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第32話:決着の一撃



虚無の空間を、黒炎と光がぶつかり合っていた。

影の俺は怪物の姿で咆哮し、刃の腕を振り下ろす。

地響きのような衝撃が走り、闇の地平が砕け散る。


俺は必死に拳で受け止め、押し返した。

全身が裂けるような痛み。だが、心は折れていない。


「お前に……負けたら……」

血を吐きながら、必死に言葉を紡ぐ。

「俺は俺じゃなくなるんだ……!

 だから――負けるわけにはいかねえ!」


影の怪物が狂気の笑みを浮かべる。

《なら死ね! 人間を選ぶ愚か者よ!》


刃が振り下ろされる。

その瞬間、胸の奥が熱く輝いた。


――エリスの声だ。

「帰ってきて……!」


その響きに、俺の中で力がひとつになった。

黒炎と光が混じり合い、拳に凝縮していく。


「俺は……俺だ!!!」


叫びとともに渾身の一撃を放つ。

拳が影の怪物の胸を貫き、黒炎を粉砕した。


《……バカな……人間が……この俺を……》


影の俺が呻き、崩れ落ちていく。

虚無の闇に溶ける直前、その目はわずかに笑っていた。


《……面白い……ならば……せいぜい……足掻け……》


そして、影は消えた。


静寂が訪れる。

膝をつき、荒い息を吐く。

俺はまだ立っていた――人間として。


「……勝った、のか……?」


闇が崩れ、光が差し込む。

次の瞬間、意識は現実へと引き戻された。




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