第24話:目覚めの檻
重いまぶたをこじ開けたとき、冷たい鉄の感触が肌に食い込んだ。
腕と足は分厚い拘束具で固定され、動かすたびに鎖が鳴る。
「……っ……!」
体をひねろうとしても無駄だった。
周囲を見渡すと、薄暗い部屋。
壁には機械じみた装置が並び、赤い警告灯が点滅している。
《檻か……面白い》
影が愉快そうに笑った。
《こんなもので俺たちを抑えられると思っているのか》
「……誰だ……ここにいるのは」
問いかけに応える声はなかった。
ただ、電子音と低い機械の唸りが響くだけ。
しばらくして、鉄扉が開いた。
入ってきたのは――エリス。
「……目を覚ましたのね」
その声は冷たい。
俺を見下ろす瞳には、いつもの迷いはなかった。
「お前……何をした……」
「眠らせて、ここに運んだの。あなたを放っておけば、影に完全に呑まれる」
淡々と告げられる言葉。
それが本心なのか、偽りなのか、判別できない。
「これは治療よ。少なくとも、私はそう信じてる」
その言葉の裏に――言い訳のような響きがあった。
《治療? 笑わせる。実験の間違いだろう》
影が嘲笑を重ねる。
《こいつはお前を救うんじゃない。利用して、壊すんだ》
胸の奥で疑念が膨らむ。
だが、鎖に繋がれた今の俺には、抵抗する術もない。
エリスは静かに振り返り、扉の向こうに声を投げた。
「――準備はできたわ」
暗がりから、もう一つの影が現れる。
その冷徹な視線が俺に注がれた。
「……また、お前か……」
その声は、屋上から俺たちを見下ろしていた“監視者”のものだった。




