。



「で? どうだ? この考察は?」



 俺はこの間一切口を開かなかった奴に意見を問う。



『流石。その通りだ。高次元に上がった後のことはさすがにわからんが、地球を救う為、ひいてはガルガンチュア対策の為には自身が高次元に上がり、全員が魔法を使用できるようにするべきだとジンは考えたのだ』



 HALがさっきまでの考察が合っていると答えてくれた。



「高次元に上がったっていうのは知ってるんだな」


『スリープモードにされる際に言われたからな。このカラートの全エネルギーを使って高次元存在へと昇華すると。そしてボイジャーも持ってくるとな。あいつ自身、上がれるかどうかは賭けだったようだが……予想外のことが発生したようだが、おまえの存在を見るに賭けには勝ったようだな』


「ふーん……えっ? カラートの全エネルギー!?」



 いや、高次元に上がるのにこの巨大船のエネルギーだけで行けるなんてすげぇとは思うけど……



「全エネルギー使ったってことは……」


「一人……」


「がっかりする人が……」


「いますね……」



『レオンさん!! 大変ですわ!!』


「「「「ほらね」」」」



 俺、クリス、クラリス、アイリスの声が重なった。

 

 エンジンを見に行ったユリアから通信が入ったのだ。


 どうせ稼働させられる状態じゃないとかだろう。


 臨界運転で動かしてただろうし。



「エンジンが使えないとかか?」


『違います!! もっとすごいものですわ!! いいから来てください!!』


「えっ?」



 エンジン以外にすごいもの?


 なんだそれはと思いつつも、ユリアの興奮具合から、期待に胸を膨らませユリアの元へと向かった。



 ――


 ――


 ――



「あっ! やっと来ましたわね!」



 HALの案内で進んできたが、カラートの中広すぎ。


 外観からしてとんでもない大きさだったからわかっていたことだけどさ。



「この中どうやって移動してたんだよ」


『小型カートだが?』


「船内でカートを運用してたのかよ……」



 でもそれくらいしないとマジで移動だけで一日潰れそう。



「それより……あなた何してますの?」


「えっ?」



 ユリアがジトっとした目で俺を見てくる。


 先も言ったようにこんだけデカい船の中を、カートを使って移動していた船内を数時間で駆け抜けたわけだが、それはどうやったかと言ったら身体強化魔法で身体を強化して速度を上げたわけだ。


 しかし、俺は魔法を使えないから自力で勝負するしかない。


 でも、そんなの勝負になるわけがない。


 で、置いていくわけにもいかないからと取られた行動が――



「私がレオンを背負っているのがそんなに不思議?」



 ――アイリスの背中に背負われて進むことだった。



「いえ、そういうわけではないのですが……そういうのはクリスかクラリスの役割だったと思うのですが?」


「じゃんけんの結果よ……悔しいけれど」


「取り合ったのですね……クリスも?」


「いや? アイリスとクラリスとで取り合ってたぞ」



 クラリスとクリスが事情を説明している間に、俺はアイリスの背中から降りた。



「ありがとう」


「どういたしまして」


「で? なに見つけたんだ?」


「そ、そうですわ!! こちらをご覧くださいまし!!」



 ユリアの指差す先へ歩を進める。


 するとかなり開けた場所へと出た。


 そこはまるでドックのような……



 いや、ような……ではなかった。



「エシクンクラスの……巨大船?」


「いえ、エシクンの大きさを超えているわ。こんなに巨大な船が、船の中にあるなんて……」



 クラリスとアイリスが目の前に広がる光景に驚愕している。


 目の前には数隻の巨大船。


 その船には砲台が装備されていることから、戦艦であることが見てとれた。


 なるほど、カラートは母船だったんだ……


 しかもこんな巨大な船を収められるほどの……



「これは?」


『カラートを護衛する為と、ルートの安全確認を行う戦闘艦だ。自律起動型のな』



 しかも自動かよ。


 多分HALが動かしてたんだろうな。


 今みたいに複数の人間と同時に話せるくらいなんだからできるんだろう。



「素晴らしいでしょう? この船を解析してエシクンをアップデートできますわ!!」



 目を輝かせてそういうユリアだが、俺は別のことを考えていた。



「……レオン?」


「……レオンさん?」



 俺の考えていることを察したのかジト目でクラリスとアイリスが見つめてきた。


 俺はニヤリと笑い、HALに確認する。



「HAL、これは動かせる状態か?」


『いや、かなりの年月が経っているからな。動かすのは難しいだろう』


「難しいってことは動かせないわけじゃないんだな?」



 じゃあ、いけるだろ。


 元々、一隻だけで地球までの125万光年の道程を進むのは難しいと思っていた。


 だから数隻用意する予定だったんだが……ちょうどいいじゃないか。



「長期航海になるんだ。一隻だけなんて寂しいだろ?」



 証明(プルーフ)済みの船体があるんだ。


 ありがたく使わせてもらおう。

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