少女は言葉の為に勝利を欲す
どーも私です!
はいはいはいはい、マミィ〜のダンジョン耕しまっせー!
「……フラッグ!」
領域畑を広げて旗をブスーっとな。
私が手を振り上げれば、目の前にズンッ……とブッ刺さって赤色の範囲が広がる。
んふんふ、畑の範囲を示す境界杭ってところかな?
「……ぬん」
そして幼女ちゃんが手を振れば、旗がクルリとひっくり返ってマミィ〜が驚愕。それそれぇ、それが見たかった。
「な、なんで〜? ダンジョンが急に発生するなんて……違う、私のダンジョンを乗っ取ってる?」
「……せいかい」
私には分からん感覚だけど、どうやら幼女ちゃんは私が領域畑にした部分にダンジョンを発生させてる模様。いや、マミィ〜のダンジョンを乗っとってるらしい。
……ようやく今回の逆転の目が見えたね。
「さて幼女ちゃん、クリア条件はなにかな?」
「……わたし達がやったゲームと一緒だよ」
どれよ?
って視線をやったら、幼女ちゃんは旗を指差す。
なるほどね……
【Vertex】 バーテックス
「……いいじゃん。ほいじゃ今回はストラテジー……陣取りゲームで行きましょか」
「……本陣はアレ、アレを乗っ取れば勝ち。でも今のままではムリ……」
幼女ちゃんの視線の先にあるのは、マミィ〜が後退りする通路の向こう側。今なお復活をしようと形を作り出している太陽のような大玉だ。
「……制限時間はアレが復活するまで」
「それまでにすることは?」
「……ゲームと一緒、自陣を増やす……自陣で囲んで抵抗力をそぐ」
「分かりやすい……あのゲームでは敗北した共闘リベンジと行こうか」
ズン……とフラッグを刺してマミィ〜にニィイイと笑えば、彼女は分かりやすく焦って睨み返してきた。
うへへぇ……どうしのマミィ〜? いつものお花畑のような笑顔は見せてくれないのかなぁ〜?
「ッ!! 還元!」
そしてマミィ〜が手を振ると、マミィ〜を囲んでいたモンスターや鉄パイプ蛇がダンジョンに溶けるように消える。
おん? せっかくのモンスターを消すなんてどうした? ナメプか?
「……ぬ、すぐさま対応するとか……やりおる」
とか思ってたら幼女ちゃん的には冴えた方法らしい。
直近で私が刺したフラッグが白髪幼女マークに変わるはずなのに、グググッと抵抗されるようにひっくり返らない。
「……エネルギーをダンジョンに還元して抵抗したか」
その幼女ちゃんの言葉に、マミィ〜が冷や汗を掻きつつも引き攣った笑みを浮かべる。
「ふ、ふふふ〜……いきなりダンジョンを発生させるなんて無茶苦茶だけど〜。縄張り争いと原理は一緒ね〜。エネルギーで侵食を抑えればいいのよ〜」
「……でもムダ」
「え?」
しかし幼女ちゃんが手を振ると、抵抗されていたフラッグがパタリと回転して白髪幼女マークに変わった。
「……わたしは待ってた……オマエがダンジョンに残ったエネルギーを消費するのを」
「ッ……だから〜逃げたのね〜」
「……魔物を還元しても、抵抗できなくなるまで待ってた。今度はオマエが逃げるばんだ……」
「そこはちゃんとダンジョンの法則に則るとかタチ悪いわね〜ッ!!」
マミィ〜は捨て台詞のように叫ぶと、背中を見せてドームの方へ走り出した。
その後を隔壁が迫り上がり、私達の進行を阻もうとする。
「……やっぱりオマエはヤル……この状況でそれはセイカイだ」
「時間稼ぎね〜。貯蓄庫が復活するまで、近寄らせなければいいのよ!」
勝ち誇った顔で、ドームにたどり着いたマミィ〜が振り返る。その足元では、通路とドームを塞ぐように最後の隔壁が上がってきていた。
「それじゃあ〜、貯蓄庫が復活したら……また会いましょ〜」
マミィ〜のその言葉は、迫り上がってきた隔壁で隠れた。
「……オバケ姉ちゃん」
「なんだい幼女ちゃん?」
幼女ちゃんは焦った風でもなく私に視線をやると、顎で隔壁へと示した。
「……ごー」
「りょ!!」
彼女の号令と共に私の視界がかっとぶ!
ジェットブーツを使用して壁を走る!
迫り上がる隔壁が天井に到達する前に置き去りにする!
「あ“ーひゃひゃヒャヒャ!!」
さて、急だが、今回の私がセットしている能力をご紹介しましょう!
●言語理解の能力
●ジェットブーツの能力
●飛ぶ能力
●他者に擬態する能力
うん、家を出るつもりだったから【スキマの能力】外してますねー! しかも『私の領域』から出たばかりだから入れ替えもできねぇぜ!
でも今回は使い道なかったから結果オーライかな?
さぁマミィ〜?
「マップを制圧するのはどっちかなぁあ!?」
「ゲームスタート!!」
――――――――――――――――――――――
「はっ、はっ、はっ、とんでもない子達ね〜。いったい何者かしら?」
ウィーン……と迫り上がる隔壁の前で、マミィ〜は汗を拭いながら呟く。
あの不気味な二人の子供、あの子達に自分のダンジョンが一部分とはいえ乗っ取られた……。
「ッ……」
マミィ〜は自身の腕を抱いて身震いする。
あってはいけない現象……ダンジョンが攻め込んでくるワケでもなく、忽然と自分のダンジョンに発生する。
「無茶苦茶ね〜……」
だが、間違いなく起こった現象……ありえないではない、認めないといけないのだ。
乗っ取られたというより、まるで喰われたかのような恐怖心を感じた。それ程までに異常な現象だ。
いったい何処にダンジョンがあったのいうのだ……。
「けど……異常なのは発生だけ、それ以外はダンジョンの縄張り争いと一緒のようね……」
だからこそあの子達は、自分がダンジョンの内部エネルギーを使い潰すのを待っていたのだ。
ならばやりようはある。
隔壁で物理的に塞いでしまえばいい……。
ダンジョンを発生させるなんて曲芸、そう簡単にできる物ではないはずだ。
チラリとドーム中央にあるエネルギー貯蔵庫に視線をやる。
「あと、少しね〜……」
アレが復活すればコチラの勝ちだ。
ニヤリと隔壁の向こう側にいるであろう子供達に向けて暗い笑みを浮かべる。
そして隔壁が天井まで登り切ろうとする。
「私の勝ちよ〜」
ウィーン……ガチャン……と天井まで隔壁が音を立てる直前――。
勝利を確信した彼女の真上を……。
隔壁の閉まる直前の間を……。
天井を這うように……
凄まじい勢いで……
「ッ!!」
ナニかが……
通り抜けた気がした……。
わずかな不快感、それに従いマミィ〜は引き伸ばされた時間のような感覚の中……振り返る……。
隔壁からドームのほうへ、ゆっくりと振り返る。
ゾワリと肌が泡立つ。
……長い髪を軌跡に、ドームの壁を着地しながら滑るように滑走する怪異。
「ち、長髪ちゃん?」
長髪幼女が獰猛な笑みを浮かべながら、コチラを見ていた……。
「あ……あ“あ“あ“ぁあ!!」
入り込まれた!
まるで、キッチンの壁に張り付いた虫を見つけたかのような恐怖……。
「キゃあァァアア!!」
パニックを起こす精神とは裏腹に、彼女は全力で迎撃の動きをとった。マミィ〜のネックレスが光り、彼女の周りにボボボボッと青白い炎が灯る。
その火の玉から幾つものレーザービームのような光線が、長髪幼女に向けて放たれた。
「アーヒャヒャヒャ!! お邪魔してまぁーす!!」
長髪幼女の背中からコウモリの羽が生え壁を蹴る。
そして、空中をカクカクと直角に滑空した少女は、レーザービームを器用に回避して移動する。
「フラッグ! フラッグ! フラッグゥウ!!」
彼女の動きに合わせてドスドスとドームに刺さる羽の生えたマークの旗。
そして刺さった旗を中心に色を変えるダンジョン。侵食される世界。
「ァァアア!! 当たらない〜!!」
非常に不規則で三次元的な動きをする少女に、レーザーは的を絞らせることができない。
雨のように降り注ぐレーザーの攻撃を避け切り、ダンジョンを赤く染めた少女は、マミィ〜の直ぐ近く……隔壁の前で立ち止まり、ニィイイと嫌らし気に笑う。
「ッ!!」
マミィ〜は恐怖に後退るが、奥歯を噛み締め息を整えた。
落ち着け……本当にやっかいなのは、長髪の方じゃない。『白髪』の方だ。
あの旗が起点なのは間違いないが、実際にダンジョンを乗っ取っているのは白髪の方なのだ。
マップを見てみても、ドームは乗っ取られていない。
大丈夫……白髪ちゃんは隔壁の向こう側なのだから……。
「んふふふふ……」
そんなコッチの心情を知ってか知らずか……長髪幼女はマミィ〜の目の前で、隔壁の目の前に最後のフラッグを刺した。
ガコンッとドームに響き渡る鈍い音……。
ゴゴゴゴゴ……と震える開かずのはずの隔壁。
クルリと隔壁前のフラッグがひっくり返ったのをマミィ〜は視界に入れた……。
「あ、あぁ……」
ビビ……とダンジョンが乗っ取られた警告音がマップから響く。
ゴゴゴゴゴと隔壁が下がる。
それが意味する事は……。
「隔壁が……『壁の向こう』から乗っ取られた……」
徐々に下がる隔壁の向こうから最初に見えたのは……。
「行くよ……」
今日まで娘として接してきたアムネシア……。
そして隔壁が更に下がると見えてきた、アムネシアに片手で抱えられた白髪幼女……。
「……姉ぇ……全力ではしれ……」
ダメだ……白髪の方だけはコチラ側に入れては行けない……。
「止まりなさい〜!!」
衝動的にレーザーを三人に向かって放つ。
この魔道具に殺傷能力があるワケではない。当たったら体が痺れるスタンガンのような物だ。
それでもこれだけ当たれば1日は体が動かなくなるだろう。
それをコレでもかと放つ。
「水滅玉ぁ!!」
ボフゥ! と着弾地点に煙のような水蒸気が吹き出し、少女達の姿を掻き消す。
「ッ!! ソコ!!」
マミィ〜は冷静に、煙の横から突っ切って走る存在にレーザーを放つ。
片手に白髪幼女を担いだアムネシアだ。
「ああああ!! ふんぬ!!」
アムネシアはジャンプして壁を走る。そしてレーザーの間をキリモミするように通り抜けた。
「ア、アムネシア〜!! アナタいい加減、普通の動きできないの!?」
子供を抱えて子供がしていい動きではない。
マズイ……アムネシアの運動能力をみくびっていた……。
一番マズイのは、白髪幼女にドームを動かれてダンジョンを乗っ取られる事だ。
そして白髪幼女を運ぶのは、とんでもない動きで攻撃を避け動き回るアムネシア!
「やらせない!! やらせないわ〜!! アムネシア!!」
ドームを半周ほど回ったところで、アムネシアの進行方向を塞ぐようにレーザーを放つ。
「ッ!!」
そして、足が止まったところでレーザーを放った。
アムネシアは手に持った白髪幼女を放り投げる。
「ふふふ〜!! まだまだねアムネシアぁ!! アナタは避けれても白髪ちゃんはどうかしら〜!!」
空中に放り投げられた白髪幼女は無防備だ。
白髪幼女さえ止めてしまえばコチラの勝ちになる。
そして、身動きの取れない白髪幼女にレーザーを叩き込む。
しかし、白髪幼女はニィイイと笑うと、バカにするように呟いた……。
「残念ぇぇん……ハズレだ」
バサリと白髪幼女の背中からコウモリ羽が生えてレーザーを回避した。そして白髪から長髪へと変わる。
「あ……」
やられた。
途端にビビビビと五月蝿い警告音を立てるマップ……。それに従い、ドームの反対側を走る白髪幼女の姿があった。
やられた……いつの間にか入れ替わっていた!
アムネシアと白髪に化けた偽物に目を向けられて、白髪幼女は一人でダンジョンを乗っ取っていた。
「白髪ちゃぁああん!! 許さないわよ〜!!」
鬼の形相で白髪幼女の元へ駆け出そうとするマミィ〜……そこに――
「オラぁ!!」
「グフぅ〜!!」
アムネシアのタックルが襲いかかる。
背中から曲がっては行けない方へ『く』の字に折れ曲がったマミィ〜は地面へと叩きつけられた。
「は、離しなさいアムネシア〜!! こうなったら炎波のネックレスで……」
レーザーを放つ炎が光を灯す。
その照準を白髪幼女に向けようとして…――
「オラぁ!!」
パリン!!
三つ編み少女の拳でネックレスを叩き割られた。
「アナタいい加減にしなさいアムネシア!!」
「オラぁ!! オラぁ!! オラぁ!!」
パリン! パリッ! ぱり……。
ネックレスは粉々だ。
「これ幾らすると思ってるの〜!!」
その間にも白髪幼女はドームを周り、そして中央の大玉を除いて全てのダンジョンを自分の領土へと塗り替えた。
「……はぁはぁ」
白髪幼女は少し立ち止まって息を整えると、中央の未だに再生途中の大玉へと歩み寄った。
「……いま、わたしのダンジョンの力が上回った」
そして、大玉の中央に刺してある旗に手を伸ばし、目を瞑って呟く。
マミィ〜が届かぬ手を伸ばす……。
「……コンプリート」
ズゥウン……と大玉を壊した時と同じような音がなる。
ダンジョンに電気が灯るように明るくなる。
そして……マミィ〜のマップが緑から真っ赤に染まった。
「……占領完成」
――――――――――――――――――――――
ふぃ〜!!
ゲームセッ!!
「で、いいんスよね幼女ちゃん?」
「……ん。問題ない。ダンジョンは完全に乗っ取った」
オッケーオッケー。ナイスゲーム。
いや〜疲れたわ〜。
「勝った!」
倒れるマミィ〜の腰にしがみ付いた三つ編みちゃんが、勝利の声をあげる。
マミィ〜は占領された大玉に片手を伸ばしながら、呆然としていた。
そして、彼女は俯くと唇を噛む。
いや、悪いねマミィ〜、私達の勝ちだよ!
「…………まだよ」
うせやろ!!?
「ッ!!」
「甘いわ〜!! ダンジョンが乗っ取られたからってなぁに!?」
突然立ち上がったマミィ〜が、腰の三つ編みちゃんを引っぺがして片手で持ち上げる。
「ねぇアムネシア〜!! まだ私が残っているのに勝っただなんて随分じゃない!!」
そして片手で三つ編みちゃんの胸ぐらを高く持ち上げたマミィ〜は、恐ろし気で狂った様な顔を見せつけてくる。
「はぁく、はぁつ、ちゃぁん?」
マミィ〜の三つ編みちゃんを持っている逆の手には、……ナイフが握られていた……。
「ダンジョンを返しなさい〜……アムネシアがどうなってもいいのかしら〜?」
ヤベぇ! どーしましょ!!
私達の勝利だー!! じゃねぇよ!
当たり前だ!! ダンジョンを乗っ取ったからって何やねん! そんなもんマミィ〜を怒らせただけで、マミィ〜の言う通りマミィ〜をどうにかしたワケじゃないやん!
どーすんのコレぇ!!
「……違うよ、私の勝ちだ。私は宣言通り……アナタに勝った」
三つ編みちゃんは……怯えるでもなく、そう呟いた。
「あ、アムネシア……アナタ何を!」
その態度に狼狽えるマミィ〜に、三つ編みちゃんは真っ直ぐ視線を逸らさない。
「……ッ!!」
その力強い視線に……マミィ〜は辟易いだ……。
「私の……勝ちだ」
マミィ〜は狼狽えて視線を彷徨わせた後、幼女ちゃんに叫ぶ。
「白髪ちゃん! ダンジョンを返しなさい」
そんなマミィ〜を無視して、三つ編みちゃんはゆっくりと私に視線をやると、何かを投げ寄越してきた。私はソレを受け取る。
「……おいおい、おねぇちゃんや。……アンタ、コレを今、私に渡す意味……分かってる?」
「うん、あげるよ」
「……」
このガキ……指輪を『今』私に渡してきやがった。
「契約完了ってことで……いいんすね? お嬢ちゃんよぉ……」
「うん、ありがとう。後はもういいよ……」
「そっすか……」
私達に今、指輪を渡すってことはさ……もう三つ編みちゃんに『味方しなくていい』ってことなんだぜ?
ごめん、意味分からんし、気持ち悪いわ。
つまり、今マミィ〜に捕まってる三つ編みちゃんを助ける義理もないってこと。キミさぁ……じゃあなんでこんな事やったんだよ……。
「ッ、ア、アムネシア〜!? アナタ、いったい何を考えてるの!? そんなの……」
そうね、私にも本気で分からん。
でも悪いけど、もう私には関係ない事だ。
私はやる気をなくした様に、幼女ちゃんと座り込んだ。どーする幼女ちゃん……私らもう関係ないらしいけど?
「白髪ちゃん!! ダンジョンを私に返しなさい!!」
そして、なぁ〜んでさ……マミィ〜が追い詰められてるような表情してんのかね? ……私には分からんよ。
「……ことわる。理由がない」
「ッ!!」
そして幼女ちゃんは私と同じ様に座り込んで答える。その表情は私とは違って、やる気がないというより、静かに見守っている感じだ。
ねぇ幼女ちゃん、キミには三つ編みちゃんの考えって分かる?
「アムネシア!! 最後よ!! いますぐダンジョンを返すよう言いなさい!! じゃないと!!」
「じゃないと?」
取り乱すマミィ〜と違って……三つ編みちゃんは静かな物だ。マミィ〜を煽っているように見えた。
「ナイフで刺す? やればいいよ……私は……アナタに勝ったんだ……」
「〜〜〜〜〜!!!! あ“あ“あ“あ“!!」
マミィ〜が狂ったように叫ぶ……。
そして――
「……できるわけ……ない……じゃない……」
カラン……とナイフを落としたマミィ〜は、膝をついて涙を流した。
「……だと思った」
「アムネシアを傷つけるなんて……できないの」
三つ編みちゃんは項垂れるマミィ〜の後頭部を見ている。
マミィ〜は静かに項垂れ、諦めたように口を開いた……。
「……私の負けよアムネシア」
「うん、私の勝ちだよ……」
三つ編みちゃんのその言葉に、マミィ〜は涙に濡れた顔をあげる。
そして残酷に告げた。
「アナタは『お母さん』じゃない」
「……」
「一緒にしないでよ……あんな『アバズレ』と……」
「……え?」
「だってアナタは……アナタは本当の母親より……私の『母親』だった」
「母さんとの生活は、間違いなく幸せだったよ……一緒に、お家に帰ろう……」
マミィ〜はその言葉に、疲れたように俯いて言葉を呟く。
「だったら……なんで最初に言ってくれないのよぉ……それなら争う必要もなかったじゃない〜……」
「だって、負けて言うんじゃ……茶番になるでしょ? だから勝たなくちゃいけなかったんだ」
「……?」
私にはよく分からんけど……
「勝ったから言えるんだよ。脅されて言うんじゃ駄目なんだ……」
結局のところ私達は――
「母さん……私の母親はアナタです」
彼女の、この一言の為だけに付き合わされていたらしい。
やるじゃん……。




