ボッチの焦り
俺たちは日向さんの運転で紹介してくれる店の前まできた。
「ここって何の店なんだ?」
「天ぷらの専門店でかなり美味しいと評判だ」
「・・・とっても美味しい」
食べたことのある二人が言うなら美味しいんだろうな。うん?この車どこかで見たことあるような・・・。しかもこのナンバープレート。
「あぁ!?」
「どうかしましたか?」
雪さんが心配そうに俺の顔を覗いてくるが、俺はそれ所じゃない。これはかなりまずい事態だな。
「どうしたんだい?」
「いや、この車はおそらく俺の幼馴染の家族の車で・・・」
「・・・つまり?」
「幼馴染が店にいるって事は、俺達が一緒に居るのがバレたらまずいぞ」
「それもそうだろうか。なら、私と詩乃が先に行こう。そして、五分遅れで雪の彼氏として入店すればいいだろう」
「微妙に解決になっているようでなっていないような・・・?」
「ちなみに、私と詩乃は雪の友達ということで行こうではないか。それでは行こうか」
「え?あっ・・・ちょ!?」
駐車場に俺と雪さんだけ残される。どうしたらいいんだよ。
「とりあえず、ばれた時を考えましょう」
「そうだな・・・」
なんかご飯を食べに行くだけでこうなるってどういうことなんだよ。俺の運のなさにびっくりだよ。
「バレても問題ないように、恋人っぽく見せておきましょうか」
「恋人っぽく?」
「こうしましょう」
雪さんは俺の右腕に抱きつき胸を押し当ててくる。これは理性がヤバいぞ!!
「普通に手を繋ぐじゃダメか?恥ずかしいし」
「恋人っぽく見せないとダメですから。そろそろお店に行きましょう」
「雪さん!?」
俺はそのまま雪さんに引っ張られて、お店の中に入った。
「いらっしゃいませ。二名様でよろしいですか?」
女将さんが接客をしてくれる。とても綺麗でおじぎも無駄のない感じだな。
「いえ。神谷さんは来ていますか?」
「神谷様のお部屋はこちらになります」
女将さんの案内でついていく。なんというか高級な店って感じだよな。今までこういう所に来たことないし、母さんにも連れて行ってもらった記憶もないな。
「こちらになります」
女将さんが襖を開けてくれて、俺と雪さんが部屋に入る。
「どうやらバレずにすんだようだな。なら、乾杯といこうではないか」
「早いぞ。俺今、ここに来たんだけど」
「・・・はやく。おなかすいた」
「そうですね。美味しくいただきましょうか」
俺の隣に雪さん、向かいに日向さん、雪さんの向かいに詩乃さんっていう風に座る。
「酒は飲まないでくださいよ?明日もやることはたくさんあるからな」
「ちょっとだけなら問題ないだろう?」
「おい・・・。教育現場に携わる人ならそういうのは言ったらダメだろ」
「・・・問題ない。祐樹と雪が家まで送り届ければ大丈夫」
「問題しかないだろ!?」
ダメだ。まぁどうせ二人ならこっちが止めても飲みそうだしな。
「ふふ、二人とも飲んだら分かっていますよね?」
なんか雪さんが笑顔なのに、目が笑っていないんですけど!?
「「はい」」
一瞬で素直になった。まるで二人の母親みたいだな。
「それではみなさん注文しましょう。天ぷら大好きなので楽しみですから」
「へぇー。雪って天ぷら好きなんだな」
「はい。基本的に和食系は好きなので、天ぷらは好物の1つですね」
そういえば雪さんの料理って和食多かったな。俺はどっちかっていうと作るときは洋風だし、雪さんの和食は楽しみの一つだな。
「私のおススメはエビ天ぷらだ。これだけは来るたびに注文している」
「・・・かぼちゃが美味しい」
日向さんエビで、詩乃さんがかぼちゃか・・・。
「なら、とりあえずその二つと玉ねぎとかき揚げにするかな」
「私は山芋食べてみたいです」
「・・・私はいつもの」
「では、注文しようではないか」
女将さんを呼び、それぞれ注文していく。女将さんが注文を全部聞き部屋を出ていく。
「ちょっとトイレ行ってくるから」
「トイレならここを出て右手に歩けばある」
「わかった」
日向さんに教えてもらって、男子トイレで用を足す。そして手を洗い部屋に向かおうと、歩き出して通路に出た時に誰かとぶつかった。
「きゃっ!」
「あっ!すいません。大丈夫ですか?」
尻餅ついた女性に俺は手を差し出して、顔を見た瞬間に気づいた。
「祐樹君?」
「えぇ・・・まぁー・・・そうです。冴子さん」
最悪だろ。このタイミングで出会うって、自分の運のなさを恨みたくなるわ。
「祐樹君がこのお店に来ているなんてびっくりねー」
相変わらず優しそうな雰囲気で、すべてを包み込んでくれそうな母性を持っている美人だな。見た目は20代に見えるけどな。
「まぁそういう日もありますから。それより冴子さんは今日は1人なんですか?」
「違うわよ。娘と一緒ね」
冴子さんはこれでもシングルマザーなんだよな。意外と苦労は裏でしていそうなんだけど、それを全く見せないからすごいんだよな・・・。
「そうですか。まぁここで会ったことは紗那には内緒でお願いします。また俺いろいろ言われちゃいますので」
「本当にごめんなさいねー。一緒に食べたかったけど仕方ないわねー」
「いえいえ・・・それ「祐樹さん?遅いですよ?」
俺って本当に運がないな!このタイミングで雪さんが呼びにくるのかよ!?
「祐樹・・・さん・・・?」
「えーと・・・一応紹介しておくと、幼馴染の母親の春川冴子さん。別に浮気とかじゃないからな!!」
あっぶねぇー!雪さんの目がものすごく不安そうな感じだったし、無実を証明しないといけなかったぞ・・・。
「そうですか。良かったです」
「祐樹君?この女性は?」
「えぇーと・・・恥ずかしいですけど、俺の彼女で白石雪さん。俺のバイト先の上司でもありますね」
今度は冴子さんに説明か。なんで説明するだけでこんなに疲れる感じがしているんだろうな。
「祐樹さんとは付き合わせてもらっています。よろしくお願いします」
「・・・。そ、そうね。ゆ、祐樹君のことお願いね・・・」
「冴子さん?」
「え?えぇ!娘をまたしているからこれで失礼しますね」
うん?なんだ?なんか慌てたと思ったら、急に帰っていったけど俺なんかしたか?
「まぁ雪だけ見つかっただけだし、日向さんと詩乃さんの姿を見られなければ問題ないだろうな」
「そうですか・・・そういうことですか」
「雪?どうしたんだ?」
「いえ。大丈夫ですよ。美味しい天ぷら食べに行きましょうか」
「そうだな」
雪さんは何かを考えていた感じだけど、まぁ大丈夫だろ。それより天ぷら食べるぞー!!
大変お久しぶりです。えーとまずは!すいませんでした。<m(__)m>土下座。
大学やら、家庭の事情もありまして、更新できませんでした!4月に入り落ち着いてきたので、これから周1ぐらいで更新していきたいなって思ってます。
次回はたぶん姉妹の妹がでる予定かな・・・?たぶん・・・・。




