第86話 再会
カルナ砦の門で、バン司令が待っていた。
四年で、岩のような男は少し痩せ、こめかみの白いものが増えていた。
「……また会うとはな」司令は、カヤの背後の荷車と、それを牽くゲンを見て、目を細めた。「……そいつは、うちにいた竜か」
「ゲンです。今は窯裏の押さえ係です」ハギが胸を張った。
「兵器じゃなくなったのに、一番役に立つやつだったな」司令は、ほんのわずか笑った。すぐに笑いを消した。「……入れ。見せたいものがある」
門をくぐりながら、ハギは砦のあちこちに目を走らせていた。自分の暮らした場所が、戦支度で形を変えていく。少年の顔から、懐かしさが順に剥がれていくのが、横から見ていて分かった。
竜舎は、建て直されていた。火の夜に焼けた北半分は石造りになり、房は八十に増えていた。そして、その八十が、ほぼ埋まっていた。
「徴用竜が、毎週届く」カジが言った。軍竜医は、四年ぶん老けて見えた。「管理下の四頭は健在だ。だが、新しく来る竜の数が、私の手に余る。……来てくれて、助かる」
その夜、司令の部屋で、地図が広げられた。
「橋脚が三本。架かれば、ガルデは重荷を渡せる。渡らせば、この砦は十日で落ちる」司令は事務的に言った。「だから上は、先に殴れと言ってきている。そして──殴るための手として、あれを解禁した」
司令の指が、地図の端、砦の裏の建物を叩いた。
実験棟だった。
地図の上のその小さな四角を、部屋にいた全員が、長いこと見ていた。カジは目を逸らさず、カヤは──手控えの北の頁を、開かずに鞄の上から押さえた。窓の数と灯りの刻限。二年ぶんの数字が、そこに綴じてある。




