第28話:解放の衝突
空気が裂けた。
監視者の腕から伸びた刃が閃き、重金属を叩きつけるような衝撃音が部屋を揺らす。
俺は咄嗟に影の力で覆われた右腕を振り上げ、受け止めた。
火花が散り、刃と異形の装甲が火花を吐き出す。
「……人間の反射ではないな」
監視者の目が細められる。
「だったら――確かめてみろ!」
叫びとともに、影の力が脈動する。
黒い爪が伸び、監視者へと叩き込まれた。
だが、その刃は弾かれた。
監視者の身体を覆う金属質の外殻は、まるで装甲車のように硬い。
《クク……良いぞ。もっと力を解き放て》
影が血の匂いに酔うように囁く。
《遠慮するな、人間をやめろ》
「……うるせえ!」
自分の声で影を押し殺し、再び拳を振るう。
だが監視者は受け止めるどころか、逆に力で押し返してきた。
「お前の存在は不安定だ。人間でも怪物でもない。
だからこそ排除する」
監視者の膝蹴りが腹にめり込み、息が詰まる。
次の瞬間、刃が横薙ぎに迫る。
「――ッ!」
俺は紙一重で身を捻り、壁を蹴って反撃に転じた。
黒い腕が鞭のようにしなり、監視者の顎を狙う。
衝撃音。
金属の外殻に亀裂が走った。
「……ほう」
監視者がわずかに後退し、口元を歪める。
「やはり“適合者”は別格だな」
俺の全身から影の瘴気が溢れ、床を黒く染めていく。
自分でも制御できないほど、力が暴れ出していた。
「来いよ……! 俺を排除できるもんならなッ!」
監視者の刃が光を裂き、俺の爪が黒炎を纏って交錯する。
部屋を揺るがす轟音と共に――二つの“怪物”が衝突した。




