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第18話:暴走と覚醒



銃声と絶叫が地下を震わせる。

硝煙と血の匂いが混じり、視界は赤黒く揺らいでいた。


「はぁ……っ、はぁ……っ!」

俺は荒い息を吐きながらも、止まらない力の奔流に体を支配されていた。

手のひらから噴き出す黒い刃のようなものが、兵士の装甲を容易く貫いていく。


「……う、嘘だろ……!」

倒れた兵士の目が、俺を人間ではなく“怪物”として映していた。


《もっとだ……もっと殺せ!》

影の声が頭を満たす。

その甘美な響きに、理性が削られていく。


「……やめろ……俺は……!」

必死に抗おうとするが、体は勝手に動いた。

爪が伸び、鋭く光を放つ。

振り下ろした瞬間、敵兵の身体が裂け、赤い霧が宙を舞った。


「やめろォォォォォッ!!!」


叫んだのは俺か、それとも影か。

区別はもうつかなかった。


突然、視界が真っ白に弾けた。

熱。

雷のような閃光が全身を走り抜ける。


《――これが“覚醒”だ》


次に目を開いたとき、地下通路は地獄と化していた。

壁は抉れ、床はひび割れ、兵士たちは呻き声すら上げられずに転がっている。

残った数人は恐怖に引きつった顔で、武器を捨てて後退していた。


俺の両腕は黒く変形し、脈動する光が血管のように走っていた。

その光は熱を放ち、空気さえ揺らしている。


「……これが……俺の……」


足元に広がる血の海を見て、胃が裏返るような吐き気が込み上げた。

俺の力が、俺の意思を超えて、すべてを破壊した。


「制御できていない……!」

エリスの声が背後から響く。

「このままじゃ――あなた自身が壊れる!」


だが、その声すら遠のいていく。

影の囁きがすべてをかき消していく。


《壊れてもいい。お前はもう人間じゃない。

 ならば“怪物”として、生きろ》


――俺は、本当に人間に戻れるのか?


答えのない問いが、血と闇の中で虚しく響いた。





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