3話 騒ぎを聞きつけたギルドマスター(元S級)が登場。元勇者たちをその場で永久追放し、俺のステータスを見た瞬間にガタガタ震え出す
「――おいおい、朝っぱらから俺のギルドで何の大騒ぎだ?」
地響きのような低い声が、ギルドの奥から響いた。
現れたのは、全身に無数の傷跡を持つ大柄な男。この王都ギルドの最高責任者であり、かつて世界に数人しかいないと言われた元S級冒険者、ギルドマスターのガロンだ。
その圧倒的な威圧感に、周囲の冒険者たちが一斉に道をあける。
床に這いつくばっていたアランは、救いの神が来たとばかりに必死にガロンの足元へすがりついた。
「ギ、ギルマス! 助けてください! この元荷物持ちの無能が、聖女様を何らかの卑劣な魔法で洗脳し、僕たちを脅迫しているんです! 今すぐこいつを捕まえてください!」
アランはなりふり構わず、俺に濡れ衣を着せようと喚き散らす。ミリーも激しく首を縦に振った。
だが、ガロンはアランを思い切り蹴り飛ばした。
「ぶふっ……!?」
「静かにしろ、この大馬鹿野郎が。俺の目は誤魔化せねえぞ」
ガロンは冷徹な目でアランたちを見下ろし、懐から一枚の書面を取り出した。
「お前ら『勇者パーティー』が昨日、ただのゴブリン相手に不自然な大敗をして、おまけに周辺の住民を見捨てて逃げ帰ったという報告が、既に俺のところに届いてるんだよ。……そして、その原因が、優秀な裏方だったこの少年を不当に追放したからだ、ってこともな」
「あ、う……」
アランとミリーの顔が、今度こそ完全に絶望で真っ青になる。
「ギルドの規約違反、および虚偽の報告。……勇者アラン、魔術師ミリー。お前らパーティーは、本日をもって冒険者資格を剥奪、永久追放とする! 二度と俺の前に面を出すな!」
ガロンの怒号が響き渡り、元勇者たちはギルドの門番によって、文字通りゴミのように外へと放り出された。
周囲の冒険者たちから「当然の報いだ」「ざまぁみろ」と歓声が上がる。
AND、ガロンはゆっくりと俺の方に向き直った。その強面の顔に、冷や汗が流れている。
「……さて、お前さんだ。聖女エルザ様が『我が主』と仰ぐほどの御方だ、ただの荷物持ちじゃねえことは分かっている。ギルドの魔力水晶で、本当のステータスを確認させてもらってもいいか?」
「構わないよ」
俺が受付にある黒い魔力水晶にそっと手をかざすと、水晶がパキパキと音を立てて激しく七色に発光し、ギルドの空中に巨大な文字を浮かび上がらせた。
【氏名:レイ】
【職業:絶対支配者】
【戦闘力:測定不能(SSS級オーバー)】
「そ、測定不能……!? SSS級だと……っ!?」
ガロンの目が、これ以上ないほど見開かれた。
かつて世界最強と呼ばれた元S級の男が、その場でガタガタと膝を震わせ、信じられないものを見る目で俺を見上げている。
ギルド全体が、言葉を失ったように完全に静まり返った。
「おい、測定不能って神話の領域だろ……」
「俺たちは今まで、神様みたいな人を荷物持ちとして扱ってたのか……?」
畏怖と羨望の視線が、痛いほど俺の全身に降り注ぐ。
ガロンはその場に深く頭を下げ、震える声で俺に懇願した。
「レイ殿……! いや、レイ様! 貴方ほどの御方を、ただの冒険者として扱えるわけがありません! お願いです、どうか我がギルドの『最高顧問(SSS級)』になって、俺たちを導いてはいただけないでしょうか……!?」
世界最強の聖女に続き、今度はギルドの最高権力者が、俺の足元で必死に頭を下げていた。




