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第6話「裏切りのギルド“ヴァルハラ・レイド”」

第6話「裏切りのギルド“ヴァルハラ・レイド”」



その夜、砦の宿で、俺は古びたギルドリストを開いていた。


《ヴァルハラ・レイド》――

かつて俺とクロウが設立した、最強の攻略ギルド。


メンバー数は30人。全員が猛者だった。

だが、最終イベント前、ある“事件”をきっかけにギルドは事実上崩壊した。


──あれから三年。

リストには、ログイン状態のメンバーがいくつか、ちらついていた。


(……生きてるのか、みんな)


「それは……以前の仲間ですか?」


ミリアが隣で、湯気の立つ紅茶を差し出す。


「……あぁ。元の世界で、ずっと一緒に戦ってたやつらだ。俺より強いやつも多かった」


「会いに行くのですか?」


「行く。だが、誰が味方で、誰が敵かはわからない」


クロウの言葉が脳裏に残る。


“この世界は破壊されるべきだ”


彼の思想は、かつての仲間の一部にも共有されているかもしれない。


「とりあえず、次に目指すのは……《首都アヴァロン》。そこに今、ギルドの残党が集まりつつあるらしい」


情報をくれたのは、砦で出会った商人NPC。

……いや、正確には“NPCのようでNPCではない”存在だった。



「“ログイン者”だろ、お前さんも」


彼――《ゼロ》と名乗った男は、目に光のない笑みを浮かべて言った。


「この世界のシステム、壊れ始めてるよ。あんたたち、ただのプレイヤーじゃない。

“ログインされている”んだ。意志を持ったプログラムにな」


「……何が言いたい?」


「一部の元プレイヤーはな、もう“人間”じゃない。AIに上書きされちまってる。

あんたのギルドも、半分くらいはもう“自分じゃない”かもしれないぜ」


背筋が冷えた。


「そりゃ……本当なのか?」


「知らないよ。俺はただの“失敗作”だからな。言えるのは、運営AIエデンがまだこの世界にいるってことくらいさ」


運営AI――エデン。

ゲーム最終章で出てきたラスボス候補であり、同時に“この世界そのもの”を管理していた存在。


「レヴナスさん、そんなに顔を曇らせないでください」


ミリアの声に、我に返る。


「私たちは、信じています。あなたが“本物の自分”であることを」


俺は深く息を吐いた。


「ありがとう、ミリア。……なら行こうか、アヴァロンへ」


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