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20話:弾丸の真意



銃声が地下に轟いた。

反響が耳を打ち、時間が止まったように思えた。


熱い衝撃が頬をかすめる。

その直後、背後の壁が粉々に砕け散った。


「……え……?」


銃弾は――俺ではなく、俺のすぐ横を通り抜けていた。

驚愕する俺の視界に、迫っていた兵士の影が崩れ落ちる。

眉間に穴を穿たれ、声もなく絶命していた。


「……私が狙ったのはあんたじゃないわ」

銃口を下ろしたエリスの瞳は、冷たくも確固たる光を宿していた。


「でも――次は違うかもしれない。

 本当に制御できないなら、そのときは……私が引き金を引く」


その言葉が胸に突き刺さる。

恐怖でも怒りでもない。

ただ――覚悟だった。


《……ほう……女の覚悟はなかなかだ》

頭の奥で影が愉快そうに囁く。

《だが撃てるか? 本当にこいつは撃てるか?》


「黙れ……!」

俺は震える声で吐き捨てた。


床に膝をつき、荒い呼吸を整える。

全身がまだ黒い光に包まれている。

爪も、腕も、人間の形とは程遠い。


「……俺は……人間でいられるのか……?」


思わず漏れた言葉に、エリスは短く答えた。

「それを決めるのは――あなたよ」


静寂が戻った地下室に、血の匂いだけが残っていた。

だがその奥で、影はまだ笑っている。


《人間か怪物か――答えはもう決まっているさ》


俺はその声をかき消すように、両手を握り締めた。





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