ボッチの家
俺は電気のついていない家に帰り、夕飯を作り始めた。今日はハンバーグにコーンスープの洋食だな。お昼が和食だったからってことで。
「学校でも家でも1人。バイトの仕事も1人作業。俺ってマジで一人だな」
家で独り言を言っても誰も返してくれないしな。母さんも姉さん亡くなってるし、父さんは生まれた時から見ていないから知らない。母さんが残してくれた一軒家に1人暮らしの高校生。お金は意外と大丈夫なんだぞ。男性ということもあって、国から援助してもらってるし、大学卒業までは税金は免除という好待遇なんだぞ。
「っと、そろそろハンバーグが良い感じだな」
俺はハンバーグをフライパンからお皿に移動させて、コーンスープとご飯を椀に入れて、テーブルに持っていき並べて椅子に座った。
「いただきます」
俺はハンバーグをはじめに食べた。
「おっ!今日はなかなかいい出来だな。焼き加減も悪くないし肉も柔らかいし良い感じだ」
ボッチを貫き通したいなら料理などの家事ができないと本当のボッチにはなれないぞ。俺は家事も出来るから、ボッチの道をまっしぐらだな。だからこそ料理はついつい凝ってしまうんだけどな。
「コーンスープも自然な甘みで美味いな。今日は結構完成度が高いな」
自画自賛しちゃうほどの出来だな。これは俺の自信作の1つにしておこう。
「って電話だな。俺に電話なんて学校七不思議以上の都市伝説なのに。一体誰からだよ」
俺はズボンのポケットからスマホを取り出し、画面を見てみると雪さんからだった。雪さんなら出ないとまずいな。
「はい。もしもし雪さんですか?」
『はい』
「どうかしましたか?何か伝え忘れたことでもありましたか?
『いえ。祐樹さん今日は疲れている感じだったので・・・』
本当に気を使わせちゃってるよ・・・。申し訳ない気持ちでいっぱいだぞ。
「いや本当にすいませんでした。こっちこそバイト中に寝てしまったのですいません」
『謝罪は大丈夫です。それでご飯はちゃんと食べていますか?』
「ちゃんと食べていますよ。今日はハンバーグにコーンスープですよ」
『おいしそうです。私は親子丼にお吸い物です』
「気になりますね。雪さんの料理は何でも美味しく思えますから」
『ありがとうございます。あとちゃんとお風呂に入って出ても体を冷やさないでください』
「大丈夫ですよ。体調には気を付けていますから」
『・・・そうですか。なら私もお風呂ですのでこれで失礼します。おやすみなさい』
「はい。おやすみなさい」
そういえばスマホにしてから、初めて電話をしたんだぞ!ちなみに電話帳は雪さんしか入っていないけど。あと最近流行のLIMEとかは俺は全く知らんぞ。メッセージをやり取りするアプリらしいが、なんせ俺には友達がいないから、スマホの容量を圧迫するだけのもだから、ダウンロードすらしていない。
雪さんも機械系は得意じゃないから、電話が精いっぱいってその昔聞いたことがあるから、やる必要性がない。
「スマホはゲーム機。これはボッチあるあるだろうな。俺もゲーム機だからな!」
ってアホなことを言ってる前に、洗い物して風呂入らないとな。洗い物は食器だけだし、風呂はあとはお湯を入れるだけだしな。
そんなことを思いつつ、洗い物をしつつ風呂にお湯が溜まるのを待つ。
「にしても、生徒会長があれとは意外だったな。まぁー関わらない方が身のためだろうけど。関わったら絶対に余計なことまで巻き込まれそうだしな」
おっ!丁度お風呂のタイマーが鳴ったか。こっちも洗い物が終わったし、さっそく風呂に入るとするか。
今日はいいお湯だし、一日の疲れが吹き飛ぶって感じだな。眠気が来そうなんだよな。ちなみに風呂での眠気は、睡眠じゃなくて気絶に近いらしいな。まぁどうでもいいか。
「今日は早めに寝るとするか。雪さんにはいろいろ気を遣わせてしまったしな」
俺は風呂から出て、寝間着に着替えてドライヤーで髪を乾かして、ベッドに行く前に仏壇の前に行った。
「母さん、姉さん・・・今日から二年生になったよ。いろいろあるかもしれないけど、のんびりと頑張るよ。それじゃおやすみなさい」
俺はリビングの電気を消して、自分の部屋のベッドに入り就寝した。
「んぅ・・・朝か・・・」
俺は布団から出ずに時計だけ確認すると、朝の5時45分ぐらいだった。早く起きすぎた感じもあるが、体は目覚めているので二度寝は出来そうにないな。まぁ今日はゴミだしもあるし、さっさと出しに行くか。目覚まし代わりに外の空気吸えば脳もはっきり目覚めるだろうしな。
「んじゃ行くか」
といっても、男一人の1人暮らしのゴミなんてそんなにないだけどな。ゴミ袋一ついっぱいになってないけど。歩いて一分ぐらいの所にゴミ捨て場があるし、そこまで歩く。さすがにこの時間だと誰ともすれ違わないな。まぁ楽だから良いけど。
「えぇーと・・・燃えるごみはこっちで、プラがこっちだな」
ちゃんと分けて出して、家に帰ろうとすると人がいた。
「おはようございます」
「ふふ、祐樹君おはよう」
俺はこの声を聴いて、声の人の顔を見た。
「冴子さんですか」
この人は春川 冴子といってご近所さんだ。ただのご近所じゃなくて、冴子さんの娘は俺と同い年で、同じ学園に通っている。娘にはものすごく嫌われているがな。嫌われて早くも5年目になるし、最近は気にもしなくなっているけど。
「祐樹君は早起きねぇ。娘にも見習って欲しいものだわ」
手を頬に添えて笑顔で言っているが、本当に高校生の娘がいる母親とは思えないほどの若さなんだよ。見た目も美人で、茶髪で先端にゆるいウエーブをかけている。目は力強く大きいが、顔全体でみると美人になるという不思議だな。
「冴子さんも元気そうで良かったです。それじゃ俺はこれで」
「ちょっと待ってくれるかしらー?」
のんびりとした口調で言われて、仕方なく歩くのはやめる。
「どうかしましたか?」
「最近、娘とは仲良くやれているのかって思ってしまってね・・・」
「いえ、相変わらず嫌われたまんまですよ。まぁーもう気にしてないんで大丈夫ですよ」
「そう・・・ごめんなさいね。引き留めてしまって」
すこし伏せ目がちに謝ってくれる。美人が謝るときは美人なんだな。
「いえいえ。大丈夫ですから。では、俺は今度こそ」
「ふふ、学園頑張ってね」
「はい!」
ゴミ捨てから帰宅して、朝ごはんを作るがかなり簡単にすませる。めんどくさいし。ちなみにメニューは食パンを焼いたやつ一枚、目玉焼き、ベーコン、コーヒーだな。それをのんびりと食べて、スマホでニュースとネット小説を読む。
「もうすぐ出るか」
俺は制服に着替えて、鞄を持っていつものように空気のようなボッチ生活を始める。
今回は家での過ごし方について書いてみました。次から、学園の話になると思います。
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